ビールが、その中身以上に「飲む場所、状況」によって味わいが変わる飲み物であることは以前に申し上げた。
ビールは室内よりも、屋外の方が明らかに味がよろしい。しかも「人々が働いているときに、悠々と飲むビールは、ことさらうまい」。夕方、喫茶店当たりで往来をあくせく歩くスーツ姿を横目に見ながら飲む生ビール、周囲をビルに囲まれた神宮やハマスタで、ビル内で立ち働く人々に思いをはせながら、お姉ちゃんから買ったビールをスタンドで飲み干すうまさは「優越の味」と言ってもよいだろう。

では、その「あて」は何が良いか。
例えば素晴らしい差しの入ったステーキや、脂がとろけそうなすき焼きなどに、冷えたグラスのビールは確かに良いのだけれど、その場合、肉の味を邪魔しなけれな何でもよいのだ。

また寿司屋で、職人の手元を見ながら、小さなグラスで飲むビールも悪くはないが、別にこの状況は「ビールでなくてもよい」のだ。こうした「ごちそう」に対してビールは添え物だ。ステーキハウスやすき焼き屋、寿司屋にいって「どうだった?」と聞かれて「ビールがうまかった」と言う人はいないわけだ。

ビールを「主」と立てて、その味を引き立てる「あて」は何なのか?例えば寿司屋で「がり」をあてに飲み干すビールは結構なものだ。その程度のものでいいっちゃいいわけだ。

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桂文楽(八代目でがす。九代目じゃないでがす)に「馬のす」と言う小品がある。「電車込むね」のくすぐりで知られるが、文楽が枝豆を食べる仕草でビールが飲みたくなる。この話では酒は冷酒なのだが、ビールでいいように思う。ただ、実際に枝豆でビールを飲んでも、そんなにうまいとは思わない。炭酸の勝ったビールに枝豆の塩味はやや負けている気がするのだ。

フレンチポテト、フライドポテト、餃子、それぞれ結構ではある。いずれもあまり味が濃すぎなくて、塩味中心でさっぱりしたものが良い。
チーサなど、ビールの「あて」として売られているスナックも悪くはないが、いつも何となく物足りない。「ほら、ビールにピッタリでしょ」といわれると「それほどでもない」と言いたくなる。

もともと私は「アルコールにご飯なんて」という古い酒のみだった。飯は酒の後、が基本で、晩酌でも家人にそういってきたが、最近、ちょっと怪しくなっている。

新横浜から新幹線で関西に帰ることが割と多いが、そのときに、崎陽軒のシュウマイ弁当とビールを買って乗ることが多いのだ。
「飯は酒の後」原理主義の私としては「食べるのはからしをのっけたシュウマイ、筍、焼き魚」くらいにしたいのだが、その合いの手にビールをぐびっとのんで、ちょっとつまむ俵型のご飯が、ときに結構いけたりするのだ。
歳のせいかとも思うが、そのままついつい二つ、三つと俵を崩したりする。最後まで食べることはしないでおこう。持ち帰ろうと思うのだが、帰り道のビールとシュウマイ弁当は、最近では一番よく合うのではないかと思っている。

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あくまで、個人の感想です。


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