元ヤクルトスカウトの片岡宏雄さんは、著書で、巨人のスカウトは、選手の獲得交渉をしても、フロントや監督にひっくり返されるから気の毒だ、と語っていた。
また大物選手、有名選手に張り付かざるを得ないため、独自の選手発掘が出来ないとも語っていた。



常々、私は巨人のスカウト陣は機能していないのではないかと思っていた。最近の実績をみてその思いを強くした。
野手、投手に分けて見ていこう。長野久義、菅野智之で巨人と競合するなど、何かと因縁のある日本ハムを比較対象として付ける。
まず、野手から。

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野手は各ポジションで1~2名が固定できれば、しばらくは安泰である。巨人は2008年の大田泰士を除くと、毎年主力選手を一人ずつ獲得している。

清武英利さんの「巨魁」によれば、坂本の獲得はスカウト大森剛の強い推挙によるという。今は育成枠に落ちている脇谷や藤村大介などもスカウトが掘り出してきた選手だ。長野は別格だ。野手を見る限り、日本ハムと大差はない。スカウトは機能しているように思える。



しかし、投手である。

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他球団ではここ数年の間に獲得した投手が主力を形成している。日本ハムも同様だ。八木、武田勝、吉川、榊原、中村勝、増井。投手陣のポイントに人が埋まっている。

巨人は惨憺たるありさまだ。澤村拓一が出るまで、何とか1軍の試合で見ることが出来るのは越智大祐と金刃憲人くらいだ。宮國椋丞がものなりかかってはいるが。1軍の試合に出ることなく終わっている選手のなんと多いことか。

昔、故海老沢泰久さんが「あとからあとから他球団の大物選手が入ってくるから、巨人の二軍選手は、いくら頑張っても未来がない」と書いておられた。そういう一面もあるだろう。横浜などは、ドラフトでかかった選手は良くても悪くても大半が1軍の試合に出る。選手層が薄いからで、大抵は結果を残さず消えていく。巨人は層が厚いから若手が伸び悩むという部分もあるのだが、こと投手に関して言えば、見立て違いが大きいのではないかと思う。

一般的に中継ぎ投手は、ドラフト2位以下の投手の中から適性を見出されて抜擢されるケースが多い。日本ハムでいえば榊原、谷元、増井らがそうだ。今年でいえば森内、千葉ロッテの中後などもそうだ。

巨人ではそういう抜擢が少ない。育成の問題とともに、獲得する選手の適性の問題が大きいように思う。

巨人はこうした実績をどう考えているのだろうか。気になるところである。

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