極端な守備シフトとの相関関係で、フライボール革命についても見ていこう。
2000年以降のMLB30球団の平均打率と、1試合当たりの本塁打数、2000年を「1」とした値の推移を見ていく。

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2000年と言えば、イチローがMLBに挑戦する前年。まだマグワイア、ソーサ、バリー・ボンズらがヒーローとしてもてはやされていた時期であり、ドーピングホームランが飛んでいた。

セイバーメトリクスの普及によって、統計学的な数値が野球の現場に活かされるようになる。極端な守備シフトは2000年代後半から普及し始め、2010年頃には多くの球団で用いられる。
これとともに打率が降下したのは昼に述べたが、本塁打数も激減した。「打低」の時代になったのだ。

しかし、セイバーメトリクスがさらに進化し、トラックマンなどの機器が普及するとともに特定の角度、特定のスイングスピードでバットにボールを当てることで本塁打になると言う「フライボール革命」が考案され、能力のある打者がこれを信奉し、打撃術を変えた。

2017年がその元年であることがわかる。ヤンキースのアーロン・ジャッジが衝撃の52本塁打を打って実質デビューした年だ。

以後、打率は下がっているのに本塁打は増加するという現象が続いた。

昨年、それに一区切りがついた。これは投手がフライボール革命対策として新たに速く動いてバットに芯に当てさせない球種を編み出したことが大きいだろう。また投手が打者にバレルゾーンでバットにボールを当てさせないために、高め主体の攻め方に変えたことも影響しているかもしれない。

今季、守備シフトが禁止されたことで予測できるのは「平均打率は上がるが、本塁打は増えない」ことだろう。
MLBは本当に目まぐるしく動いている。

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1960~62年柿本実、全登板成績