ブログを書いていると必ず出てくるのが「取材したのか」「本人に確認したのか」というコメントだ。
この手のコメントをする人は、リテラシーが一番低いレベルの人だ。言論やジャーナリズムについてあまり知らない。全ての記事、ブログは、記者が取材対象に張り込んで、マイクを突きつけてコメントをとってくるものだと思っている。ドラマの「事件記者」みたいなことをしないと、記事が書けない、書いてはいけないと思っている。
しかしジャーナリズムには他の記事や資料、書籍をもとにして書く「評論」「批評」と言う分野がある。むしろこちらの方が、重要と言ってもよいし、経験を積んだ書き手しか書けない。
私は「東洋経済」「プレジデント」のウェブメディアに書いているが、こういうメディアは「評論」がメインだ。
しかし、レベルの低い読者はこういう評論を読んでも「直接取材していない」というのだ。例えば、歴史学者に対して「徳川家康に直接話を聞いたのか?」と聞くようなものだと言えば、その滑稽さがわかるだろうか?

そもそも、世の中には「本人に聞いたから」といってわかるとは言えないことがたくさんある。私は春季キャンプで囲み取材もするが、ああいう場では通り一遍のことしか聞けないし、選手も話さない。物事について本当に「確認」するレベルまで鼻を聞こうと思えば、最低30分くらい話し込まないと無理だ。そんな時間はふつう取れない。
私は「Number」「東洋経済」などで、引退した選手にそれくらい時間をとって話を聞いて記事を書くが、それは特別な場合だ。私たちのような雑誌系のライターは、取材の度に球団に申請しなければならないから、そこまで深い取材は難しいのだ。しかしそういう取材をしなくても、深い記事は書けないというわけではない。論評、評論は可能なのだ。
先月長谷川晶一さんと久しぶりに飲んだが、長谷川さんは「こたつ記事は書きたくないよね」と言っていた。「こたつ」とは、あたかも「こたつに座ってネット記事をサーフィンして、お手軽に記事を書いてしまう」ような姿勢だ。プロのライターにふさわしいとは言えないが、スポーツ紙にもそういう記事は載るし、gooというメディアはテレビなどから得た情報から、スキャンダルめいたこたつ記事を書いている。こういうのはダメだと思う。しかし取材とは別に「論評」「批評」と言うジャンルがあることも抑えておきたい。
以前書いたが、ブログは「メディア」ではないので、取材権はないから取材はしない。取材できない。ほとんどが個人的体験か、他のメディアを読んでの「感想」だ。つまりブログはどうしても「こたつ成分」が多くなる。それでも現地に行って実感するなど、伝聞だけではないブログも書こうと思うが、ブログを書くのは、仕事ではない自分の「意見」「感想」を世の中に問いたいと思ったからだ。ブログで書いてから記事にまとめることも多いし、非常に有効だ。
またアクセスをとるために見出しや文章表現を工夫するのも大事なことだ。アクセス第一主義はブログの基本だと思う。
私はライター歴40年余になる。スポーツ界だけでなく経済界や学問の世界などで、たくさんの人に話を聞いて記事や原稿を書いてきたが「取材」は本当に難しいし、「評論」はもっと難しいと思う。ブログも含めて「書く仕事」をこれからも続けていきたい。

1960~62年柿本実、全登板成績
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私は「東洋経済」「プレジデント」のウェブメディアに書いているが、こういうメディアは「評論」がメインだ。
しかし、レベルの低い読者はこういう評論を読んでも「直接取材していない」というのだ。例えば、歴史学者に対して「徳川家康に直接話を聞いたのか?」と聞くようなものだと言えば、その滑稽さがわかるだろうか?

そもそも、世の中には「本人に聞いたから」といってわかるとは言えないことがたくさんある。私は春季キャンプで囲み取材もするが、ああいう場では通り一遍のことしか聞けないし、選手も話さない。物事について本当に「確認」するレベルまで鼻を聞こうと思えば、最低30分くらい話し込まないと無理だ。そんな時間はふつう取れない。
私は「Number」「東洋経済」などで、引退した選手にそれくらい時間をとって話を聞いて記事を書くが、それは特別な場合だ。私たちのような雑誌系のライターは、取材の度に球団に申請しなければならないから、そこまで深い取材は難しいのだ。しかしそういう取材をしなくても、深い記事は書けないというわけではない。論評、評論は可能なのだ。
先月長谷川晶一さんと久しぶりに飲んだが、長谷川さんは「こたつ記事は書きたくないよね」と言っていた。「こたつ」とは、あたかも「こたつに座ってネット記事をサーフィンして、お手軽に記事を書いてしまう」ような姿勢だ。プロのライターにふさわしいとは言えないが、スポーツ紙にもそういう記事は載るし、gooというメディアはテレビなどから得た情報から、スキャンダルめいたこたつ記事を書いている。こういうのはダメだと思う。しかし取材とは別に「論評」「批評」と言うジャンルがあることも抑えておきたい。
以前書いたが、ブログは「メディア」ではないので、取材権はないから取材はしない。取材できない。ほとんどが個人的体験か、他のメディアを読んでの「感想」だ。つまりブログはどうしても「こたつ成分」が多くなる。それでも現地に行って実感するなど、伝聞だけではないブログも書こうと思うが、ブログを書くのは、仕事ではない自分の「意見」「感想」を世の中に問いたいと思ったからだ。ブログで書いてから記事にまとめることも多いし、非常に有効だ。
またアクセスをとるために見出しや文章表現を工夫するのも大事なことだ。アクセス第一主義はブログの基本だと思う。
私はライター歴40年余になる。スポーツ界だけでなく経済界や学問の世界などで、たくさんの人に話を聞いて記事や原稿を書いてきたが「取材」は本当に難しいし、「評論」はもっと難しいと思う。ブログも含めて「書く仕事」をこれからも続けていきたい。

1960~62年柿本実、全登板成績
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であるならば、投稿されるコメントへの「私は高校野球の現場で話を聞いている」「沖縄の人の声を直接聞いたことがあるのか」という広尾さんの反論はダブルスタンダードです。
取材できる職業や環境にある読者など一握りでしょう。
本質的でないコメントの応酬は無益ですし、記事の内容について議論がなされてほしいです。
baseballstats
が
しました