野球の記録で話したい

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イチロースランプ知らず|MLB

【2009年6月29日「MLBをだらだら愛す」掲載過去記事】

打者のスランプの定義はいろいろあるだろうが、端的にいえば「ヒットが出ない」ということだろう。でも1試合や2試合出ないでスランプとはいい難い。3試合連続でヒットが出なければスランプだ、と定義してみる。

イチローの1300試合を超すMLBのSTATSを見ていく。印象では、スランプは結構あったように思ったのだが、

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わずか9回しかなかった。無安打の最長は5。どんな強打者でもシーズンに1、2度は5試合くらい無安打の試合があるものだが、イチローは8シーズン半で1度だけである。いかに密度高く安打を打っているかがわかる。

さらにスランプの前後3試合の記録をとってみると、イチローのスランプからの立ち直りの早さもわかる。

昨年はイチローにとっては「裏年、不作の年」だったのだが、それでも3試合以上の無安打試合はなかった。固め打ちこそ少なかったが、コンスタントに安打を打っていたのだ。円熟の境地を感じる。

実は2試合連続無安打でさえも昨年の8月13、15日以来ない。しかも今期になってからは、無安打試合さえ5試合しかない。そのうち1、2試合で安打が出ていれば、とてつもない連続試合安打の記録が出ていたはずだ。

一昨日から始まったLAD戦、好調な投手との対戦が続くが、すごい勢いでヒットを量産している。ESPNのProjectedでも、今期の最終は253安打となっている。8試合欠場しているのに262安打に次ぐ記録である。

気がかりなのは、イチローの3試合連続無安打記録が最も多く出ているのは、4月とともに7月だということだ。ベテランの域に達しているから、コンディション調整は万全だろうが、息切れしないことを望む。

■後日談:2試合連続無安打なしと言う記録は、終盤に途絶えたが、今年のイチローは好調を維持した。

伊良部と三澤の近況|MLB

【2009年6月27日「MLBをだらだら愛す」掲載過去記事】

日本でも一部報道されたが、5月に開幕した米西海岸の独立リーグゴールデンベースボールリーグ、ロングビーチアルマダで、伊良部が先発投手として投げている。読売で長らく中継ぎを務めた三澤興一も同じチームで頑張っている。後で知ったのだが、このチーム出身者にはSEAのヤクバゥスカスがいる。しかし、25人のロースターにMLB出身者はほとんどいない。レベルは決して高いとは言えない。

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三澤は2006,7年と野球をしていなかったが、2008年独立リーグのノーザンリーグ、ゲーリーラりキャッツで29試合7勝1敗6SV2.29の好成績を残し、クローザーとして入団した。しかし開幕2戦目から3試合連続で救援に失敗した。調整期間を経て6/16にセットアッパーとして復帰、2試合を押さえたが、6/24リードされている場面で最終回に登板して再び失点している。苦労しているという印象だ。

伊良部は6/5のYuma戦で先発、5回を投げ6安打を打たれるも勝利投手となる。次の試合7回1自責点と好投したが、その次は打ちこまれた。このレベルでこの成績は、何とも言えない。これを踏み台にMLBを目指すとは今のところ思えない成績である。

気になるのは、伊良部自身が野球を楽しんでいるのかどうか。独立リーグは、ビジネスというより「野球を続けたい」という気持のプレイヤーが多いと思うので。

■後日談:伊良部はアメリカと日本の独立リーグを少しつまみ食いしただけで、今年を終えた。楽しくなかったのだろうか。

イチロー、史上最強のシングルヒッター その2|MLB

【2009年6月24日「MLBをだらだら愛す」掲載過去記事】

シングルヒットの通算記録を並べてみると、ほぼ通算安打と同じ顔ぶれが続く。

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ピートローズ、タイ・カッブという安打、1、2位が単打でも同じ位置を占める。中で抜け落ちているのが長距離打者。バリー・ボンズ(2935安打)、ベーブ・ルース(2873安打)、ルー・ゲーリッグ(2721安打)らである。彼らの安打数に占める単打の割合は50%台なのだ。対象的に単打比率が高く、上位に来ているのがウィリー・キーラー、ロッド・カルー、サム・ライスなどの「安打製造機」である。中で単打比率が80%を超えているのは、ともに40年代~60年代にかけて活躍したネリー・フォックス、リッチー・アシュバーンの二人である。

イチローは今、1547単打の168位。しかし、フォックス、アシュバーンに近い比率で単打を量産している。その点では同系の選手に見える。しかし、イチローはフォックス(.288)、アシュバーン(.308)よりもはるかに打率が高い。スケールが違うというべきだろう。

実は単打率がイチローよりも高い選手は掃いて捨てるほどいる。多くは、長打が打てないだけでなく打率も低い、いわゆる「守備の人」である。イチローほど打率が高くて、しかも単打を打ちまくる選手は、1世紀前はともかく、今はほとんどいない。その点でも異能というべきだろう。

あと5年、40歳までほぼ同じペースで単打を打ち続ければ、歴代ベスト10に入る。わずか14年で、である。これを偉業と見る人は少ないかもしれないが、一つの金字塔なのは間違いがない。

■後日談:多彩な物差しで測れるところに、球技、とりわけ野球の面白さがある。単打に光を与える評価があっていいと思う。

イチロー、史上最強のシングルヒッター その1|MLB

【2009年6月23日「MLBをだらだら愛す」掲載過去記事】

昨日、96本目のヒットを打って、イチローは再びギアがトップにかかったような感じである。ESPNには、ProjectedというSATSがある。このペースでいけばシーズン何安打するか、というものだが、これを見るとシーズン242安打するという計算になっている。200本は軽く超えそうである。

これとともに、地味な記録だが注目すべきものがある。それはシーズン単打記録である。イチロー、3度目の200単打なるか。

実はシングルヒットの世界では、イチローはすでに圧倒的なレコードホルダーである。

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左側のシーズン最多単打の記録。イチローの周辺にいるのは、ほとんどが100年以上前の選手である。ウィリー・キーラーも、ロイド・ウエィナー(ビッグポイズン)も伝説の選手だ。そして、その中でもダントツの記録を積み上げているのだ。イチローのバッティングが、いかに特異なものかがわかる。

デビュー以来の記録でも、2003年を除き単打王の記録を保っている(2003年にイチローを破ったホアン・ピエールはイチローに次ぐシングルヒッターではある)。

現在は、OPSというSTATSが幅を利かせ、単打よりも長打が良いとされ、安打と同じくらい四球の価値があるとされる時代だが、ここまで単打を打てば、文句はないだろうという気がする。イチローの安打数は大部分の選手の安打数+四球よりも多いのだ。

今年はESPNのProjectedでは、190安打の予測だが、もう少し短いのも打ってほしい気がする。

■後日談:イチローなかりせば、ジーターが単打王と呼ばれただろう。

高見山=東関引退で思ったこと|NPB

高見山の時代

 

野球とは関係のない話から切り出すことをお許しいただきたい。

6/19に元関脇高見山大五郎の東関が年寄り定年を迎え、角界から引退した。私は現役時代の高見山が死ぬほど好きで、その土俵を毎日毎日心臓をバクバクさせて見入っていた。きっかけが何だったのかはわからないが、たまたま熱心に中継を見出した1972年7月場所で優勝したことから、寝ても覚めてもという状態になったのだ。

大きな上体の下に実に細くて貧相な下半身がついている。その重たい上体を前傾させて、まるで重連の機関車が通過するように前に出るだけが高見山の相撲だった。少しでもいなされたり、懐に入られたりしたらまずダメ。小兵力士に弱くて、鷲羽山や旭国にはぶん投げられたり転がされたりしていた。ただ、横綱輪島には強かった。ノド輪をかまされると横を向く癖のある輪島ののど元にガシっと太い掌をあてがい、あとはひたすら前に出るだけ。輪島は前ミツを必死に探るうちにずるずると下がって土俵を割ったものだった。

このお相撲さんは、ハワイから連れてこられた。その以前から外国人力士は何人もいたが、長続きはしなかった。荒岩マーチンのように実力のある力士もいたが、結局閉鎖的で上下関係の厳しい相撲界に耐えられず、早々にやめていったのだ。

高見山を連れてきた横綱前田山の高砂は、彼を甘やかすことなく日本人と同じ生活をさせた。一方で高砂部屋の実質的な創業者の四股名「高見山」を与えるなど、常に目をかけていた。引退したばかりの振分(横綱朝潮)や前ノ山、富士桜などの励ましもあり、高見山は多くの日本人力士よりも長く土俵に立った。優勝もし、金星の記録や勝利数の記録も作った。

しかし、その高見山をして大関に昇ることはなかった。その当時は「これが外国人の限界」だと思ったものだ。昭和40~50年代、大相撲は野球に次ぐ人気スポーツだった。毎年春場所には百数十人の新弟子が集まった。数だけでなく、質も高かった。故先代貴乃花は、オリンピックの水泳選手になろうかという人材だった。北の湖は小学生の頃から身体能力の高さで注目されたが、知力の面でも抜群だった。後に関取として名を成すものは、相撲教習所の成績も良かった。要するに、当時の相撲界には上質のアスリートが入ってきていたのだ。

 

「外国人力士」というビジネスモデル

 

高見山の拓いた道を後進が続いた。小錦は、その非常識な体のサイズと意外に粘っこい下半身で日本の力士の脅威となった。曙は、「下半身がしっかりした高見山」という感があり、その破壊力で横綱まで登った。しかし、当時は相撲を「“重心の低さ競争”から“格闘技”に変えた」千代の富士がおり、その後継者としての二代目貴乃花がいた。日本人と外国人の拮抗した覇権争いは見ごたえがあった。

相撲界の変質は、その時期(平成初頭)からはじまっていた。「分離独立を許さず」という厳しい掟で結束していた出羽の海部屋が独立を許容するようになったことも契機となり、小さな部屋が乱立するようになった。小さな部屋には小さな谷町=スポンサーがつく。その多くはパチンコ、飲食店主、そしてはやりのベンチャー企業。これまでの相撲部屋の谷町=三井、住友、サントリーなどの大企業は、親方に「相撲界の伝統」を教え、健全な経営者としての品格、モラルを求めてきたが、彼ら新興スポンサーが若い親方に説いたのは「てっとり早い成功」である。「ビジネスモデル」を創案し、そこにもてる経営資源を注入して成功する。自分たちと同じ道を歩むことを求めたのだ。

当時の相撲界のおける「ビジネスモデル」とは、「外国から力士を連れてくる」ということだった。当時すでに相撲協会は外国人力士を「1部屋1人」と規制していた。しかし、おもに旧共産圏から連れてこられる若者は、例えばその国のレスリングのチャンピオンであり、蒙古相撲の名門の子弟であり、一級のアスリートだった。たとえ番付の最下位から相撲を取ったとしても、関取(十両以上、750人中80人以内)になる可能性は高い。関取ができれば部屋は潤うし、弟子は増える(=養育費と言う名の収入が増える)。旭鷲山を端緒とするモンゴルや東欧圏の力士の増加の背景には、こうした動きがあった。モンゴルなどでは有力な若者の周辺にはブローカーの影があり、裏で金が動いているという噂が絶えなかったが、多くのスポンサーはこれを「投資」と心得て資金援助をしたのである。

こうして連れてこられた外国人は、「金の卵」である。逃げられては大変だから、お客様として遇する。「相撲界の慣習を教え込む」どころの騒ぎではない。わがままは聞く、甘やかす。先輩力士たちが付け人のように気を配るのが通例となった。

 

大相撲、衰退の危機

 

朝青龍の出現以後、相撲界は大きく変質した。横綱、大関の大部分を外国人力士が占め、日本人優勝力士も栃東以来出ていない。新興部屋では協会から支給される養育費ほしさに、手当たり次第に新弟子をあさるようになった。その一方で、身体能力や知力の高いアスリートは相撲界に魅力を感じず力士を志向しないようになった。日本人力士と外国人力士の格差は広がるばかりである。

乱立する部屋は、若い親方が一人で切り盛りしている。金儲けには熱心でも、力士の行儀作法やモラルを教える意識は希薄である。一門の紐帯は弱まっている。モラルハザードはこうした中で次々と起こっているのだ。

関西で熱狂的な支持を得ている夕方のバラエティ番組「ちちんぷいぷい」は、開始当初、無謀な賭けだと言われていた。当時、15:00から18:00の時間帯は大相撲中継が圧倒的な視聴率を稼いでいたからだ。今は完全な昔話となってしまったが。

相撲界の長期低落傾向は、相撲部屋と言う構成要素が腐敗していくなか、指導者層が何ら有効なビジョンを打ち出せなかったことで進行した。真因は顧客に魅力的な姿を提示することなく、既得権益に胡坐をかき、その体制の安定のみをひたすら求めてきたことにある。大相撲はこのままフェードアウトする可能性さえはらんでいると思う。高見山の東関は、今の外国人隆盛の相撲界を複雑な思いで眺めているのではないか。

 

NPBはもって他山の石となせ

 

さて、この相撲界と同じような状況を迎えているのが、台湾のプロ野球である。人気浮揚策として外国人選手を招き、布雷(ブリト)、雷鵬(レイバーン)などの派手な名前を付けて売り出している。外国人選手は活躍しているが、肝腎の台湾人選手はパッとしない。観客動員も落ち込んでいる。なぜなら、機構全体が弛緩し、衰退しているからだ。前年に球団ぐるみでの八百長が発覚した米迪亜球団が追放され、その余波で中信球団も撤退。モラルハザードの深刻化にともなって、入場者数は急落し、王建民など優秀な人材はMLBやNPBに流出した。見せかけの人気取り以外の政策を打たず、個々の球団の足の引っ張り合いにまかせて、台湾球界としてのビジョンを全く打ち出せなかった首脳陣の責任は大きい。WBCでも中国に負けるなど惨敗した。

 

NPBは、相撲界や台湾野球を対岸の火事と見るべきではない。組織トップが明確なビジョンを打ち出すことなく、小手先の人気取りや姑息な足の引っ張り合いをしている状態は、それほど変わりがない。プロスペクト投手田澤がMLBに流出したのは、衰退の始まりだと見るべきだ。MLBへの選手流出防止策に頭をひねる暇があったら、NPB機構全体の見直しと、明確な将来ビジョンを打ち出すべきだ。

地上波での放送時間の縮小は、日本人がNPBを見はなしつつあることを意味している。北海道や福岡、千葉などフランチャイズでは地道な営業活動が実を結び、強固なファン層が根付いている。しかし、読売や中日など旧弊な「男芸者的」球団経営を行うチームがNPBで大きな発言権を有しているのも事実だ。彼らは、MLBの放送を制限し、人材流出を制度面で規制することでNPBを守ろうとしている。愚策というしかない。

先日の朝日新聞のインタビューで、ジャーナリストの古内義明氏はNPBの将来を明るくするためには、MLBの進出を阻害するのではなく、NPBをMLBに負けない魅力的な組織、イベントにするために、経営を強化することだと説いていた。本社から来たサラリーマン経営者ではなく、スポーツビジネスをしっかり学んだエキスパートによって新しいNPBを創出するべきだと言っていた。まったく同感だ。

大相撲、プロ野球がTVメディアで色あせる中、TV番組は低俗化の一途をたどっている。つまらないパスタイムを救うためにも、NPBの体質改善を求めたい。

■後日談:この九州場所の恐ろしいような不入りを見ても、NPBを巡る不景気な話を聞いても、「お茶の間スポーツ」の大きな曲がり角を感じずにはおられない。

SEAのドラフト上位指名選手|MLB

【2009年6月20日「MLBをだらだら愛す」掲載過去記事】

SEAの他の上位ドラフト指名選手も列挙しておこう。

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高校生は残念ながらSTATSが公表されていない。だからMLBレポートを読むしかできないが、NフランクリンはBOSのバリテックの後輩であり、小柄だがパワーを秘めたスイッチヒッターのSS、肩は強くないが敏捷だということだ。

Sバロンは、無名のファーガソン高校出身。キャッチング、敏捷性に優れた捕手であり、肩も良い。打撃、走塁は標準と言う評価だ。

2巡目51位指名のジョージア大Rポイスレスは、父のリチャードも南ジョージア大学で鳴らしたSSで1973年にはCHCから26巡目589位でドラフトにかかった。父はプロには進まなかったが、息子はこの高位の指名を受けるのではないだろうか。大学2年目からパワーヒッターとして頭角を現した。試合数を大きく上回る打点が魅力。太めでスピードはないが、ミートがうまい強打の右打者である。

アックリーの項で紹介したACCのベスト10にも入っているが、3巡目82位で指名のカイル・シーガーはアックリーとともにノースカロライナ大学の主力だった内野手である。シュアな左打者。ただパワーでポイスレスに一歩及ばないことがこの評価となったと思われる。50巡目1500人が指名されるアマチュアドラフトでは、この順位も相当高い。

さて、よくわからないのが4巡目ジェイムズ・ジョーンズである。ロングアイランド大学はニューヨークにあるマンモス大学だが、過去のMLB選手はテリー・クロウリー1人だけだ。そしてこのチームは今年、所属するリーグ(NEC)で最下位である。で、ジョーンズはこのチームの先発投手であり、1番打者なのだ。ネットで検索すると投球シーンと打撃シーンが両方出てくる。STATSを見ればどう考えても俊足強打の外野手と言う感じなのだが、記事を読むと投手としての評価も高い。クレメンスだのムシ―ナだのと比べられている。黒人らしいしなやかさがあって、いかにも才能の塊と言う感じだが、SEAはどう扱うのだろうか?

 

レベルにバラツキのある学校が対戦する高校の成績はあてにならない。高いレベルの選手が競う大学での数字こそデータとして有効だという考えが浸透して、今やドラフト指名は大学生1000人に対して高校生は500人である。選手寿命が延びる一因にもなっているだろう。

アメリカの大学野球と比較していつも思うのは、日本の大学野球の公式戦の少なさである。アメリカが2~6月に70試合前後を戦うのに対し、日本は春秋のリーグ戦を足しても30試合、社会人対抗や神宮大会などを入れても40試合に届かない。こんな試合数では実力を正確に知るのは難しい。その上、試合の日程が空いているから投手のローテーションも確立しない。全国から優秀な人材を集めておいて、多くの選手はろくに試合に出ないままキャリアを終えることにもなる。

アメリカの大学野球の選手の多くは、野球のシーズンオフにはバスケットやアメフトなど他のスポーツに熱中する。その分野でドラフトにかかることも多い。野球だけでなくとにかく実戦経験が豊富なのだ。日本の大学野球の選手は、年がら年中野球(の練習)漬けになりながら、試合経験を十分に積むことができない。エネルギーの無駄遣いのような気がしてならない。

■後日談:野球と言うスポーツは数戦ではその真価が分からないと思う。少なくとも年間50試合はしないと数字は信頼できない。

SEA1位アックリーという選手|MLB

【2009年6月19日「MLBをだらだら愛す」掲載過去記事】

全米最古の公立大学であり、アメリカの指導者層を多く輩出しているノースカロライナ大学から、今年ドラフト1巡目2位でSEAに指名されたダスティン・アックリー(1B、OF)は、ノースフォーサイス高校時代から期待された逸材、大学1年目から4割を打ち、注目された。

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1年目打率2位、2年目2位、3年目の今年首位打者に輝いた。ドラフト前はストラスバーグとアックリー、どちらが指名1位を獲得するかと噂されたのもうなずける。

レポートによれば確実性とパワーを兼ね備えた打撃に加え、走塁にも見るべきものがある。トミー・ジョン手術をしているが、肩もある。1塁手よりはセンターでいくべきだということだ。

ノースカロライナ大学が所属するアトランティックコーストカンファレンスは、NCAAでも有力なリーグの一つ。打高投低で最近は毎年4割打者が2~3人は出るが、3年連続の4割は傑出している。ちなみにアックリーの前年に首位打者になったフロリダ州立大のバスター・ポージーは2008年のSFに1巡目5位で指名され入団している。

2009年度のアトランティックコーストカンファレンスの打率ベスト10を紹介しておこう。なお大学のSTATSと異なっているのは、大学がリーグ戦以外の試合も公式記録に入れているためだと思われる。

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アトランティックコーストカンファレンス(ACC)で上位の成績を上げれば、かなりの指名順位でMLBアマチュアドラフトに指名されることが分かる。

 さて、強欲ボラスは、このアックリーにも5000万ドル近い契約金を要求するようである。しかしSEAは、年俸合計1億ドルを超える金満球団だから(無駄遣いも多いし)、条件次第では支払う可能性もあるだろう。Kグリフィ、A-RODに続くスーパースターを作りたいSEAには、魅力的な話かもしれない。左打者でもあるし、アックリーは入団すれば早いうちにMLBに上がってくるだろう。

■後日談:アックリー5000万ドルは私の完全な勘違い。500万ドル以下での契約だった。


MLBドラフト1位ストラスバーグの価値|MLB

【2009年6月19日「MLBをだらだら愛す」掲載過去記事】

今年のMLBアマチュアドラフトは、えらの張った男の強欲が全面的にさらけだされたことで注目を集めた。例のスコット・ボラスが、ドラフト1500人中の第1位ステファン(スティーブン?)・ストラスバーグを小脇に抱えて銭闘をはじめたのである。

サンディエゴ州立大のストラスバーグは2008年、リリーフから先発に回って頭角を現した選手である。2008年の成績だけでも3巡目150位以内で指名されるのは確実だったが、今シーズンつまり2/20から5/23までの大学野球のシーズンで凄い成績を上げたのだ。

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13勝の中には、シャットアウトが2つある。被打率は.164、四球も少ないし圧倒的な数字である。今年7月に21歳になるが、これは即戦力に近い。103マイル(166キロ)ともいわれる球速も信憑性がある。

 ちなみに、サンディエゴ州立大のOBにはトニー・グウィンがいる。関係ないがグレゴリー・ペックも卒業生だ。

サンディエゴ州立大学の所属するNCAAの野球のレベルは全米トップクラス。そして、どちらかと言えば打高投低なのだ。そこでこの成績は飛び抜けている。同大でストラスバーグとローテーションを組んだ投手成績を並べてみよう。

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MLBでの大学野球に対する評価が良く分かる。防御率5点台のバーガーでもドラフトにかかるのだ。日本よりもドラフトの裾野が広いことも分かる。

 今季の活躍で、一躍金の卵になったストラスバーグだが、ボラスは契約金5000万ドルを要求するそうだ。WASはMONが破たんした時にチーム数を減らさないために救済措置的に作られたチームだ。今は独立しているが、こんな金を払うとも思えない。ボラスはWASが金を出さないなら、日本でプレーさせるといっている。これまでドリューなどは独立リーグで1年浪人させたりしたが、それでは十分なトレーニングにならず、アピールも出来ないので、こんどはNPBに目を付けたのだ。1年だけの在籍を容認するNPBのチームなどないとは思うが、日本もなめられたものである。

ボラスは今年、1位のストラスバーグだけでなく、2位SEAのアックリー、3位SDのテートまで抑え込んでいる。そこでも強欲な駆け引きを開始したようだ。貴重な選手生命を1年棒に振らせても金額を釣り上げようというボラスの思惑、今のMLBの影の部分だと思う。

■後日談:5000万ドルをぶち上げたが、結局ストラスバーグは750万ドルで妥結。交渉が遅れたため、2009年はプロで投げていない。

RBIイーターの変遷|MLB

【2009年6月18日「MLBをだらだら愛す」掲載過去記事】

RBI=打点というSTATSは、最近のセイバーメトリクス信者からは「偶然の要素が強すぎ意味がない」といわれているが、打撃3部門の1つであり、やはりRBIイーターは心強いという印象がある。打点率というのは勝手に作ったものだが、打点/打数、打数の割に打点の多い選手を仮にRBIイーターと呼ぶことにする。2008年と2009年昨日までの両リーグ合わせての30傑は以下の通り。

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タイトルホルダーなどそうそうたる強打者が並ぶ中で、派手な成績は残していないが、打点率が高いという選手が何人かいる。ジェーコブス、ホウプなどがそれだ。また今季はブランドン・インジ、マーク・デロ―サというユーティリティな選手が勝負強さでも貢献しているのがわかる。そして何より今年はジェイソン・ベイとイバニエスが際立っている。

ベイの昨年の打点率は.175だから、今年は大進化を遂げたといってよい。オルティーズ大不振の中でBOSの打線を地味ながら支えている。そしてイバニエスは本塁打が目立つが、それ以外の打点も増えている。SEAからPHIへ、心機一転した効果が出ているのだろうか。

Mラミレス、オルティーズ、A-RODなど常連の名前が消え、フィルダー、モルノー、ティシェラ、ロンゴリアなど20代の若手の進出が目立つ。世代交代が進んでいるのだ。

松井秀喜は打点率が.200を超えたことはないが、常にベスト30の20位前後にいた。A-RODを主軸とするときに5番の役割は果たしてきたと思う。打率、本塁打よりもRBIに特化して残るチャンスをものにすべきだと思う。

■後日談:強打者たちの勢力図に変化が現れた年として、2009年は記憶されるべきだろう。

松坂の抱えているもの2|MLB

【2009年6月17日「MLBをだらだら愛す」掲載過去記事】

松坂の今季、これまでの7回の登板を細かく見てみたい。

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4/9TB戦 この日は球速が91マイルまでしか上がらない。速球が決まらないためにウィニングショットは80マイル前後のカッター、88マイル前後のスライダー。90マイル前後の4シームを打ち込まれる。

 4/14OAK戦 この日も最高速度が91マイル。変化球も全く通用せず、打ちこまれる。

 5/22NYM戦 第1球から93マイルの4S。球が走っている。最高速は94マイルの4S。しかしウィニングショットは、88マイル前後のカッター、4Sは見せ球になる。シェフィールドの本塁打は92マイル4S。5回頃から90マイル前後の2Sで2死を取る。

 5/27MIN戦 93マイルの4Sが最高。速球の切れ味が良いようで、92マイル前後の4Sと88マイル前後のカッターがウィニングショットとなる。しかし、同じ球を打ちこまれる。

 6/2DET戦 93マイルの4Sが最高。この日のアウトはほとんどが、92マイル前後の4S。変化球は少ない。ときにスライダーも効果的に使う。

 6/7TEX戦 今季最速の95マイルを記録。この日は速球ではなくスライダーでアウトを取る。しかし、4Sを打ち込まれる。

 6/13PHI戦 93マイルの4Sが最高。この日は4Sでアウトカウントを稼ぐ。しかし、80マイル前後のスライダーを連打される。

 こうして見てみると、試合のたびに松坂の投球が変化しているのが分かる。実は、松坂の持ち味はまさにそこにあったのだが、今は、速球がめったに150km/hを超えないために他のボールが生きてこない。WBCのときから松坂の速球は152km/hがせいぜいだったのだが、このときは同じくらいの速球をそろえることが出来た。今の松坂は、150km/hの球は1試合に10球前後しかない。そして今季はスライダーが全く駄目である。多くはボールになっているし、ストライクゾーンに入れば打ち込まれている。ウィニングショットが定まらないのは、このためだと思われる。まだ手探りなのである。

 

さらに、今季の松坂は2巡目で必ず捉えられている。巡目ごとの打率を見ると、

 

 1巡目 .344 2巡目 .449 3巡目 .290

1巡目でKOされた4/14の試合を除外すると、

 1巡目 .294 2巡目 .449 3巡目 .290

 

対戦する打者は、1巡目で松坂の球筋を見極め、狙い球を決めて、次の打席で打ちこんでいるのである。今年は荒れ球が少ない分、的が絞りやすくなっているのだ。

 

球速が上がらず、キレも悪く、使える変化球も減っている。しかも四球に対するプレッシャーが大きい。松坂は苦しいだろうなと思う。

ある意味で開き直らないと打破できないだろう。四球を恐れることなく打者と勝負する。ランナーが出ても平然と相手を打ち取る。そういう持ち味を取り戻さないと。幸い、少しずつ150km/h以上の速球の数は増えている。緩急をつけることができるようになってきた。それから、チーム首脳と話し合うことが必要ではないだろうか。今は本当に委縮している感じだ。

 

松坂と言う投手は、高校時代から並の投手ではなかった。「松坂世代」という言葉ができるような、群を抜いた存在だった。彼なら今の状況を打破できるはずだ、と信じるほかはない。

■後日談:球速とともに、球のキレの問題ではあったろうと思う。

松坂の抱えているもの1|MLB

【2009年6月15日「MLBをだらだら愛す」掲載過去記事】

4~5日おきに先発する松坂の登板を、生活のリズムにしていた人間として、今年の松坂の不振はさびしい。6/13の登板も結局、結果を出さずに終わった。この時点で松坂は1勝4敗ERA7.55。ベケットやレスターらなども本調子でないが、松坂は完全に落第点である。今のBOSは頼りない先発が降りてからが勝負なのだ。

この時点で何かわかることはないか、STATSを見てみた。

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どの数字も目を覆うばかりだが、中で目につくのは死四球率(死四球/打者数)が、14%台から9%台に減っていることだ。それでも悪い数字だが、確かに、今年の松坂は四球を連発してランナーを背負うことは減っている。これは、首脳陣に相当プレッシャーをかけられているのだと思う。しかし、四球が減ったことは好成績に全く結びついていない。

昨年まで松坂は最も安打を打たれにくい投手だったが、今年の被打率は.372。これは四球を出したくないがために、ストライクを揃えて狙い撃ちされているのだと思う。

多くのボールを投げて、打者をじっくりと打ちとるスタイルできた松坂にとって、その投法を封印されたことは死活問題だ。コンディションの維持の問題や疲労などの影響も大きかっただろうが、数字で見る限りは、松坂はチームが課した投球スタイルの変更に適応できず、もがき苦しんでいるような印象だ。ワイルドピッチの急増も、そうした動揺を反映しているのではないだろうか。

■後日談:シーズン後半の姿に比べれば、このころの松坂は太い。手投げになっている

「JFKの今」から見えるもの 2

【2009年6月14日「MLBをだらだら愛す」掲載過去記事】

2003年にJFKが揃ってからの3投手のSTATSは以下のとおりである。

kubota02

3人揃っての登板数は、2003年95、2004年95、2005年223、2006年157、2007年231、2008年187。ばらばらである。各投手の登板数もばらばら、そして3人の役どころも変化している。率直に言えば、そのとき使える投手を使っているという感じだ。1年単位の方針はあるだろうが、将来を見据えた計画は感じられない。
登板数が急速に増えた2005年以降、藤川は全試合数の48.1%、久保田は47.6%、ウィリアムスは41.1%に登板している。
似て非なるSTATSが、現代のMLBを代表するリリーバー2人のそれである。

kubota03いずれも毎年60~70試合に登板しているが、例年、ほぼ同じ登板数、投球回数である。K-RODは2008年に76試合に登板、62セーブと言うMLB記録を樹立したが、投球回数は前年より1イニングしか増えていない。彼らに代表されるMLBのクローザーは、自分の限界を知り、その情報を監督やコーチと共有しているのだ。トレバー・ホフマンの569を頂点としてMLBには200セーブ以上が38人いる。すでにクローザーは一つの仕事として確立しているのだ。

NPBでは、長い間クローザーは使いべりのしない若手投手が潰れるまで使われるか、ベテランが最後のご奉公で勤めるかのどちらかだった。10年以上ずっとクローザーの地位を保つ選手はまれだったが、ようやくそうではない投手が出てきた。


kubota04

この二人に高津を加えた3人は、本当のクローザーと言うことができよう。ことに岩瀬は、年間60試合60回という上限を厳格に守ることで、安定した成績を保っているように思う。日本でも一部にこうした考え方が取り入れられている。
クローザーは、強い肩、タフな心身という才能に恵まれた投手を、自己と球団の厳格な管理の下で起用することで成立するポジションなのだと思う。いけいけどんどんで投手を使うのとは次元が違うと思う。

短くとも大車輪の活躍で人々の印象に残ればそれでいいじゃないか、という人もいるかもしれないが、それは、短命に終わった選手にかける慰めの言葉であって、前途洋々たる若手投手に与える言葉ではない。阪神という球団は、選手の才能や可能性を勝手に浪費していると思う。

今年、41歳のホフマンは18試合に登板して未だ無失点。15セーブを挙げている。クローザー生活17年目である。


■後日談:ホフマンの存在を見ていると、クローザーはつぶれるまで使うという日本の後進性が浮き彫りになる。

  

「JFKの今」から見えるもの 1|NPB

【2009年6月13日「MLBをだらだら愛す」掲載過去記事】

「ランディ・ジョンソン300勝に寄せて」で、藤川、久保田について言い及んだところ、いろいろコメントをいただいた。もう一昨年から、私はJFKことに久保田の登板過多が気になって仕方がなかった。日本記録のシーズン90試合登板は、ある意味では「狙ってとったもの」ではあったが、同時に監督の岡田は久保田を無定見に酷使していたと思うのだ。

以下は、2007、2008年のJFKの登板を日を追って記録したものである。

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2007年の前半は、JFKがまだ十分に機能していた。先発投手が不調だった分、この3人がそろい踏みして勝利を得る方程式がたびたび実行された。ただ、その時期から久保田だけはJFが出ない日も登板した。僅差での負け試合や同点の終盤、さらには2番手での登板も多かった。こうして一人登板数を増やしていったのだが、5月頃からウィリアムスがコンディション不調で登板回避をすることがあり、その分久保田の登板機会がさらに増えるようになった。100試合の段階で、62試合に登板。これまでのシーズン登板試合数の記録は2005年の藤川の80だったが、岡田は「この記録を抜いてみるか」と言ったように記憶している。久保田は残る44試合で28試合に登板し、見事記録を作った訳だ。しかし、JFKは後半に失速し、阪神は3位に終わった。チーム全体の完投がわずか3度、規定投球回数に達した選手が皆無、阪神の投手陣はJFKを中核とする中継ぎ陣が支えていたのだ。

2008年は、開幕直後からウィリアムスが戦線離脱。JFがフル回転した。5月にウィリアムスが復帰してからも、久保田の登板回数は減らなかった。北京オリンピックで藤川が抜けた分も久保田がかぶる格好だった。結局、この年の終盤に久保田は潰れるのである。100試合時点での登板数は55試合、このままいけばまた80試合以上は投げることになっただろうが、9月に入って明らかに変調をきたし、69試合にとどまったのである。しかしこの数字でも2008年の最多登板だった。

 

久保田はこの2年で159試合に登板した。NPBでは2年間で150試合以上登板した投手は過去に久保田と2004~5年の藤川しかいない。監督の星野、岡田や幹部はこの数字がいかに異常であるかを認識していなかったのだろうか。「今、何ともない」というだけで、無定見に投手を使っていくうちに消耗していくことがわからなかったのだろうか。JFKの方程式以外の投手起用策をなぜ真剣に考えなかったのだろうか。捨てゲームを作らずに、すべてのチャンスをJFKでものにしようとする、それは作戦とも言えないだろう。今の真弓阪神は、星野、岡田阪神の負の遺産を受け継いでいるようなものである。

NPBでも現在の阪神のこのやり方は非常識ではあろうが「登板することで肩は鍛えられる」という信仰は根強いようである。

シーズンオフに久保田は「先発投手に転向したい」との意向を洩らしたが、悲痛な感じがした。ようやくファームで投げ始めたようだが、彼はもう中継ぎは望んでいないように思えるのだが。

■後日談:今年をもってJFKは終わりを告げた。偉業と言うより悲惨と言いたい気がする酷使ぶりである。日本の投手用兵の問題点が個々にある。

デーモンDH松井スタメン外れる|MLB

【2009年6月10日「MLBをだらだら愛す」掲載過去記事】

今日からのBOS-NYY戦。DHは2番デーモン、5試合18打席無安打の松井秀喜はやはりというべきか、スタメン落ちである。

デーモンがDHに入るのは今季初。これまではDHは松井の指定席であり、A-RODが守備に就かないときだけ先発を外れていたが、ポサダに続きデーモンもDHに座るようになった。松井がスタメンに入る回数はいよいよ減るだろう。

追い詰められた中で結果を出していく勁さ、したたかさは、イチローではしばしば見たが、松井の場合どうなのだろうか。順風満帆なエリート街道を歩んできただけに、その点が弱いのではないか。

地元紙の「松井とは来季契約の可能性なし」報道は、球団側のリークかもしれない。〝日本代表MLB選手〟の放出のショックを和らげるための、予防線ではないだろうか。

松井秀喜は、一野球選手にもどって、次の道を選択すればいいと思う。過去の栄光やキャリアは忘れて、もちろん年俸へのこだわりも捨てて、新たな道を選択すべきだろう。願わくば、現役を続けていただきたい。ま、伊良部みたいになれ、とは言わないが。

■後日談:ここ1、2年、松井は首になりやせんか、ひやひやしながら見る日々が続いているのである。これも楽しみ方の一つではあるが。

ランディ・ジョンソン300勝に寄せて その2|MLB

【2009年6月6日「MLBをだらだら愛す」掲載過去記事】

以下は、NPB,MLB1960年以降の200勝以上投手をその達成年別に一覧にしたものである。

200-2

例えば、1980年代初頭の時点に立ってこの表を見れば、「先発ローテーションの確立や、リリーフ投手の整備などによって、NPB,MLBともに300勝投手は幻の存在となった」という論調になっただろう。

しかし、MLBでは1984年にWスパーン以来23年ぶりにスティーブ・カールトンが300勝に達したのを皮切りに以後、Rジョンソンまで10人もの投手が300勝に達している。対するNPBは、84年の鈴木を最後に300勝投手は姿を消し、200勝投手でさえ90年代以降は4人にすぎない(野茂を除き)。

MLBでは長年、300勝投手は、1920年代までの投手に限られていた。この時代は、1人の大エースが八面六臂の活躍をして30勝、40勝を挙げていた。以後、半世紀近く300勝投手がほとんど現れない時代を経て、80年代半ば以降、突如として草創期以来の「大投手の時代」が出現したのだ。その原因は何なのか。

恐らくは、300勝投手たちがデビューした1960年代初頭以降、MLBの投手起用法、管理法が大きく変わったことが大きいのだろう。それは前述のローテーションの堅持や先発とリリーフの分業だけでなく、投球数の制限や、調整方法等の管理も含まれる。MLB球団は「投手の肩」という有限の経営資源を最大限に有効活用する方法論を、ここ50年ほどで確立したのではないか。

(もう一つの要因として、非常に有効な変化球であるナックルが使われだしたこともあるだろう。200勝以上の投手の中にナックルボーラーがかなりいる)

日本式の調整法にこだわる松坂とBOS首脳との対立は、なかなか決着がつかないようだが、BOS側が松坂に譲歩することはないだろう。それは、こうした背景があるからだ。

NPBは、MLBほど徹底した投手管理を行っていない。だから、200勝投手はしばらく出そうにない。阪神の久保田や藤川など、酷使の果てに燃え尽きそうになっている投手を見るたびに、これでいいのかと思ってしまう。

■後日談:大投手の時代がなぜ終わってしまったか、もう少し追求したい。

ランディ・ジョンソン300勝に寄せて その1|MLB

【2009年6月6日「MLBをだらだら愛す」掲載過去記事】

J-SPORTSのATLvsCHC戦中継が雨で延期(結局中止)になったために、ダイジェストだがランディ・ジョンソンの300勝ピッチを見ることができた。確かに往年の威圧感はやや衰えたが、3クオーターに近い位置から横の角度をつけて投げ込まれる球は迫力がある。それにコントロールもよくなったような。

この300勝の値打ちを知るために、日米の200勝以上投手のランキングを見てみたい。毎度長い表で恐縮である。

Rジョンソンは歴代で22位タイ、現役2位。300勝挙げればほぼ殿堂入りは当確といわれる。大記録である。

200-1

MLBで300勝以上は24人、NPBでは200勝以上が同じ24人。MLBの球団数は30、NPBは12、試合数はMLBが162、NPBは144、歴史はMLBが130年、NPBが73年とスケールが違うから、200勝以上の投手数が違うのはやむを得ない。

しかしながら、NPBは、超長寿投手の工藤と山本を除くと、150勝以上でさえ西口しかいない。当面200勝投手は出てきそうにない。MLBに8人もの200勝投手がいるのとは好対照である。

MLBではここ50年の間に投手の起用法、メンテナンスの方法に大きな革命が起こっている。これが、この差を生んだと思う。

■後日談:今日時点でRジョンソンは、FAになっている。工藤と同様、現役にこだわっているのだ。注目したい。

日本人MLB選手の5月|MLB

【2009年6月2日「MLBをだらだら愛す」掲載過去記事】

期待のかかる選手が次々とDL入りし、日本人MLB選手の評価は下がったような気がする。しかし地味だがしっかり働いている選手がいるのも事実だ。

5月の投手陣。

 200905-pitch

松坂は、次の試合で勝負は別として100球を投げて、QS程度の成績を上げないと、ローテが危うくなるかもしれない。突然1回だけ崩れる習性をどこまで治すことができるか。皆さんご指摘の通り、私も大輔は太いと思う。

BOSの他の2投手は非常に好調だ。岡島が「ここぞ」というピンチに投入するリリーバーなのに対し、斎藤は1回をきっちり抑えることを求められるセットアッパーだ。使い分けが明確だ。

今日は黒田が5回を投げてまずまずだったが、ダントツ地区トップのLADは黒田に無理をさせる気はないだろう。

地味だが高橋建さんは、しっかり役どころができたという印象だ。大家ともども、ローテの穴に先発の可能性があろう。

野手は憂鬱である。

200905-bat

今日のSEAは、1回のイチローの三進を返せなかったへぼ野球がすべてだが、イチロー本人は好調を維持している。バットの芯に当たっている。そんな音がしている。松井秀は、はっきりした悪いところがないのにぱっとしない。ホームランは出ているが、信頼感があるとはとてもいえない。7番が定位置なら、後半戦は若手にとって代わられる可能性があるだろう。デーモンが下り坂になり、A-RODがまだ爆発していないから、今、打つと目立つのだが。

ピネラは、福留の使い方を考えているようだ。スタミナ切れして段々に下降線を描くのを見越して、起用回数を絞っている。左投手のときだけでなく意識して休ませているのではないか。大したもんだと思うのは、そんな中で15も四球を選んでいることだ。

今月末には、城島、松井稼もそろってほしい。そしてイチローは2か月100本を目指してほしい。切に願う。

■後日談:来年、どれだけの選手がロースターに載るだろうか。高橋尚の顔を見ることはあるだろうか。

SEAもイチローも切ないなあ|MLB

【2009年6月2日「MLBをだらだら愛す」掲載過去記事】

今日は外に出ていて、ケータイでイチローの成績を追いかけていた。4の3から8回に1安打して5の4、でも2点リードして9回だから、万事休すか。アーズマは14試合連続で無失点だから、打席はまわらない、と思った。SEAファンには怒られるかもしれないが、9回裏LAAが同点に追いついて、延長でイチローに回ったら、彼は必ず本塁打で50本を記録するだろうと思っていたが・・・、9回3点取られてサヨナラ負け。

これが、今の調子に乗れないSEAの限界を表している。

マスコミの注目度は小さかったが、イチローは、絶対に月間50本を意識していたと思う。ここまで肉薄するイチローは、本当に大したものだ。

前に出した表だが、昨日のSTATSを入れて、改めて記しておきたい。

ichiro hits20090601

イチローは6月も50本を目指してほしい。そして、自身三度目の2か月合計100安打も視野に入れてほしい。

すでにこの時点で、68安打。昨年を上回っている。イチローのこの強烈なモチベーションは、どこから来ているのか、あきれるばかりだ。前途多難だが、イチローの復活をまずは喜びたい。

■後日談:50本はもう4年も出ていない。2010年こそ、再度50安打を記録してほしい。

日本人マイナー選手の5月|MLB

200961日「MLBをだらだら愛す」掲載過去記事】

昨日、大家が2年ぶりにMLBのマウンドを踏んだ。5回を投げて自責点3、防御率5.40。日本では「好投」という記事もあったが、さてどうだろうか。松井秀に2安打をプレゼントしたのは気前がよすぎるし、Cリー以外の先発が苦しい投手事情で、単に長く投げさせられただけのような気もする。目も覚めるような投球を見せないと、長くMLBにはいられないのではないか。

さて、5月の日本人マイナーリーガーのSTATSである。投手。

200905minor-pitch 

AAAでは大家は先発としてまずまずの成績を残している。この安定感が評価されたのだ。とくに5月からは安定していた。それ以上のSTATSを残していたのが井川である。5/29も好投した。それでもNYYでは上に声はかからない。蛇の生殺しという感がある。

薮田も最近AAA初勝利。藪は5/11以来投げていない。本人のブログを見たが、何が起こったのか分からない。前川は先発からブルペンに変わった。

田澤はAAでは通用することを証明しつつある。54.1回で54三振が光っている。日本人を母に持つブースは、セットアッパーとして投げている。

なお、春先までMLB目指して頑張っていた門倉健は韓国リーグSKワイバーンズで9試合に投げて3勝1敗、3.47。ローテに定着したようである。

野手はほとんど動きがない。

200905minor-bat

田口は4/16以来出場なし。故障ということだが、チームと帯同して動いている。これは何を意味するのだろうか?コーチ転向の話でもあるのだろうか?

角盈男の長男の一晃は5/13、AAのアーカンサスに落ちた。その試合で捕手として先発したが、以後は出場していない。お父さんのブログでは、一塁に転向しスイッチヒッターとして活路を見出すようである。左打席でホームランを打ったと書いているが、エキシビションだろうか?

6月からはルーキーリーグがはじまる。また独立リーグで伊良部や三沢も投げるはずだ。データを追いかけていきたい。

■後日談:アメリカ生活が2年目以上になる選手の多くは、息切れが見えていた。

先発投手の台所事情 各論|MLB

2009531日「MLBをだらだら愛す」掲載過去記事】

さて、先ほどお出しした表を作るために集めた各チームの先発投手のSTATS、眺めていると各チームの状況が浮き彫りになって面白いので紹介することにした。

長々とした表で誠に恐縮です。

MLBROTE02

この表を見れば、日本人先発投手の各チームでのステイタスがわかる。上原は早くも先発二本柱の一人だ。DL明けをBAL首脳は首を長くして待っている。川上は4本柱の一角になることを期待されている。6月に復帰が決まった黒田は、快調に首位を走るLADにとって、さらに勝ち星を上乗せする切り札である。そして、松坂は41歳のウェークフィールドがエースというBOSの状況で完全復活が切に期待されていることが分かる。

この他にも、SEAは三本柱が健在なのに4番目のシルバに固執しすぎたことが低迷の一因になっていること、NYYは投ではなく打で勝ち進んでいること、NYMはサンタナと他の先発が極端に差があること、などがわかる。

1コーナーをまわったペナントレースの状況が見えてくる表だと思うが、いかがだろうか。
■後日談:ずいぶん時間をかけて作ったデータがが労多くして反応少なかった。工夫が必要だ。
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最近メディアからいろいろお話をブログにいただくようになりました。迂闊なことに、殆ど対応できていませんでした。ご連絡は下記までお願いいたします。

baseballstats2011@gmail.com

広尾晃と申します。

ライター稼業をして、かれこれ35年になります。

2009年1月に、SportsNaviで「MLBをだらだら愛す」というブログを開設、12月には「野球の記録で話したい」を開設。多くの皆様にご愛読いただきました。2011年11月、livedoorに引っ越し。基本的な考え方は変わりません。MLB、NPBの記録を中心に、野球界のことをあれこれ考えていきたいと思います。多くの皆様に読んでいただきたいと思いますが、記録や野球史に興味と尊敬の念を持っていただける方のサイトにしたいと思います。特定の球団のファンの方も大歓迎ですが、「ひいきの引き倒し」的な論調には与しません。

広尾晃はペンネーム。本名は手束卓です。ペンネームは、小学校時代から使っていました。手束仁という同業者がいるので、ややこしいのでこの名前で通しています。ちなみに手束仁はいとこです。顔もよく似ています。
私が本名を隠しているかと勘違いして、恐喝のようなコメントを送ってくる犯罪者まがいがいるので、あえて公表します。


2012年11月「クラシックSTATS鑑賞」を独立したサイトにしました。

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