このところWBCのたびに韓国メディアは「韓国野球はなってない」と嘆くのが常になっている。
これまでの韓国メディアは「精神力の弱さ」「技術力の低さ」を指摘することが多かったが、今回は
「韓国野球が井の中の蛙になっているのではないか」「体制、育成システムを見直すべき」という、より根本的な問題だとの指摘が相次いだ。

韓国は野球だけでなく、何事でも「日本と比較する」ことが多い。日本が大谷翔平やダルビッシュ有などメジャーリーガーを輩出しているだけでなく、村上宗隆や佐々木朗希など、ずば抜けたポテンシャルの若手選手がどんどん出てきているのに対し、韓国は24歳の李政厚(イ・ジョンフ)がいるくらいで、めぼしい若手選手がほとんどいなかった。

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韓国野球の停滞を象徴しているのが、WBCの日韓戦で33歳の金廣鉉(キム・グァンヒョン)が先発したことだろう。

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彼は2008年の北京五輪で日本を手玉にとった左腕だが、あれから15年もたっている。18歳だった金は今年33歳。MLBも経験したが、あきらかに全盛期は過ぎている。そんな投手を「世紀の一戦」であるはずの「韓日戦」に投入せざるを得なかったことが、今の韓国野球の苦悩を象徴している。

その背景には「裾野の狭さ」がある。日本の高校野球は減りつつあるとはいえ、2022年の段階で3857校、登録選手数は131,259人だが、韓国は2020年段階で80校。それでも増えたのだが、選手数は3000人ほどだ。その裾野の狭さが第一にある。
さらに「多様性の無さ」。韓国の高校野球は「野球学校」であり、ほぼ全員が野球だけで大学に行ったり、プロにいったりする。ほとんど勉強をしないままプロになる選手も多い。日本では「文武両道」の選手の活躍が目立つが、韓国ではその素地がない。
そして「指導の旧弊さ」。韓国には野球は日本とほぼ同時期に伝わったが、日韓併合とともに日本式の「守る野球」が主流になった。しかし戦後、その反発もあって米進駐軍流の「打つ野球」が主力になった。投球、守りの比重が下がった。
沖縄でおこなれている韓国プロ野球(KBO)のキャンプでは、守備練習もそこそこに、選手が長時間打撃練習をするのが常だ。このあたり、大きく異なっている。

韓国野球のより大きな原因は「日本との交流が細くなった」ことにあるだろう。NPBには金泰均、李大浩など韓国の主力選手がやってきていた時期があったが、日韓関係が悪化して選手の交流がほとんどなくなった。コーチの交流は細々とあるが、韓国に日本野球の潮流が入ってこなくなったのだ。

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この間、NPB球団ではMLB流のデータ野球が取り入れられ、コーチングなども進化した。しかし韓国はこの流れから取り残されたのだ。

日韓関係は文在演政権の退陣とともに大きく改善している。日韓の野球交流を積極的に行うべき時が来ていると言えよう。

韓国メディアは「日韓交流戦」を提唱し始めたが、単なる勝った負けたではなく、技術向上や、システム改革も含め「日本流」を取り入れるべき時に来ているだろう。

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韓国野球がレベルアップすることは、日本にとっても大きなメリットがある。日本も積極的に協力すべきだろう。


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1960~62年柿本実、全登板成績