どんな国際大会でも途中で離脱する選手が出てくる。今回は大会前にカブスの鈴木誠也が腰の張りで離脱、そして広島の栗山良吏も試合で投げることなく離脱した。
恐らく、少し前までならこの2人は離脱しなかったのではないか。外傷などと異なり「張り」は、外見上はわからない。トレーナーが気づくことはあるが、本人が申告して初めて明らかになる異状だ。
松坂大輔は2009年のWBC前の練習で、股関節を痛めた。しかし、それを押して大会に出場し、3勝を挙げてMVPに選ばれた。残念なことに、以後「股関節痛」はずっとついて回り、投球のバランスがおかしくなって一流投手の座を滑り落ちた。彼は、WBCという大舞台で活躍するために、自分の将来を棒に振ったと言ってもよい。松坂はトミー・ジョン手術のあとも、復帰を焦ってリハビリ期間であるにもかかわらず、投球を開始したと言われる。
昔の日本人選手の姿勢は、松坂のようなものだった。
「故障を押して試合に出場して、無理を重ねながら活躍する」のは美談であり、選手の鑑だとされた。たとえ将来に禍根を残す可能性があっても「今の一瞬の輝き」を選ぶのが格好いい。
おそらくその源は「甲子園」だったはずだ。甲子園では多少の怪我、故障を押して出場するのが当たり前だった。私が話を聞いた甲子園ドクターは「肘や肩に故障がみつかっても、よっぽどでなければドクターストップはかけない。甲子園で投げるのは彼らの将来がかかっているのだから」と言った。昔の話ではなく、3年ほど前の話である。
侍ジャパンでの選手、監督の判断は、まさに「隔世の感」がある。鈴木も栗林も自らトレーナーなっどに「腰が張っている」と異状を訴えた。トレーナーは当然、監督、コーチに伝える。栗山監督は「張りくらい大丈夫だろ?いけるよな?」とは言わなかった。そして「出場辞退」が決まったのだ。
栗林の場合「出場したい」と言ったようだが、栗山監督が押しとどめたのだと言う。
栗山監督や吉井理人コーチは「張り」が、野球選手の将来を左右しかねないやっかいなトラブルであることをよく知っていた。そして「根性」で乗り切れるようなものではないことも。将来ある選手を預かる代表監督として、当然の判断ではあるが、日本野球も進化したものだと思う。
ついこの間まで、高校野球の監督は、肩肘を痛めた投手に対し「学校や仲間のために投げてくれるよな?」と迫っていたのである。投手は肩肘に痛み止めを打って投げた。それが日本野球だったのだ。
今回の「侍ジャパン」が素晴らしいのは、選手起用や采配だけはない。栗山監督は、事に臨んで「なにをすべきか」極めて高い次元で判断できる指揮官なのだ。
ただ今大会の試合中に小指を骨折した源田壮亮に関しては懸念が残る。骨折は「痛み」「張り」よりは単純な負傷であることが多く、治癒すれば禍根は残らないことが多い。だからチームに帯同させているのかもしれないが、野手の予備登録をしていないこともあるかもしれない。制度上、負傷した選手の交代は可能だと思うのだが、どうなのだろうか?軽症でプレーできると言う報ではあるが。
4戦全勝で1次ラウンドを圧勝した侍ジャパンだが、そうであっても選手の負担は大きい。これ以上の故障者が出ないように。そして全員が元気で原隊に戻ることをなにより望みたい。
私のサイトにお越しいただき、ありがとうございます。ぜひコメントもお寄せください!
↓
好評発売中!
1960~62年柿本実、全登板成績
松坂大輔は2009年のWBC前の練習で、股関節を痛めた。しかし、それを押して大会に出場し、3勝を挙げてMVPに選ばれた。残念なことに、以後「股関節痛」はずっとついて回り、投球のバランスがおかしくなって一流投手の座を滑り落ちた。彼は、WBCという大舞台で活躍するために、自分の将来を棒に振ったと言ってもよい。松坂はトミー・ジョン手術のあとも、復帰を焦ってリハビリ期間であるにもかかわらず、投球を開始したと言われる。
昔の日本人選手の姿勢は、松坂のようなものだった。
「故障を押して試合に出場して、無理を重ねながら活躍する」のは美談であり、選手の鑑だとされた。たとえ将来に禍根を残す可能性があっても「今の一瞬の輝き」を選ぶのが格好いい。
おそらくその源は「甲子園」だったはずだ。甲子園では多少の怪我、故障を押して出場するのが当たり前だった。私が話を聞いた甲子園ドクターは「肘や肩に故障がみつかっても、よっぽどでなければドクターストップはかけない。甲子園で投げるのは彼らの将来がかかっているのだから」と言った。昔の話ではなく、3年ほど前の話である。
侍ジャパンでの選手、監督の判断は、まさに「隔世の感」がある。鈴木も栗林も自らトレーナーなっどに「腰が張っている」と異状を訴えた。トレーナーは当然、監督、コーチに伝える。栗山監督は「張りくらい大丈夫だろ?いけるよな?」とは言わなかった。そして「出場辞退」が決まったのだ。
栗林の場合「出場したい」と言ったようだが、栗山監督が押しとどめたのだと言う。
栗山監督や吉井理人コーチは「張り」が、野球選手の将来を左右しかねないやっかいなトラブルであることをよく知っていた。そして「根性」で乗り切れるようなものではないことも。将来ある選手を預かる代表監督として、当然の判断ではあるが、日本野球も進化したものだと思う。
ついこの間まで、高校野球の監督は、肩肘を痛めた投手に対し「学校や仲間のために投げてくれるよな?」と迫っていたのである。投手は肩肘に痛み止めを打って投げた。それが日本野球だったのだ。
今回の「侍ジャパン」が素晴らしいのは、選手起用や采配だけはない。栗山監督は、事に臨んで「なにをすべきか」極めて高い次元で判断できる指揮官なのだ。
ただ今大会の試合中に小指を骨折した源田壮亮に関しては懸念が残る。骨折は「痛み」「張り」よりは単純な負傷であることが多く、治癒すれば禍根は残らないことが多い。だからチームに帯同させているのかもしれないが、野手の予備登録をしていないこともあるかもしれない。制度上、負傷した選手の交代は可能だと思うのだが、どうなのだろうか?軽症でプレーできると言う報ではあるが。
4戦全勝で1次ラウンドを圧勝した侍ジャパンだが、そうであっても選手の負担は大きい。これ以上の故障者が出ないように。そして全員が元気で原隊に戻ることをなにより望みたい。
私のサイトにお越しいただき、ありがとうございます。ぜひコメントもお寄せください!
↓
好評発売中!
1960~62年柿本実、全登板成績
baseballstats
がしました