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横浜で取材をして、都市対抗の予選を見て、今日は関西へ帰るのだが、昼に杉本商事スタジアムで二軍戦を見て、夜は京セラドームに行こうと思っていた。オリックス対ヤクルト、ヤは何と奥川恭伸が投げると言う。

ところが3日間で3試合、5000枚以上撮影したカメラがうんともすんとも言わなくなった。
こりゃいかん、いったん家に帰ってカメラを換装して出直すべえ、と予定を変えた。

私は新横浜から帰るときは、必ず「シウマイ弁当」を買う。そして妻にも「シウマイ弁当どう?」と聞く。楽しみにしてくれていると思ったのだが、今日はLINEで「今日はもう別の食材を買ったのでいいです」といわれて「すん」としたが、気を取り直して1つだけ「シウマイ弁当」を買った。

新幹線の動く車窓を見ながらの「シウマイ弁当」は最高なのだが、乗った新幹線は10時過ぎ。昼には少し早いので、もう少し後で食べようと思っていたら、隣にサラリーマン風の50がらみの男性が乗ってきた。
なんと手には「シウマイ弁当」。彼も同好の士だったのだ。しかしながら、見ず知らずのおっさん同士が仲良く「シウマイ弁当」を食べるのは、ちょっと異様な光景なのでどうしよう、と思っていたら、そのおっさんは食べずに弁当を網棚に乗せてしまった。
こうなると、私も弁当を開けるわけにはいかない気分だ。京都で新幹線を降りてから食べようと思った。

列車が名古屋駅を過ぎて、おっさんはやおら網棚から弁当を降ろして、封を開けた。
この新幹線は大阪どまりだ。思うに、彼は大阪まで行く。そして名古屋京都間で弁当を食べようと言うことなのだろう。私は京都で降りる。早く食べてくれれば、何の問題もないが、時間がかかってしまえば、弁当を広げているテーブルを「すいません」と跳ね上げさせなければならない。申し訳ないし、見たくない光景だ。

ま、ええ歳をしたおっさんである。さっさと弁当を食べ終わるだろうと思っていたのだが「シウマイ弁当」を開けると、ふたの裏についたご飯を食べ始めた。いやいや、この非常時にそれはないでしょう。「シウマイ弁当」を開けたら、まずはしうまい一つ一つに醤油をかけて、からしを塗るところから始めないと、と思ったのだが。
このおっさんは、そこからの箸の運びも、おっとり、ゆっくりしている。

シウマイ


そのうえ、お茶を口に含むと、世をはかなむかのように「はあー」とかやっている。社員食堂で女子社員が付くため息のようだ。普段なら構わないが、あなたは京都までに弁当を食べ終わるんでしょうが。

列車はその間もどんどん進み、関ヶ原を越え、そろそろ伊吹山が見えようかというのに、シウマイ2つほどしか減っていない。卵焼きも鶏のから揚げもある。俵型のご飯を半分箸でちぎっては、口に運んでいる。そして何回かお茶を含んで「はあー」をやっている。ひょっとして小食のおっさんなのか、このペースで大阪駅までゆっくり食べる気なのか、と一人気をもんでいる私である。

すると「佐和山城跡」を過ぎるころから急にペースが上がって、シウマイを立て続けに1個、2個と口に運んで、俵型のご飯も連続で食べている。卵焼きもなくなった。
いいぞ、と愁眉を開く思いがするうちに、逢坂峠を越えて京都に入ったころに食べ終えて、丁寧に弁当がらを包みなおし、テーブルを跳ね上げて、ごみ入れに捨てに行った。お見事。

やはり「シウマイ弁当」が好きなだけあって、立派な人だったのだ。よかったよかったと京都駅で新幹線を降り、乗り継ぎの近鉄特急で、さて、と、私も「シウマイ弁当」を開けて、10分もかからずに食べてしまった次第である。


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