私は企業の事業計画やマーケティング戦略などを企画立案する仕事をしてきた。プロ野球を見るときもどうしてもビジネスモデルが気になってしまう。
例えば、球団の選手補強や、選手のマネジメントにも実は「球団のビジネスモデル」「経営方針」が密接にかかわっている。
ソフトバンクは、カネにいとまをつけず有力選手を獲得し、4軍まで作って多くの選手を囲い込んでいる。これはNPBで「黄金時代」を作って、孫正義が「わっはっは!」と毎年高笑いがしたいわけではない。ソフトバンクは、NPBをMLBに比肩しうる経済規模、影響力のあるプロスポーツにしたいと言う野望があるわけだ。そのためにも、NPBで圧倒的な存在になって、他球団のビジネスにも影響を及ぼして、NPBをビッグビジネスに変えていきたいと思っている。

広島が「去る者は追わず」で、育成中心の球団を作っているのは、親会社がなくて資金が有限だからだ。絶対に赤字になれないが、親会社が金をくれるわけでもないと言う中で、地元密着で、小さいが「赤字にならない」球団と言うビジネスモデルを作っているわけだ。

阪神は、阪神電鉄の持ち物である甲子園球場に大量のお客を動員することで、親会社の阪神電鉄、さらには阪神阪急ホールディングスに利益をもたらしている。阪神ファンにそっぽを向かれないために、適度に補強もするし、OB監督を据えて、関西ファンの間で常に話題の中心にいるように努めている。

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DeNAは、親会社と言うよりベイスターズを「スポーツ事業」と言う部門の主観事業ととらえて、人材を育成するとともに、プロモーションも積極的に行っている。実はBCリーグの栃木ゴールデンブレーブスもこれに近いビジネスモデルを持っている。

巨人は、ジャイアンツを独立した企業とは考えていない。読売新聞の「拡販部門」であり、宣伝部隊と位置付けている。今は新聞は売れなくなっていて、巨人も赤字を出すわけにはいかないはずだが、読売グループ全体で収支がとれていればOKと言う考えで、高年俸の選手を抱えている。

こんな感じで、チームカラー、個性と「経営」は、しっかり紐づけられているのだ。

しかしながら、何度も言うように個々のプロ野球チームにはそれなりの「ビジネスモデル」があるが、NPBにはそのたぐいのものは存在しないのだ。
一時期は、NPBとして事業を展開しようとしたこともあるが、12球団が「勝手なことをするな」と反対してダメになった。具体的には「侍ジャパン」事業だ。

NPBがMLBのようなビジネスモデルをもって事業を展開しないと、将来はないはずなのだが。

この度上梓した以下の本は、独立リーグのビジネスモデルを論じたもので、同じ考え方で書いたものだ。


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1960~62年柿本実、全登板成績