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ビジネスモデルの考察をするうえで「スケール感」は大事だ。プロ野球とJリーグの「スケール感」を比較してみよう。
■プロ野球
売上高:300億円(ソフトバンク)~80億円(ヤクルト)
観客動員:400万人~200万人 1試合3万人~2万人
親会社:広島以外は親会社の連結子会社になっている。広島も筆頭株主はマツダ(持ち株比率34%)
本拠地との関係:
グループ会社の持ち物・阪神、中日、オリックス、ソフトバンク、日ハム、西武
指定管理など運営代行・広島、DeNA、ロッテ、楽天
使用料を支払い使用・ヤクルト、巨人

ファンクラブなど顧客を組織化し、毎試合、2万人以上のお客を集めている。また、本拠地がグループ会社の持ち物や、指定管理者の場合、球場内の飲食、物販や広告収入なども売り上げになってくる。
経営不振になって損失が出た場合は、広島を除き、親会社からの損失補填がある。
親会社の資産的背景がある球団は、本格的なトレーニング施設や選手寮などを自前で作っている。また新たに施設を建設中の会社もある。

球団の多くはアカデミーのような子供を指導する組織を持ち、普及活動を行っている。ただ広島はそうした活動には消極的だ。

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■Jリーグ
売上高:
 J1・81億円(浦和)~22億円(湘南)
 J2・28億円(横浜FC)~6億円(いわてグルージャ)
 J3・15億円(松本山雅)~1.5億円(Y.S.C.C.横浜)
観客動員:
 J1・51.8万人(浦和レッズ)~16.6万人(福岡)
 J2・30.2万人(清水)~6.6万人(秋田)
 J3・15.5万人(松本山雅)~2.3万人(福島)
親会社:持ち株比率50%以上の親会社を持つJ1クラブ
 ヴィッセル神戸(楽天 100%)
 柏レイソル(日立製作所 99.8%)
 サンフレッチェ広島(エディオン 76.1%)
 横浜Fマリノス(日産自動車 72%)
 ガンバ大阪(パナソニック 70%)
 鹿島アントラーズ(メルカリ 61.6%)
 横浜FC(株式会社ONODERA GROUP 55.2%)
 FC東京(mixi 51.3%)
 名古屋グランパス(トヨタ自動車 50.12%)

ヴィッセル神戸と東北楽天ゴールデンイーグルスは完全な「兄弟会社」といえよう。NPBは広島以外はすべて親会社がある。J2以下でも親会社があるクラブはあるが、NPB球団と親会社のような強固な関係ではない。

本拠地との関係:
グループ会社の持ち物・柏レイソル、ジュビロ磐田
指定管理など運営代行・ガンバ大阪、鹿島アントラーズ、セレッソ大阪

これ以外に、所有者の自治体から「委託料」をもらって指定管理をしているクラブもあるが、大部分のクラブは「使用料」を支払ってスタジアムを使用している。

JリーグはJ1であっても事業規模でNPBの数分の1であり、観客動員も小さい。このために本拠地との関係もNPBほど強くなく、場内での広告収入や物販収入を100%得ることもできない。
国税庁によって親会社からの損失補填があった際は、NPB球団と同じ税制措置が得られることになったが、そもそも親会社のあるクラブの方が例外的なので、多くのクラブの経済基盤はぜい弱だ。

札幌ドームについていえば、親会社の後ろ盾もなく、年間30万人ほどしか動員がないコンサドーレが1社で札幌ドームを切り盛りすることはあり得なかったといえよう。移転当時でも150万人もの動員があった日本ハムの招致は必然だったといえる。

ではNPBに比べてJリーグのクラブはだめなのか?というと、それは全く別の問題だった。
NPB球団は200~300人の社員がいたが、その中には「元選手」というだけで、仕事ができない人も結構いる。またダメになったら親会社に頼めばいいという認識の社員もいる。
しかしJリーグは親会社がある場合でも「健全経営」が基本なので、社員の登用は「能力主義」であり、人事異動も活発だ。
NPB球団も能力主義になりつつあるが、会社としてはJリーグの方がまともではないか。

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さらに地域に対する働きかけもJリーグクラブの方が本格的で、成果も上がっている。
「小さいけれども、しっかりしている」Jリーグと「大きいけれども、のんびりしている」NPBという違うはあるだろう。



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