NPBの育成選手制度は、球界再編元年の2005年に導入され、この年に6人が指名された。
以後、年々育成選手は増え続け、54人が育成ドラフトで入団している。

これは「ドラフト外入団」を認めなくなった代わりに、70人の支配下選手の他に、育成選手を抱えることができるようにしたからだ。
育成選手は三桁の背番号を背負うが、練習は支配下選手と同じ環境で行う。また寮などの待遇も変わらないが、一軍の試合に出場することはできない。中には独立リーグに派遣されることもある。独立リーグから育成指名されてやっとNPBに入ったと思ったら、また独立リーグで試合をすることになった選手もいる。
年俸は240万円前後、契約期間は3年、再契約の道はあるが、本契約の選手との待遇格差は大きい。

IMG_4184


育成選手には、正規ドラフトで入団して、故障や不振などで育成枠に落ちる選手もいる。また若い外国人選手と育成契約することもある。
巨人のようにFA選手の人的補償にされたくないために有力選手を育成枠に落とす球団もある。

2005年以来、昨年まで479人の選手が育成ドラフトで指名されているが、一軍で記録を残したのは127人、26.5%という厳しさだ。
つまり、育成ドラフトで入団した選手の4人に3人弱はプロ野球選手と言いながら、一軍の試合に出ることなく退団している。

社会人野球(JABA)は原則として、所属選手が育成ドラフトで指名されることを認めていない。育成選手は高校、大学、独立リーグ出身者に限られるのだ。

育成ドラフトでの入団を断ったのは479人中3人だけ。

独立リーグの選手のほとんどが育成ドラフトで指名される。本来は、本指名されてもおかしくない実力の選手でも、断らないことが分かっているから、足元を見て育成で指名するのだ。

育成選手は、正選手と同じユニフォームを着て、同じように練習するが、年俸ははるかに少ない。正選手に年限はないが、育成選手は「3年」という契約年限がある。同じ仕事をしてはるかに安い給与しかもらえず、雇用年限も限られ、身分も不安定な非正規雇用と重なる部分が多い。
いずれも企業や球団の一方的な都合で、正社員や正選手の下に新たな「身分」を作ったものだ。

業界が発展するために「人的投資をする」という企業本来の姿勢を忘れ、ただただ「人件費」「選手年俸」を削減したいと思う残念な姿勢だったと思う。

私は三桁の選手には、「一桁、二桁の選手に負けずに頑張ってほしい」と心から願わずにはおれない。

IMG_9860


私のサイトにお越しいただき、ありがとうございます。ぜひコメントもお寄せください!

好評発売中!



NOWAR


1960~62年柿本実、全登板成績