WBCは創設当初から極めて商業的な大会ではあった。収益の大部分はMLBとMLB選手会に入る。このためNPBの選手会は当初、参加に反対した。
MLB側が多少譲歩して、日本の参加が決まったが、スポーツの国際大会にはこうしたビジネスの問題がついて回る。
1987年、鈴鹿サーキットでのF1日本グランプリが行われたときは、サーキット内の広告の一部に布がかぶせられ、主催者のFIAと契約した企業の広告だけが掲示された。
今回の東京ドームの場合、既存の広告看板に布がかけられるようなことはなかったが、メインの広告スクリーンと、外野フェンス上部のスクリーンには、ペナントレースとは異なる広告が掲げられた。

2022年のペナントレース中
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2023年WBC開催中
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WBCの主催者は、MLBとMLB選手会が共同出資したWorld Baseball Classic Inc.だ。日本ラウンドは、この会社と読売新聞社の共同主催となっている。

スポンサーや放映権に関しては、電通が代理店になっている。
今回のWBCには、NIPPON EXPRESSホールディングス、コナミデジタルエンタテインメント、興和、THKがグローバルスポンサーになったが、これらのスポンサーフィーはWorld Baseball Classic Inc.に入る。アメリカではほとんどスポンサーはつかないから、WBC主催者の広告収入のほとんどは、日本側のものだ。

ただ今回は、侍ジャパンの運営会社であるNPBエンタープライズが、これとは別に三菱UFJ銀行、コナミデジタルエンタテインメント、花王(「サクセス」)、興和、日本コカ・コーラ(「檸檬堂」)とパートナー契約、さらに試合単位ではカーネクストもスポンサーについた。日本側も別個に広告収入を得るようになった。

アメリカ国内での放映権は100億円程度とされ、スポーツイベントとしてはそれほど大きくない。主要なネットワークでは中継はなかった。
今回、日本での放映権は50億円程度とされる。日本的には巨額だが、TBSとテレビ朝日が購入した。主催者、讀賣新聞社系列で、NPBエンタープライズにも社長を派遣している日本テレビは高すぎるとして応札しなかったようだ。NHKやフジテレビも同様。これらのテレビメディアは「報道枠」でWBCを報じるにとどまった。

今回の開催に当たってWorld Baseball Classic Inc.は、マイク・トラウトに出場を強く要請したと言われる。またMLB球団側にも選手の出場を促したと言う。今回のWBCの盛り上がりは主催者の一方ならぬアプローチによってできたものだ。

それだけに、今大会で日本が早々に敗退する事態は何としても避けたかった。東京ラウンドで日本が夜7時からのナイターに固定されたのはこのためだ。中国など他チームは日本戦のナイターから翌日のデーゲームという過酷な状況になった。
また、東京のPoolBの顔ぶれに、韓国以外に強豪チームがいなかったのは、最低でも2位で通過させたいと言う意図があったからだ。

侍ジャパンの優勝は、こうした優遇が背中を押したものではあった。だからと言って大谷翔平以下選手の偉業が色あせるとは思わないが。

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MLB公式サイトのトップ この大会は今のところMLB的にも成功なのだ。

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1960~62年柿本実、全登板成績