新聞というメディアは、あまり学習しないようで、今年の日本シリーズの予想も、ソフトバンクが圧倒的に有利と書いている新聞が多かった。その根拠として、リーグトップの打率、防御率などを上げているのもほぼ同じだった。
今年、MLBのアナ両リーグで最強のチームは、ニューヨーク・ヤンキース=NYYとフィラデルフィア・フィリーズ=PHIだった。しかし両チームともに地区シリーズで敗退した。レギュラーシーズンとポストシーズンは、全くの別物。例えるならば、マラソンの優勝者に100m走を競わせるようなものだ。
短期決戦のポストシーズンを戦ううえで、必要なことは選手の中で「誰の体が動いているのか」を見極めてオーダーを組むことだろう。シーズン通算成績にとらわれて打線を組むと、往々にして穴ができてしまう。投手起用も同様だ。
中日の落合監督はこのことを熟知している。だから、今季73試合しか出場していない小池正晃を先発メンバーに据えたのだ。昨日の平井正史の救援起用も同様だろう。これに対しソフトバンクの秋山監督は、19セーブを挙げたとはいえ、球が走っていない馬原孝浩に固執して墓穴を掘った。

秋山幸二、落合博満、両監督の対決を見て、二人の現役時代を思い出した。秋山は85年から3年連続で40本塁打を打った。しかし、落合がその上を行く50本塁打を打ったためにタイトルは取れなかった。シーズン中、秋山との本塁打争いについて聞かれた落合は「あんなのはライバルでも何でもないよ」と言い放ったのを覚えている。秋山が本塁打王になったのは、落合が中日に移籍した87年のことだ。秋山には落合への苦手意識があるのかもしれない。




もうひとつ、試合を見ながら思いうかべたのは、読売新聞渡邉恒雄会長の顔だ。この人が清武代表のコーチ人事をひっくり返そうと思ったのは、ポストシーズンに敗退したからだそうだ。腰巾着の桃井恒和オーナーは「会長としては状況が変わった、見直しが必要だという、判断だったんだろうと思います」と語った。
記憶違いであったら申し訳ないが、確か渡邉会長はプロ野球の経験はなかったように記憶する。その彼が、ポストシーズンに勝ち抜くための秘策を持っているのだろうか?サッカーのアジアカップでベンチの監督に無線で逐一作戦を指示した北朝鮮の金正日総書記のように、一般人には計り知れない能力を持っているのだろうか?「江川卓」という名は、その能力によって浮かんだ名前なのだろうか?
そうではなくて清武さんの顔を潰すことを目的とした、懲罰的人事だとすれば、清武さんだけでなく、江川卓にとっても失礼なことだ。
渡邉会長の反論、清武さんの再反論と応酬が続く中で、清武さんの立場はだんだん悪くなってきているようだ。マスコミ、特にスポーツ新聞は渡邉会長支持に回りつつあるようだ。あとになって巨人軍から取材拒否をされては困るからだ。
私は清武さんの「たった一人の反乱」を引き続き支持したい。これから彼の前歴や所業などつまらない話もボロボロ出てくるだろうが、組織人でありながら絶対的な権力者にひとり立ち向かった勇気を買いたい。そして、彼の行為が「蟻の一穴」となって、NPBの改革が進むことを期待したい。

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