「スポーツマンシップ」という言葉は、日本で一般的に使われている言葉だ。
しかし「知ってるよ、選手宣誓のときに言う言葉だろ」という程度で、中身について知っている人はあまりいない。
「スポーツマンシップ」は「スポーツ選手らしさ」みたいな簡単な言葉ではなく近世になってスポーツの概念が形成され、近代化していく中でまとめられた「考え方の体系」だ。
「正々堂々」とか「全力を尽くす」とか、そういう内容らしいと思っている人が多いが、実際に本を読んだり学んだりした人は本当に少ない。
WBCで大谷や佐々木朗希が相手選手に親切にすると「スポーツマンシップだ」みたいな記事が載るが、彼らの行動の「どの部分」がスポーツマンシップなのか、説明できる人はそんなにいない。
大谷や佐々木は「相手選手をリスペクトする」行動をとったから、スポーツマンシップに則っていると言える。「親切にしたから」「海外から来た人を喜ばせたから」ではない。
佐々木朗希がチェコの選手にお菓子をもって謝りに行ったのは「外国人に親切にした」とは言えるだろうが、スポーツマンシップに則っているかどうかは微妙だ。好ましい行動とは言えるが、プレー中に起こった故意ではないアクシデントに対して、過剰に謝罪することまで、スポーツマンシップは求めていない。

夏の甲子園の試合で、試合中に相手チームの選手に飲料をもっていったり、負傷した選手の手当てをする行為を「スポーツマンシップ」と書く記事もあったが、試合中に相手チームの選手に必要以上に接触するのは、ルール違反になる。過剰なサービスはスポーツマンシップとは関係がない。ルールの範囲内で「リスペクト」することが、スポーツマンシップ的だと言える。
「正々堂々」「全力を尽くす」は、日本の武道でも言う言葉だ。武道の考え方はスポーツマンシップと似た部分と、そうでない部分がある。
「礼儀正しく」は共通するが、武道の場合、その根底に儒教があるから「礼」は、相手へのリスペクトと言うより「マナー」というニュアンスが強い。
またスポーツマンシップでは、スポーツに関わる人はすべてフラットな関係、平等で、友愛の精神をもって接するべきとされるが、武道では「師弟関係」「長幼の序」が重視され、指導者や年長者に対して「尊崇の念」を態度にあらわすことが大事だとされる。
武道では「勝利」に向けて全力を尽くすことが求められる。スポーツマンシップでも同様だが、それは相手にも「十分に力を出させること」「スポーツを楽しませること」を前提としている。
さらに武道は「修行」であり「刻苦勉励」によって人格涵養することが目的となるが、スポーツマンシップではスポーツは「人生の楽しみ」であり「健全で文化的な生活をする」という基本的人権の一部と見なされている。

スポーツマンシップは「世界共通の考え方」だが武道は「武道だけに通用する考え方」だ。
その違いも大きい。
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1960~62年柿本実、全登板成績
「正々堂々」とか「全力を尽くす」とか、そういう内容らしいと思っている人が多いが、実際に本を読んだり学んだりした人は本当に少ない。
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大谷や佐々木は「相手選手をリスペクトする」行動をとったから、スポーツマンシップに則っていると言える。「親切にしたから」「海外から来た人を喜ばせたから」ではない。
佐々木朗希がチェコの選手にお菓子をもって謝りに行ったのは「外国人に親切にした」とは言えるだろうが、スポーツマンシップに則っているかどうかは微妙だ。好ましい行動とは言えるが、プレー中に起こった故意ではないアクシデントに対して、過剰に謝罪することまで、スポーツマンシップは求めていない。

夏の甲子園の試合で、試合中に相手チームの選手に飲料をもっていったり、負傷した選手の手当てをする行為を「スポーツマンシップ」と書く記事もあったが、試合中に相手チームの選手に必要以上に接触するのは、ルール違反になる。過剰なサービスはスポーツマンシップとは関係がない。ルールの範囲内で「リスペクト」することが、スポーツマンシップ的だと言える。
「正々堂々」「全力を尽くす」は、日本の武道でも言う言葉だ。武道の考え方はスポーツマンシップと似た部分と、そうでない部分がある。
「礼儀正しく」は共通するが、武道の場合、その根底に儒教があるから「礼」は、相手へのリスペクトと言うより「マナー」というニュアンスが強い。
またスポーツマンシップでは、スポーツに関わる人はすべてフラットな関係、平等で、友愛の精神をもって接するべきとされるが、武道では「師弟関係」「長幼の序」が重視され、指導者や年長者に対して「尊崇の念」を態度にあらわすことが大事だとされる。
武道では「勝利」に向けて全力を尽くすことが求められる。スポーツマンシップでも同様だが、それは相手にも「十分に力を出させること」「スポーツを楽しませること」を前提としている。
さらに武道は「修行」であり「刻苦勉励」によって人格涵養することが目的となるが、スポーツマンシップではスポーツは「人生の楽しみ」であり「健全で文化的な生活をする」という基本的人権の一部と見なされている。

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1960~62年柿本実、全登板成績
なるほど。
今後も拝読させていただきます。
宜しくお願いいたします。
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が
しました