スクリーンが12あるシネコンで見たが、平日にもかかわらず「ほぼいっぱい」、一番の入りだった。
私がちょっと思ったのは「ドキュメントを見ることになるのではないか」ということだ。NHKの大谷翔平特集や、アマゾンで見ることができる2021年東京五輪の侍ジャパンのドキュメントなどは「このとき、選手は、指揮官は、何を考え、どう動いたのか?」をつぶさに描いている。我々は、当事者たちの「考え」「思惑」に感情移入して「一緒に考える」ことになる。
それはそれで楽しいけれども、あくまでこうした作品は、家のテレビやパソコンのモニターで見るコンテンツであって、劇場の大きなスクリーンで見るべきものか、という印象を持っていた。

しかし「憧れを超えた侍たち 世界一への記録」は「映画」だった。栗山監督が就任してから世界一に上り詰めるまで、時系列ではあるが「この時どうだったのか」「彼は何を考えていたのか」に焦点を当てて深彫りすることなく、早いテンポでストーリーが流れる。展開がスムースでサクサク進んだ。

ようするに「エンタテイメント」になっていたのだ。編集者が「劇場で公開すること」を明確に意識して作ったということだ。
膨大な画像から何を切り取り、どうつなげるかを考える上で「お客が楽しめること」を第一に考えていた。もちろん「ドキュメント」としての緊迫感は維持してはいたが。

栗山監督と30人の選手、コーチが主たる登場人物だったが、主役は何と言っても「大谷翔平」だった。別にことさらスポットを当てなくても、どうしても彼が真ん中に来るのだ。ダルビッシュ有や佐々木朗希、山本由伸、吉田正尚、村上宗隆などにもスポットは当たっているが、大谷はスケール感が違う。あの息詰まる試合の中で、実にのびやかに、楽しそうに野球をしているのだ。
吉井理人コーチがいい味を出している。そして栗山監督は61歳にも拘らず、青年のように若く、純真なのだ。

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WBCが終わってから、私は関係者のヒヤリングをした。近々記事にする。この映画にも少し出てきたが、その取材を裏付けるような内容だった。
彼らがどんな風にチームとしてまとまっていったかが、本当にうまく描かれている。大阪から東京ラウンドのすべての試合を観たものとしては、誠に感慨深い。

小難しいところは無くて、十分に楽しめる内容だ。エンドロールが長々続くが、そこで席を立たないように。最後に小粋な「落ち」がついている。

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