WBCの試合の7回には、Take me out to the ball game,が流れる。日本のファンも口ずさんでいる。
この歌の2番目のフレーズがTake me out with the crowdだ。「大観衆の中へ連れてって」というところだろうか。

毎年、プロ野球を60試合ほど、その他も含めれば100試合ほど観戦する私だが、Crowdと言うほどの大観衆が入る試合は、そのうちの1割くらいだろうか。

WBCの日本戦は、昨年秋の日本シリーズと同じくらいのCrowdではあったが、盛り上がりははるかに上だった。人々は特別の空気に酔いしれていた。「特別」にしたのは、間違いなく大谷翔平、ダルビッシュ有、ラーズ・ヌートバーと言うメジャーリーガーの存在だった。
とりわけ大谷翔平は、日本のファンが見たことのないような巨大な打球を外野スタンド上段に打ち込んだ。これを見た人々の、腹の底からの「ため息」が集まった「ぶわー!」というような大音声は初めて聞くものだった。WBCは苦労していくだけの値打ちがあったのだ。

IMG_2765


しかしながら、試合が始まると「ふつうのプロ野球の色」に染まってしまう。主催者側が呼んだ「応援団」が、お決まりの曲を延々と演奏し、お決まりの振付で人々が応援したからだ。
「これが良い」というのは、参加しているお客だけだ。「ひとりよがり」と言っても良いのではないか。

アメリカラウンドにも応援団はついていった。前回大会は、日本側が応援団を派遣したと言われているが、今度はどうなのだろう?

日本ほどではないが、日本選手の打席で聞こえるどんちゃんどんちゃんは、このものすごい試合を「安物」に見せるには、十分な効果があったと思う。

しかし、サヨナラのタイミングでは、どんちゃんの方々は手を止めていた。プレーの音と、そのプレーに驚くCrowdのそのままの歓声の中で、ものすごいドラマが起こり、一瞬のうちにクライマックスを迎えたのだ。

MLBのツイッターに投稿されたこの動画の音を聞いてほしい。




世の中に、こんなにすごい歓声があるのか、と思う。一瞬のうちに天と地が決まったことを、人々は体感し、歓喜の声を挙げたのだ。

この音を聞けば、少なくとも野球の試合に必要なのは、選手と審判とCrowdだけだと言うことが分かる。

それ以外は本当に、何もいらないのだ。


私のサイトにお越しいただき、ありがとうございます。ぜひコメントもお寄せください!

好評発売中!



NOWAR


1960~62年柿本実、全登板成績