61nYtrkNMfL._SL1000_


Jリーグは発足時に「プロ野球を反面教師」にした。プロ野球で問題があると思える部分については、Jリーグは「マネしないでおこう」と思ったのだ。
NPBの「コミッショナー」は「最高権力者」ということになっていたが、非常勤で単なる「お飾り」だった。Jリーグは「こういう役職はいらない」として「チェアマン」を設けた。チェアマンとは「議長」という意味だが、リーグ、運営陣を取りまとめて、最終決裁を行うリーダーだ。Jリーグは、チェアマン以下、リーグ機構のトップダウンで多くの決断をしてきた。

同時にJリーグは入場者、観客を「ファン」ではなく「サポーター」と呼ぶことにした。これは、観客を単なる「顧客」ではなく、クラブ、選手を励まし、サポートする存在だとしたのだ。

ファンは単にお金を払って試合を見て、選手に声援を送るだけの存在、単なる「お客」だ。選手のプレーやチームの采配、球団の運営を称賛したり、ブーイングしたりするが、選手、球団はこれに対応する義務はない。「お客」であるファンは、球団の運営に口をさしはさむことはできない。
気に入らなければ「ファンをやめる」ことしかできない。
ファンと球団の関係に線引きをしたのは「私設応援団」が球団の運営に口出しをしたり、観客席をめぐって勝手に商売をしたり、暴力団と癒着して他のお客を恫喝したりしたからだ。
NPBでは2006年から球団を通じて日本野球機構に登録を申請し、許可を受けた私設応援団のみが活動できるようにした。
つまり、プロ野球のファンは「NPBに管理される存在」になった。ファンが球団に口出しすることはあり得ない。
NPB球団は経営情報を一切開示していないが「その必要はない」という解釈だ。
上沢の移籍をめぐって日本ハムのファンが文句を言っているが、球団がこれに対応することはあり得ない。

IMG_2735


これに対し、Jリーグのサポーターは、お客であるとともに、Jリーグの支援者であり、その運営に関与し、利害を共有する「ステークホルダー」だ。もちろん、ステークホルダーの中ではステイタスは最下位で、実態は「お客」に他ならないが、形式上ステークホルダーとすることで、NPBとファンの関係とはかなり違ってきている。
Jリーグ各クラブの経営状況は、Jリーグ公式サイトに公開されている。経営状態は丸裸になっている。このために各クラブの経営状況が露呈し、サポーターの批判の対象になっている。
また、クラブが大きな決断をするときには、必ずサポーターの前で「発表」「説明」をする。
形式上の「ステークホルダー」であっても、Jリーグ、クラブは「気を使わざるを得ない」わけだ。
お客を「ファン」ではなく「サポーター」とすることはリーグ、クラブにとって「功罪半ばする」もといえる。
「ディスクロージャー」することで、Jリーグの運営はNPBよりはるかに健全ではある。親会社があるクラブも金銭のやり取りが明らかになるのは良いことではあろう。ガバナンスの所在も明確になっている。
しかし「サポーター」は、まともな人間だけではない。クラブや選手に難癖をつけたり、誹謗中傷するろくでもない人間も混ざっている。今のJリーグは、個別に「出禁」にすることはできても、こうした「ならず者」的なサポーターの集団を排除することは、建前上できない。そういうデメリットもあるということだ。

当サイトにも「サッカーではこうだ」というコメントをする人がいるが、JリーグとNPBの構造上の違いを認識してコメントすべきだろう。





私のサイトにお越しいただき、ありがとうございます。ぜひコメントもお寄せください!

好評発売中!

81UUCLO+nDL._SY466_

https://amzn.to/47hJdhC

2021年山本由伸、全登板成績【投手五冠にリーグ優勝に金メダル】

NOWAR