NPB各球団は、少子化、経済の停滞など決して良いとは言えない環境の中で、成長をすべく日々ビジネスを展開している。このあたり、他の企業と何ら変わることはない。
球団経営の柱は「入場料収入」「フランチャイズ収入」「スポンサー収入」「ライセンス収入」「放映権収入」「その他」だ。
入場料とフランチャイズで全売り上げの3割程度、スポンサーが3割程度、残りがライセンス、放映権、その他と言う感じだ。

観客動員は、球団ビジネスの基本だ。入場料収入が増えるだけでなく、フランチャイズ収入=球場での物品売買も増えるし、お客がたくさん入ればスポンサーフィーも放映権料も上がる。

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だから球団は何を置いてもお客をたくさん入れようとしているが、実は今、球団が気にしているのは「入場者数」ではなく「動員率」だ。「客席がいっぱい入っているように見える」ことを重視している。12球団の本拠地が「客席数」を減らしているのは、同じお客の数で「いっぱい入っているように」見せたいからだ。コロナ前47,508人だった甲子園の定員は42,600人と5000人も減った。東京ドームも45,292人から43,500人だ。日ハムが札幌ドームからエスコンに移転した理由の一つは、札幌ドームが41,138人ものキャパがあったからだ。エスコンは立ち見も含めて35,000人だ。

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少子化が進行する中、多くのお客を集めるのは難しくなっている。また多くのお客が入れば、場内整備など球場内の管理費用も嵩む。球場のダウンサイジングは、日本の「趨勢」に合致しているのだ。
そんなに入っていなくても「ぎっしり」入っているように見えれば、スポンサー、広告代理店、放送局は評価が高くなるのだ。各球場では改装の度に客席のシートは広く座りやすくなり、客席数は減っているのだ。

その代わりに力を入れているのが「客単価アップ」だ。多くの球場ではダイナミック・プライシングを導入しつつある。チケット価格を対戦相手や曜日などの条件に応じて随時変動させると言うものだ。「高くてもチケットを買う」お客がいるのに安売りをする必要はないからだ。その代わりお客が来そうにないカード、試合ではチケット価格を下げて「動員率」を上げようとする。

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同時に球場内での売り上げを上げるために、飲食、グッズの店舗、商品を充実させている。昔の球場と言えば「カレー」「やきそば」「ビール」だったが、今ではご当地グルメからスイーツ、クラフトビールまでが楽しめるようになっている。価格は割高だが「ここでしか味わえない」ものをそろえている。また球場内に「オフィシャルショップ」を備えている店も増えた。

「売り上げ」は「客数×客単価」だ。今のプロ野球は「客数」を抑えてその分「客単価」を上げようとしている。今のご時世、客数を上げるのは大変だが、客単価は新商品を導入するなどすれば比較的簡単なのだ。

「応援団」は、こうした球団マーケティングにおいては、どんな位置づけになるのか。
続く。



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