サンマリンの侍の試合をテレビで見ている。
試合終盤、ベンチで宇田川優希が、大きな身振りでボールの握りか、フォームについて話している。宮城大弥や他の選手が熱心に聞いている。カメラが引くとダルビッシュ有も話の輪に入っていたが、テレビカメラがそのシーンを抜くと「撮られているで」と言ったようで、宇田川が恥ずかしそうな表情をした。周りの選手も笑った。

いい雰囲気だ。このキャンプに加入した当初はびびっていた宇田川は、ダルビッシュと食事会をしてからすっかり打ち解けた感じだ。彼は「調子に乗る」タイプなのだろう。悪い意味ではなく、自己肯定感が強くて、メジャーな気持ちに転換しやすいタイプだ。

ダルビッシュと言う選手は、入団したころはただの「やんちゃ」と言う印象だったが、本当に成長した。NPBの頂点に立ったうえでMLBに移籍し、トミー・ジョン手術も受けるなど辛酸をなめたが、その中で「自分」を確立し、日本人(彼にはイランの血も半分入っているが)選手として何をすべきかを、高い次元で学んだのだ。

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大谷翔平ではなく、36歳のダルビッシュが先に日本にやってきたのは本当に良かった。MLBにいる選手と日本の選手の「心の橋渡し」をしてくれたからだ。
このあとで、大谷翔平が「最高にポジティブ」なキャラを振りまいてやって来る。ヌートバーと言う「日本の血が混じったヤンキー」もやってくる。侍はますますにぎやかになるだろう。

もう一つ思うのは、栗山英樹監督だ。栗山監督は「指揮官」ではあるが「多くの球団から選手を預かっている」身分でもある。気の使い方は尋常ではないはずだが、ダルビッシュがリーダーシップを発揮することを快く受け入れている。
彼は侍監督として「自尊心」を満足させることを一切考えていない。選手が主役で自分は脇役だと言うスタンスをきっちり守っている。
現役時代有名選手ではなく、指導者になってから頭角を現した「苦労人」ならではの差配だと思う。

少なくなったようには思うが、NPBには「俺が、俺が」の監督もいないわけではない。宮崎キャンプの楽しそうな報道を見て、多くの選手が「いいなあ…」と思っているのではないか。


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NOWAR


1960~62年柿本実、全登板成績