「この頃の子供は、大リーグに行きたいとか、WBCに出たいとかいうんだ。その前に甲子園じゃないのかっていうんだけど、そうじゃないと言うんだな」
おっさんの少年野球指導者からよく聞く話だ。
で、そういうおっさんはこう続ける。
「大リーグのテレビとか見ているから、ゴロを正面で取らないんだ。ジャンピングスローとかする。そういうのは基本をしっかりできるからだと思うんだけどな」

しかしU12の前監督で今はDeNA二軍監督の仁志敏久さんは、小学生の段階でワンハンドキャッチやジャンピングスローの練習をさせていた。

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守備で言えば、昔の日本野球の基本である「腰を落として正面でゴロをとる」は、野球のスピードが急速に上昇する中で「陳腐化」している。
そんな悠長な守備をしているうちに、走者は一塁を駆け抜けてしまう。あらゆる体制でゴロに追いつき、すぐさま投げるための練習が大事になるのだ。

「基本」とは、ずっと昔からやってきたことではない。野球の変化に伴って「基本」も変わっていくのだ。

おっさんたちは、新しい野球を知ったり学んだりせず、データも知らず、アップデートもしない。しかし生まれた時からMLB中継があった今の子供は、巨人戦のナイターは知らないが、MLB中継の大谷翔平の大活躍は夢中になって見ているのだ。



そういうこともが憧れるのは、どんな「野球」なのか?

カンカン照りの炎天下で、丸坊主の高校生が必死でやる高校野球か?
美しい球場で、すさまじいパワーとスピードある野球を楽しげにやるMLBか?
世界と戦うために、NPB、MLBから集結してチームワークを高めるWBCか?


もう今の子供が見る「野球の夢」は、おっさんたちの時代とは変わってしまっているのだ。

多くの球児は、今やっている高校野球に多少の居心地の悪さを感じながら「ここで頭角を現せば、もっと楽しい野球ができる」と思って頑張っている。
あるいは、その選択肢を選ばずに、高校や大学の段階でアメリカに渡ることもも増えている。

「夢は甲子園、プロ野球じゃないのか!」
とおっさんがいくら叫んでも、もう子供たちは振り向かないだろう。

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1960~62年柿本実、全登板成績