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盆期間中に新幹線で東京往復するのは、出来れば避けたいのだが、必要があったので乗ることになった。全席指定は別に構わない。私は自由席には乗らないから。
ただ、EX予約で一度時間を変更したら、通路側になった。この時期だから仕方がない。新幹線に乗る時間は、私にとってはほぼ「仕事時間」なのだが、一般客席の通路側だと電源が使えない。パソコンやスマホの電池残量を気にしながらの異動になったのだが。

名古屋を過ぎたあたりで、前の席から強烈なにおいがしてきた。生臭くて、ちょっと甘やかで、生ごみのようで、前の親父がスルメを食べ始めたのだ。70年配の年寄りで、夫婦で乗っている。奥さんが「お父さんこれ」みたいに渡して「おう」と受け取って食べ始めたのだろうが。

私もスルメは好きだが、基本的に酒の肴だ。しかし、田舎のおっさん、おばはんの中には、おやつ代わりにスルメや臭いたくあんを食べる人は確かにいるのだ。

私の隣には、アジア系と思しき外国人のあんちゃんが乗っていて、ゲームをしていたが、その手が止まった。
通路を挟んで向こう側には西洋人の親子連れが乗っていたが、母親が異臭に気が付いたようだ。

周囲がちょっとざわめきはじめたが、おっさんは全く気が付く気配がなく、ビニール袋からもう1本出してきてしゃぶり始めた。

真夏に、時速200㎞/hで走る車内で、スルメのスメル、これはかなり暴力的だった。「イカ臭い」という言葉を久々に思い出した。

外国人が私の顔を見る。説明を求めているのか?

しかしスルメが何であって、なぜこんな臭いがして、この年よりは何を好き好んで、そんなものを食べているのか、を説明する英語力は、持ち合わせない。

スルメは英語で「dried squid」という。まんま「乾燥したイカ」ということだが、原材料や製法がわかったところで、なぜ、そんな変なものを、この老人がしゃぶっているのか?そしてなぜそんな強烈な臭いがするのか、どう説明すればいいのか。

そうこうするうちに、そのおっさんはうとうとしだして、スルメを食べるのをやめてしまった。
臭いがしなくなって、周囲の苛立ちも消えた。

東京で降りるときに、スルメスメルの老人は、どんな顔をしているのか、と顔を覗き込んだが、往年の丹波哲郎のような立派な押し出しの老人だった。
手には「551の蓬莱」を持っている。このおっさんが車中でスルメと豚まんを暴れ食いしたら、車内は阿鼻叫喚の巷になったやも知れない。そう思えばまだしも幸いだったと思った次第。

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