女子プロ野球も創設時から見ているが、一部熱心なファンはいるものの、観客数は数百人程度、男性のプロ野球とは規模でも人気でも程遠かった。
いろいろな原因があったと思う。

一つは「認知度」の問題。女子プロ野球は経営的には「独立リーグ」とほぼ同じであり、当初は関西で始まったこともあり、全国的なアピール力は小さかった。京都の西京極球場を本拠地としたが、プロ野球に比べれば施設も見劣りし、運営規模も小さく「マイナー感」があった。

もう一つは「プレーそのもの」の問題。女子野球では捕手の送球はノーバウンドで二塁に届かないことが多い。ボール回しも男子に比べれば間が抜けている。一番気になるのは「足が遅い」ことだ。印象で言えば「男子の高校野球と比べても見劣りする」という感じか?
余り女子野球を知らないお客からは失笑やため息が漏れることも多かった。

さらに言えば「それでも世界一」であること。女子野球ワールドカップで、日本は2008年のIBAF女子野球ワールドカップで4連覇、その後継大会であるWBSC 女子ワールドカップでも連覇している。すでに無敵なのだが、その圧倒的な強さが返って「底の浅さ」を印象付けていると言う感があった。

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「認知度」の問題は、女子プロ野球が破綻したことで、かえって事態が好転する可能性が出てきた。巨人や阪神などNPB球団が「女子チーム」を持つようになったのだ。女子野球の市場が、野球界ではほとんど唯一拡大しているからではあろうが、これまでの女子プロ野球をはるかに上回る認知を得て、人気が高まる可能性がある。

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「プレーそのもの」については、率直に言ってどうしようもないことではある。急激な向上は望めない。しかし他の球技も野球同様に男女差があるが、サッカーやバレーボール、卓球など、それなりに人気がある球技も多い。ゴルフのように女子の方が人気がある競技もある。さらにソフトボールでは女子が男子よりも圧倒的に人気がある。
この問題は、ファンが「女子野球は男性の野球とは“別の競技”だ」と認識するようにならなければ、解決しないだろう。

「それでも世界一」については、日本はどうすることもできない。野球がオリンピック競技から外れる中で、女子野球が世界的なメジャー競技になって、競技人口が増え、注目度が高まらない限り、レベルアップは厳しいところだ。MLBが女子野球には関与していないことも大きいだろう。

今のところ、希望が持てるのは「NPB12球団が女子チームをもって、リーグ戦を行う」ことだろう。日本においてNPBの認知度、信用はずば抜けている。NPBが本格的に女子野球リーグを行えば、人気は高まるだろう。さらに社会人や学生の女子野球とも連携できればなおよい。男子の野球と異なり「プロアマの壁」はないのだ。

Jリーグはクラブ設立の際には「女子チームを併設することが望ましい」という通達をしてきた。そのことが女子サッカーの普及に大きな影響を及ぼした。

「新しいことは何一つしたくない」日本の野球界だが、女子野球の市場を拡大するためにできることはしてほしい。「熱意は冷めやすい」のだから、チャンスを逃さないでほしい。

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1960~62年柿本実、全登板成績