サッカーのワールドカップは人並みにテレビを見るが、いつも感じるのは世界の主要な国にそれぞれMLBのようなリーグがあって、各国にマイク・トラウトのような選手がいることだ。
ずっと野球ばかり追いかけている私からしてみれば、ちょっとめまいがするような気がする。どれだけサッカーの世界は大きいのだと思う。
サッカー以外にもバスケットボールやバレーボール、クリケットなどの球技も大きなマーケットを持ってはいるが。

こうした広がりがあるのは、サッカーが「普及しやすい」球技であることが大きいのではないか。オフサイドなどのルールはあるが、基本的には非常にシンプルなルールだ。
また、使用する道具も、端的に言えばボール1個だ。ゴールは、いろいろな素材で作ることができる。
ポジションは細かく分かれているが、キーパーを除けば、それらのポジションの役割も柔軟だ。
非常にシンプルなルールで、それだからこそ高度な作戦も立てることができる。ヨーロッパ発祥だが、南米、アジア、アフリカなどで様々な「サッカー文化」が花開いている。

こうしたことが可能なのも、発祥の地イギリスがオープンリーグから始まっていて、オープンマインドが基本になっているからだろう。

26606107_s


これに対し、野球は「ルールが複雑」だ。冷戦時代の映画で、アメリカの潜入するソビエトのスパイが潜水艦で「野球のルール」を覚えているシーンがあったが、ルールブックは分厚いうえに毎年改定がある。使用する道具はボール、バットに7つのグローブ、2つ(2種類)のミット。捕手の防具もいるし、打者はヘルメットも必要だ。投手、捕手、内野手、外野手とポジションごとに役割が違う。

また、野球は宗主国アメリカの権力が絶大で、縄張り意識も強く、閉鎖的だ。

競技としての差異はあまりにも大きい。このために競技人口には大きな差がついている。

しかし野球は北中米と東アジアの限られた国では、極めて高い人気スポーツとなっている。サッカーは世界各国で人気スポーツであり、各国にスター選手がいるが、野球は国によってはサッカーと肩を並べるか、サッカー以上の人気スポーツになっている。

また野球はその複雑さゆえに細かなデータ分析が可能であり、セイバーメトリクスをはじめとするデータ分析の分野が発達している。

ブルペンでの佐々木


今、アジアやヨーロッパを中心にMLBなどが野球の普及活動を行っているが、その普及は難しそうだ。今、野球が盛んな国は、少なくとも半世紀以上前から野球が盛んだった国だ。それ以降、野球界は、野球の普及には失敗し続けてきたと言ってもよい。

例えば日本は、半世紀前はサッカーはアマチュアリーグは存在したものの、マイナースポーツと言ってよかった。わずか30年前にJリーグがスタートして、そこからサッカーは野球に次ぐ人気スポーツになったのだ。
野球とサッカーの「伝播力」の違いは、ここに端的に表れている。

深くて広いサッカーと、より深いがはるかに狭い野球。その差は歴然としている。

野球界は「文化の違い」と言ってもよいその差異を認識して、長いスパンで対策を考えるべきだろう。


私のサイトにお越しいただき、ありがとうございます。ぜひコメントもお寄せください!

好評発売中!



NOWAR


年度別チーム第1号本塁打は俺だ! まとめリンク