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いや、参りましたなあ。「光る君へ」である。まさに神回ではあろう。今日の回は「歴史の空白」あるいは「謎」と言うべき部分に、72歳の大石静が、ど直球で答えを出したといえる。
まずは、道長の「御嶽詣」、「御堂関白記」にも記述がある史実で、この時に道長が奉納したものがいくつも今に伝わっているが、この際に、藤原伊周が襲撃したと言う「俗説」があったが、大石静は、それが未遂に終わったのは「弟の隆家が諌止した」という解釈をしたのだ。これは安倍晴明の「予言」の伏線回収でもあるが、同時に、なぜ仇敵の一味である隆家が、道長に処遇されるようになったか「刀伊の入寇」に際して武功を挙げたというのは、やや弱いという印象だったのを、しっかり補強したわけだ。
要するに隆家の方から、左大臣道長を「選んで」いたわけだ。藤原隆家は、この武功以降、九州を地盤とする。俗説ではあるが、菊池氏は隆家の末裔を名乗り、代々「隆」を通字とするわけだ。そしてこの菊池の支族と称する西郷隆盛の「隆」も、藤原隆家にあやかっているわけだ。
カードがパラパラパラと裏返っていくような快感があると思われぬか、ご同役。

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それから、一条天皇と中宮彰子の関係について。
「源氏物語」のストーリーの進行をオンタイムで読み進んでいた中宮が、一条への思いを募らせる。それを藤式部に打ち明けると、式部は「思いのたけを打ち明けなさいませ」という。
その直後に一条がやってきて、彰子が感情を爆発させる。このあたりの盛り上げ方。

私がすごいと思ったのは、一条が「出直す」と言ったこと。ここで「朕もじゃ」と言わせないのは、天皇が育ちの良い人間で(天皇だから当たり前だけど)で、重厚な思考ができる人間で、今、自分に起ころうとしていることを「自身で解釈しよう」としたと言うことでしょう。この一拍の「間」が、1000年以上の時間の「霧のかなた(司馬遼太郎の言う)」にあるはずの物語のリアリティと重厚さを創る。

で、話をそこでぼやかさない。帝が改めて「お渡り」となって、あとは「蔀戸のうち」となるかと思ったら、そこから先も描くんですね。いやいや、これ、ちょっとした「エマニュエル夫人」やん。

一度も戦が起こらない、この時代にはすでに頼光、頼親、維衛と武者がいたにもかかわらず、それも登場させない。それでも「大河」ならではのスケールの大きさを存分に描いてみせる。

これはすごいです。来年の大河も異色だけど「光る君へ」のあとだと苦労するでしょう。

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