「先発投手は完投するのが当たり前」という概念は、もはや捨て去る方が良いだろう。
その理由を列挙しよう。

1.先発完投を目指すと「投球過多」のリスクが高まる

投手にイニング当たりの投球数は「15」が目安だ。完投すれば135球になる。今や先発投手は「100球」がスタンダードだ。投球過多になる危険性が高まる。
桑田真澄さんは「100球は、中4日の目安、中6日なら135球は行ける」としているが、今のところ毎試合135球を投げる投手は存在しない。
中6日で投げるとすれば23~24先発、完投すれば207~216イニングとなり投球数は3105~3240球となるが、これだけのイニング数を投げる投手は2013年の田中将大を最後に出ていない。

今の投手でも1シーズンだけなら200イニング3000球は可能だろうが、5年、10年とこの記録を続けるのは無理なうえに、故障のリスクも高まる。
何度も言っているが、打者のレベルが上がっている中、1人の投手が3巡目、4巡目と対戦すれば打たれるリスクも高まる。
先発投手は1球団に何人もいない。球団の資産である先発投手を長く活躍させるためにも、先発完投を「目標」とするのは避けるべきだ。

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2.救援投手こそが今の野球の「魅力」

昭和のNPBは60人が定員だった。この頃は1球団当たり20人前後しか投手がいなかった。例えば1960年の巨人で1軍のマウンドに上がったのはわずか16人だった。
今のNPBは70人が定員。その増えた分はほとんど投手になった。2022年の巨人の一軍のマウンドに上がったのは31人とほぼ倍増している。「投手は先発完投すべき」という一部の関係者の意見とは裏腹に、先発以外の投手はどんどん増えているのだ。
NPBの今の試合では「先発が降りてから」試合が動き出すことが多い。昨日のオリックスー広島戦が2番手投手の起用によって決まったように、先発ー救援の「用兵の妙」こそが、今のプロ野球の魅力だと言っても良い。

もちろん大エースが先発して完投することもたまにはいいが、それは110球以内で9回を投げ切ることができるときに限るだろう。

「完投することで救援投手を休ませたい」というエースもいるが、休み続きでは救援投手は飯の食い上げである。

今のNPBには個性的で素晴らしい能力がある救援投手がたくさんいる。

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多彩な救援投手に活躍の場を与えるためにも「先発完投」は過去のものにすべきだろう。



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