「明日は野球じゃけん、12時に市営球場、弁当を忘れんように」
「先生、お墓参りがあるんじゃけど」
「そんなん、朝早うに行ったらええんじゃ」
みたいな会話があったのだろう。今治市営球場の一塁側スタンドには、今治北高校のブラスバンド部が陣取って、愛媛マンダリンパイレーツの各選手にコンバットマーチを鳴らしていた。
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観客は650人ほどだが、応援は実ににぎやか。「静かに野球が見たい」という私の願いは、もはや日本のどこにいてもかなえられることはない。

四国アイランドリーグ+の愛媛対香川オリーブガイナーズ。もう四国で野球を見始めて8シーズン目になる。1年目からお客さんは結構入っていて、NPBを真似した応援が繰り広げられていた。その風景はそれほど変わらないが、選手はずいぶん変わった。

昔は高校や大学を出たての、20代前半の選手が多かったのだが、今はNPBから流れてきた選手、海外から来た選手も多い。愛媛には横浜から橋本将、中日から河原純一も加入している。今日は出番はなかったが。

愛媛の先発は徳島インディゴソックス出身で、千葉ロッテから出戻った小林憲幸。27歳。がっちりとした体で、威力のある球を投げる。

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香川の打線の3番には、桜井広大がいる。日に焼けているが、表情はさえない。

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2番はウィルバー・ぺレス。2006年AAAのサクラメントでは、ミルトン・ブラッドレーなどとも同僚だった。香川の先発は20歳になったばかりの渡辺靖彬。軟投派の割にコントロールが悪いが、愛媛は攻めあぐねた。

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両翼91.44mという狭いグランドだが、引っ張ったいい打球がほとんど飛ばない。二塁打が3本出たが、いずれも左打者が流し打ったものだ。終盤に、桜井の後ろを打つ島袋がライナー性の本塁打を打ったが、全体的に非力の印象は免れない。

愛媛の3番はブレット・フラワー。独立リーグを渡り歩いて5年、MLBとは無縁の打者だが、金泰均が茶髪に染めたのか、と思うくらい打撃フォームが似ている。しかしバットはからっきしだった。

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香川の渡辺が4回を無失点で抑えた後、アレックス・マエストリがマウンドに上がった。イタリア代表、2009WBCで2試合に救援登板し、2.2回をほぼ完ぺきに抑えた投手。
シアトル・マリナーズで売り出し中のリッディもそうだが、イタリア野球は急成長中なのだ。力感のある投げ方だが球は来ていない。簡単に芯でとらえられるが、球が重たいためか、打球は途中でお辞儀する。チェンジアップが有効だった。

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桜井は5打席に立った。良い当りは2度ほどあったが安打なし。NPBの一線で活躍していたからと言って、独立リーグでの活躍が保障されているわけではない。番付が落ちれば、落ちたなりの相撲しか取れないということもあるのだ。

7回にはオレンジ色のジェット風船が上がる。こういうの、すぐに広がるのだ。
渡辺は打ち込まれながらも完投。ベンチの意思が見て取れる。
マエストリがあと一人で打ち込まれ、最後は西村拓也が登板、左翼が安打性の当たりをダイビングキャッチ。3対2で香川の勝ち。なかなかの好ゲームだった。

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組織としての四国アイランドリーグplusは年々充実している。
とにかく公式選手名鑑の出来が素晴らしい。

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リーグの紹介、リーグ戦の概要、NPBとのかかわり、各チームの地域活動、さまざまなトリビア、審判の情報まで。そこから見えるのは、リーグとして「何をすべきか」「どこを目指すのか」というはっきりした意志だ。地域にプロ野球を根付かせるという熱意だ。四国4県の知事のメッセージも心強い。

この選手名鑑には、二宮清純さん(愛媛県宇和島出身)が寄稿している。

NPBは今年から四国アイランドリーグplusやBCリーグとの提携を始めた。育成枠の選手を独立リーグに派遣し、その人件費を負担するというものだ。まだまだ小手先の感がある。しかし独リーグにはMLBから選手を派遣したいとの申し出も来ている。

二宮さんは、選択権は独立リーグにある、と強調する。そしてNPBとのイコールパートナーシップを築くべきだと強調する。
また、米独立リーグの選手がプレイしているのは、NPBに売り込むためだという。いろいろな試みが動いているのだ。

グランド整備は選手たちがやっている。

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選手を取り巻く環境は決して良いとはいえないが、NPBよりもはるかに前向きなリーグ運営が行われている。応援したい。



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