京セラドームの強化試合のときに、球場前でこういう連中を見かけた。

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京セラドームのWBCグッズを買い漁った転売ヤーが「戦利品」を持ち寄って袋から開けて分別しているのだ。
ユニフォームなどは一人で購入できる点数が決められているので、転売ヤーはアルバイトを雇って数を購入した。そのアルバイトの日当なども価格に上乗せし、馬鹿な高値で転売しようとしているのだ。

東京ドームには連日、長々とした行列ができていた。これは、試合を見る人の行列ではない。チケットは日本戦がない日を除きすべて前売りの指定席だから、こんな長時間に及ぶ行列はできない。

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彼らもWBCグッズを購入するために並んでいるのだ。恐ろしいほどのグッズ人気になっている。

私はこれらのグッズは今までも一切購入したことがない。タダでくれると言うなら喜んでもらうし、大切に収蔵する。デザイン的にも優秀だからだ。しかしカネを出して買おうとは思わない。

なぜなら、WBCグッズの「価値」や「プレミア感」は、製作者が人為的に造ったものだからだ。
私は「マーケティングの徒」だったが、マーケティングでは商品を売るために「これだけしかない」「今しかない」「こんなにすごい」とアピールする。しかしそれは「煽り」だ。
グッズはほとんどが工業製品だから、作ろうと思えば「いくらでも」「いつでも」「安価に」つくることができるのだ。価値を持たせるために数量、期間を限定しているだけだ。

それを理解せずに、何時間も必死になって並ぶのは「マーケティングに踊らされている」ということになる。
そういう仕事をしていた立場で言えば「いい仕事をしている」と言えるが、コンシューマーの立場に立てば「ちょろいお客」ということになる。
さらに、そのグッズを買い占めて転売する輩は、もともと大した価値のない商品にプレミア感をつけて詐欺的に販売する「阿漕な輩」だ。そういう商品を買う人は「あほなお客」ということになろう。

本当の収集家は「自分の価値観」に則って商品の品定めをして、妥当な価格であれば購入する。そしてそれを愛玩する。他人に見せることはあるだろうが、主たる目的は自分で鍾愛することだ。価値のわからない他人に見せることは、気が進まない人も多い。

しかし行列してくだらないグッズを買う人は「人に見せびらかす」ことが主たる目的だ。購入したグッズはすぐにSNSに上げるし、自慢する。いわゆる「リア充」の小道具にすぎないのだ。「価値がある」「限定品だ」と言われれば、ちっちゃなティッシュペーパーだって高額で購入し、見せびらかすだろう。

こういう賑わいは、本当は寒々した風景だ。

例によって「好きでやっているんだからいいじゃないか」と言う人が出てくるだろうが、こうしたブームによって、ユニフォームやキャップなどの「本質的な価値」が見えなくなるし、転売、盗難、詐欺などの情けない犯罪行為も横行する。

もう少し「賢いコンシューマー」になるべきではないか。そう思っている。

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1960~62年柿本実、全登板成績