エピソード2009
2009年12月30日 00:01
旧聞に属するが11月17日に北海道日本ハムは、バディ・カーライルと契約した。この選手は、アメリカとアジアのプロ野球を経験している。ある種見事なSTATSの持ち主である。
96年ドラフト2順目でCINへ。同期にはジミー・ロリンズや巨人のグライシンガーがいる。ボーナス27万ドルつきだから、高卒としては好条件だった。
スターターとして順調にマイナーの階段を上がり、98年にSDに移籍後99年後半にMLBにデビュー。9月9日のMNT戦ではハビア・バスケスと投げ合って6回3失点で初勝利を挙げるも、他の登板はぴりっとせず、再びAAAへ。まだ見込みはあったと思うが、2001年に阪神にやってきた。まだ24歳だった。
この投手は、先発としてそこそこの数字は挙げるのだが、常に負け星も多い。被打率がやや高いのと、ピンチで打ちこまれることが多かった。気持ちがやや弱いという評判もある。
阪神の1年目は7勝(10敗)するも、翌年は先発で3度失敗。以後はファームで過ごし、翌年は再びアメリカに帰った。2006年には韓国LGに移籍し、先発だけでなく中継ぎ、クローザーも経験、翌2007年は再びATLに復帰し、けが人続出の穴を埋める形でローテーションの一角として8勝を挙げる。この年がカーライルのMLBでの頂点だった。
翌年からセットアッパーとなるが、成績が下落し、2009年はFA市場に出ていた。
この投手は、先発でなければ力が発揮できない選手のようだ。多少は打ちこまれるが、バックアップがあればQSはキープできる。実にさまざまなところで野球をしているが、まだ31歳。意外な掘り出し物になる可能性はある。
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2009年12月29日 00:13
12月18日、千葉は元巨人にいたRHPのブライアン・コーリーと契約した。また、21日にはRHPのビル・マーフィーと契約した。
この投手は苦労人である。高卒で93年DETに12順目(333位)で入団。同期にはバリテックがいる。入団当初は内野手だったが、4年目にARIに移籍するとともに強肩を活かして投手に転向。主にセットアッパーとして投げ、この年にMLBにデビューするも定着には至らなかった。以後AAAを中心に投げ続けた。2004年にはクローザーとしてシーズン途中に巨人に入るも結果を出せず再びアメリカへ。以後はAAAとMLBを往復する選手生活を送る。SDにいた2008年は39試合に投げるも1勝3敗 防御率6.23だった。
コントロールは良いが、被打率が悪い。球威がないということだろう。ただ、日本のことも知り、自分の実力も熟知した投手だから、使いやすいのは間違いがない。大きな期待はかけていないだろうが、セットアッパーとしてそこそこ働く可能性はある。
ビル・マーフィー
2002年、NCAAのカリフォルニア州立大から3順目(98位)でOAKに入団。同期にはザック・グレインキーやカーティス・グランダーソンがいる。先発投手として起用され2004年にはFLA、ARIへと移籍する。この年にはフューチャーズゲームに出ている。しかし、なかなかMLBには上がれず、そのうちに中継ぎに転向。MLBには2007、2009年に上がっているが目立つ実績は残していない。
この投手は秋のキャンプでテストを受けて入団した。がっちりした体躯。四球が多く、WHIPがMLBでもMINでも1.5を超しているのが気になるが、28歳と若いうえに左でもあり、活躍する可能性もあると思う。
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2009年12月28日 00:06
12月17日、18日、横浜はスレッジの移籍と2人の新外国人の獲得を発表した。
一人はRHPのブーチェック(本来はブートチェックだろう)。1年契約で年俸は5000万円+出来高。
この投手はNCAAのオーバーン大学で3年連続8勝ずつを上げて1順目(全体20位)でアナハイム・エンゼルスに入団した。180万ドルのボーナスつき。同期のトップはエイドリアン・ゴンザレスだった。
鳴り物入りで入団し、3年目にはMLBに上がる。先発投手としての起用が続いたが、数字が残せず、セットアッパーに。2007年はLAAで51試合に登板し、3勝3敗4.71とまずまずの成績を残すが、以後は登板機会が減っていた。
この投手はエリートだが、数字を見る限り大した成績は残していない。NCAA時代から防御率は5点台。マイナーでも似たような数字なのだ。四球はそれほど多くないが、MLBでもMINでも投球回数を大きく超える安打を打たれている。彼をスカウトしたジェフ・クレインは、昨年LAAを解雇されたようだが、あまり実績を残していない。
MLBでも実績がないうえに、持ち味が見えてこない。疑問が残る買い物だ。
もう一人はホセ・カスティーヨ。年俸は1年契約で3000万円+出来高。
2009年は卡斯提の名前で台湾の統一でプレーし、73試合で.314 65打点を挙げている。
ベネズエラ出身。PITと契約。いわゆる内野のユーティリティであり、MLB、MIN通算で2B-501試合, SS-466試合, 3B-144試合, RF-1試合を守っている。
この選手は正真正銘のMLBプレイヤーと言ってよい。デビュー当時は大いに将来を嘱望され、3シーズン連続で100試合以上出ている。ただ、評価は下がっていく一方だった。
守備範囲は広く肩も良い。併殺数が多いが、失策も多い。また打者としては勝負弱い。足が遅い。決定的なのは、パイレーツ時代の最終年、チームメイト(ジャック・ウィルソン)とのトラブルなどで、あまり野球に熱心ではないという評判が立ったことだ。
それもあってか、2009年はMLBを離れ台湾でプレーした。八百長騒ぎで揺れる台湾野球は、外国人と現地人では大人と子供くらい実力差があるので、数字はあてにならない。試合も良く欠場したようだ。まだ28歳のカスティーヨだが、年々太ってきている。今は恐らく183cmで100kgは超えているだろう。
NPBでは、外国人獲得の判断基準は、数字だけでなく、選手の性格や基礎体力などをも重視するようになってきている。結論を言えば、横浜の新外国人選手獲得には、疑問を感じざるを得ない。
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2009年12月27日 01:42
ヤクルトは12月14日、エウロ・デラクルスと1年契約15万ドルで契約した。
この投手はドミニカ出身。2001年にDETと契約した。
この投手はマイナー時代からセットアッパー、クローザーで使われることが多かった。100マイルを超える速球が売りで、マイナー時代はイニング数と同じくらい三振をとっていた。100マイルと言えばすごい球速だが、MLB機構にはこの手のスピード自慢は掃いて捨てるほどいる。
MLBでは通用していない。じっくり見られて四球を選ばれ、痛打された。コントロールが甘いのだろう。NPBでも同様の懸念がある。
ただ、25歳と言う若さが魅力だ。ヤクルトでNPBの野球を仕込まれれば、開眼する可能性はある。五十嵐の穴を埋めるかどうかは疑問符がつくが、ヤクルトにとっては先行投資のつもりなのだろう。
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2009年12月26日 11:00
2年連続二桁勝利を挙げていたルイスの退団と言うショックがさめやらぬ12月8日、広島東洋カープは2人の新外国人獲得を発表した。二人とも野手である。
ルイスも29歳で日本に来たが、今回の二人も二十代、キャリアも同程度だ。
1Bまたは外野。右打ち。この選手はオーストラリアでプレーして2000年にKcと契約した。マイナー時代は捕手だった。われわれにとっては、WBCのオーストラリアの4番として記憶にあるが、11打数1安打1打点だった。AAAでは20本塁打以上を打つ実力派だが、MLBでは実績は残していない。
外野手。左打ち。NCAAのフロリダアトランティック大学で3年連続3割、10本塁打以上をマークし、ドラフト3順目でBALと契約。中距離打者。マイナーで3年176試合をプレーしてMLBに上がっているからエリートと言ってよい。しかしレギュラー定着ならず、マイナー生活を重ねていった。ヒューバーより契約金が高いのは2009年のMLBでの実績が上だからだろう。
広島は、MLBでの実績よりもAAAでの数字を重視しているように思える。まだ20代であれば、素質をNPB向けに磨くことができるからだろう。ただ、最近はNPBの実績をMLBも注視していて、数字が上がるとルイスのように再び呼び戻されることがあるからつらいところだ。
左右の違いはあるが、2人ともに二塁打が多い中距離打者で、三振が比較的少ない。堅実な選手を選んだという感じだ。
特にヒューバー、オーストラリアの選手は、日本と相性が良いことが多いので期待できるかもしれない。
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2009年12月25日 09:39
Gファンですが様に触発されて、こんな表を作ってみた。
以下は、27歳でMLBに飛び込んで35歳まで、偉大な記録を生み出してきたイチローの実績に、同時期の名選手たちの成績を重ね、年度成績に換算したものだ。
5000打数以上の通算打率150傑の中から、戦後に活躍し、2000本以上の安打を打った選手の27歳~35歳までをピックアップし、出塁率の高い順に並べた。色が変わっているのはベスト10である。A-ROD、プホルズは35歳を迎えていないので入っていない。
この年齢は、選手がまさに全盛期から円熟期へとさしかかる時期である。
ボンズの残した成績のすさまじさが目立つが、マニー・ラミレスの数字も相当なものだ。そして「休まない」と言う点では、イチローとピート・ローズが双璧だ。打率ではカルー、イチローは3位である。しかし出塁率で見る限り、イチローは下位に沈みこむ。
見れば見るほど、いろいろなことが見えてくる。イチローと同い年のノマー・ガルシアパーラは、すでに選手晩年を迎えているため、数字は振るわない。
日本ではほとんど話題にならないが、COLのトッド・ヘルトンが、歴史に残る打者になりつつあることが分かる。2塁打の多さは、大昔のトリス・スピーカーなみである。地味な存在だが、注目していきたい。
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2009年12月24日 10:12
NYYにどんなことがあっても、メルキーはずっといるような錯覚があった。それくらい、不思議な存在感があった外野手だ。
同じ外野手系のプレーヤーだが、松井とは対極をなしている。NYY5年で36本塁打.269、足も44盗塁。OPS.712。しかし、レギュラーが張れたのは、外野守備がしっかりしていたからだ。
メルキーがレギュラーになった2006年以降を見ても、シェフィールド、Bウィリアムス、松井、デーモン、アブレイユと、ヤンキースの外野は中年の大物のたまり場だった。メルキーは、こうした大物の間にあって、守備面の不安を打ち消す役割を一手に引き受けていた。2008年は打撃が極端に不振になったために一時AAAに落とされたが、また起用されるようになった。
以下は守備のSTATS。
メルキーはセンターとしては、守備範囲が広いとは言えない。RFや守備率も並み。やはり売りは肩だ。2007年にはMLB1位の14補殺を記録。以降の数字は伸びないが、これは相手がメルキーの肩を恐れて走らなくなったからだ。この「抑止力」が、おじさんのたまり場となったNYYの外野では重要だったのだろう。
メルキーはNYYならではの事情でレギュラーを保っていたと言っても良い。
しかし、ATLではそうはいかない。3つの外野の定位置を、ディアズ、マクラウス、シェーファー、ブランドン・ジョーンズらと競わなければならない。決め手は守備力ではなく攻撃力だろう。
2010年、カブレラは真価が問われる年になる。
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2009年12月24日 00:37
バスケスを獲得したことで、NYYの投手補強はほぼ整ったという感じだが。
今年は、王建民がFAになっているくらいで、主要な投手はほとんど動かず、ATLからバスケスと若手のローガンを獲得した。4番手までの先発が固まったところで、ジョバ・チェンバレンをローテーション5番目で使う。だめならばヒューズなど他の投手にチャンスを与えていくという感じか。しかしジョバとヒューズはいつまで「大事に育てられる」のかとも思う。
現時点で、懸念材料は41歳と言うリベラの年齢だ。この投手が今年使えないようなことがあると、NYYの連覇は難しくなる。アセべス、新加入のローガンなどが代替候補か。マリアノの手前、あからさまな補強は難しいだろうが、NYYはいつでも手を打つ準備はしていることだろう。
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2009年12月24日 00:33
やはりNYYは、チェンバレンの伸び悩みに手を打った。2004年にNYYのローテーションの一角を担っていたハビア・バスケスを、メルキー・カブレラらとのトレードで獲得した。
この投手はカーブを武器とし、非常にタフで故障しないことで知られるが、2008年まで負け越していた。モントリオール・エキスポズという弱小球団に長くいたからだが、NYY、CWSと弱くないチームに移っても勝ち負けがトントンだった、
とにかく被打率が常に高く、四球も出す。特にピンチで打たれるケースが多いために勝敗が拮抗してしまうのだ。2004年のNYYでは14勝を挙げたものの防御率4.91は合格とは言えず、翌年残ることはできなかった。
しかし、2009年はATLでエース級の働きをした。特に被打率が下がり、ピンチを作る回数が減ったことがあらゆるSTATSを上昇させた。(しかしまだ10敗しているが)
NYYは、CC、バーネット、ぺティットに次ぐ4番手をこれで用意した。ジョバは9勝したものの、結局独り立ちしたとはいえない。間に一枚はさむことにしたということだろう。
それはそうと、NYYにずっといるような印象のあったメルキーが移籍したことは、少なからずショックだ。躍動感のある動きと鉄砲肩のセンターの守備は楽しかっただけに、見る機会が減るのはさびしい。仲の良いカノもショックだろう。奮起を促したい。
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2009年12月23日 05:09
「2010年は大幅な補強はしない、選手個々の成長で戦力をアップさせる」落合監督の方針だそうだ。この監督は有言実行で、実績を残してきたから来季も期待できるだろう。
外国人選手の獲得でも、MLB選手を3人獲得した阪神とは対照的に、独自路線を歩んでいる。
今季は、以下の外国人選手を獲得した。
セサルはスイッチヒッター。2009年はメキシカンリーグ(AAA)で盗塁王を獲得した。
成績を見る限りAAAでは通用していない。
さらに2人と育成枠で契約した。ともに年俸4万ドル。
へススは、2年間CLEのルーキーリーグでプレーしたが、2009年はどこにも所属していない。サンタマリアは、ドミニカのMLB参加のルーキーリーグ。PHI、WSN、TB傘下でプレーした。
すべてドミニカにMLBが設けたアカデミー出身の選手だ。2009年40歳になったタイロン・ウッズを放出して獲得したトニ・ブランコは、MLBでの実績は56試合しかなかったが.275 39本110打点とウッズの穴を十分に埋める活躍をした。このブランコがドミニカのアカデミー出身であることから、今回4人の契約を進めたようだ。
最近、このドミニカのアカデミーは、高い評価を受けている。基礎的な体力増強と基本に忠実な野球を教えるからだ。
4人で58万ドル。安い投資である。恐らくはSTATSではなく、人間性や身体能力などを判断して採用したのではないか。「MLBで○○を誇る」みたいな実績はないが、一生懸命のプレーが期待できよう。セサルなどは、シュアなバッティングでいい成績を上げるのではないか。
巨人のオビスポも、ドミニカ出身でMLBのキャリアなし。この春に東京ドームで見たときは、球は速いが非常に不細工なフォームで、通用するはずはないと思ったが、後半ブレークして最後は先発の一角を担うまでになった。前向きで一生懸命な性格が、急速な成長につながったのだろう。
NPBの外国人選手獲得は、MLBでの実績などではなく、選手個々の総合的な「伸びしろ」で判断する時代になったようだ。
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2009年12月20日 11:58
ブラッドレーの獲得によって、残るはブラニャンに蹴られた1Bの補強だ、という意見がたくさん出た。間違いないところだが、私はそれ以上の危急の課題が捕手ではないかと思っている。
ロブ・ジョンソンが城島とのポジション争いに勝って、正妻の位置(変な表現だが)を得たことになっているが、そもそもSEAは、ロブ・ジョンソンに2010年のホームベースを託するつもりなのだろうか。不安いっぱいだと思うのだが。
まず、ジョンソンは出場できて110試合だと思う。必ず、力が拮抗したサブが必要だ。そして捕手ほどSTATSが不安定な野手はいない。たかだか1年投手の信頼を得たからと言って、翌年以降も安泰だとはとても言えない。怪我故障も多いうえに、打撃不振が捕手成績に影響を与えることも良くあるのだ。また新加入のクリフ・リーとの相性も未知数だ。
2009年のSEA捕手陣である。
今、ロースターにはジョンソンとムーアの2人しかいない。(マイナーに新加入のアルフォンゾ)。ジョンソン、ムーアともにSEAの生え抜きで、NCAAのエリート捕手として入団(ジョンソンは6順目、ムーアは4順目)。ムーアは、ジョンソンの後を1年遅れで追いかける形で昇進してきている。しかし僅か6試合のマスクでは、何とも言えないのが実際のところだ。
昨年、MLBを通じて最も多くの試合に出た捕手はSTLのYモリーナ(イニング数ではLADのマーティン)。138試合に出ているが、120試合以上は9人しかいない。LAAのナポリ、マシスにように2プラトンのチームも多いのだ。もっとも春先までSEAのレギュラー候補と言われたバークのように、捕手としての能力が低すぎるのはNGだが。
2009年のSEAの捕手陣は、城島自身のモチベーションの問題や年俸格差を考えなければ、決して悪いラインナップではない。バッティングが良くて肩が抜群の捕手と、リードが良く投手の信頼が厚い捕手がいたのだから。
SEAは、経験豊富で打力にもそこそこ実績のある捕手を獲得することになるだろう。動きの鈍いストーブリーグ、決定するのはかなりあとだろうが。
ご指摘があり、12月14日にSDのエルザー・アルフォンゾと契約していたことを見落としていました。STATSを追記します。
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2009年12月19日 18:20
NYYとSEAが立て続けに野手を買った。偶然にも同期で同い年。しかし、まったくキャラクターは違っている。
まず、NYYはwsnのニック・ジョンソン。もともとNYY3順目で入った野手で、名手ラリー・ボーワの甥としても知られる。1Bだが、DH含みということらしい。この打者は選球眼がトップクラスで通算で4割に近い。守備も良かったのだが、故障続きでまともにシーズンを働いたことがない。長打力もそれほどないし、通算打率も.269である。実績的には大したことはないが、年俸は今季550万ドル。NYYでも同額のようだ。31歳。一部マスコミは松井の後釜と報道しているが、ちょっと違うように思う。DHに入ることはあると思うが、ニック・ジョンソンはあくまでサブで、タシェアラの保険。調子が良ければ起用回数が増えるという存在ではないか(その割に年俸が高いのは事実だが)。順調に行っている時にけがをすることが多いなど、この選手はあまりにも「運」がなさすぎる。
そしてSEAは、CHCからミルトン・ブラッドレー。
ニック・ジョンソンと同じ31歳。MNTの2順目で入った・こちらも出塁率はトップクラス。フルシーズン働けば3割30本塁打は固いところだ。外野手。守備もいいし、足も速い。しかし、この選手はまともにシーズンを全うしたことがほとんどない。しかもMLB10年で8チーム目だ。原因はなにか?ブラッドレーは、シドニー・ポンソンと並ぶ当代屈指のトラブルメーカーなのだ。チームメイト、ファンとの暴力沙汰数知れず。そのうえ、生活が乱れているからコンディション不良のときが多い。こんな選手がイチロー、グリフィ、そしてフィギンスらとラインナップを組む。ちょっと考えられない。シルバ放出の見返りだそうだが、CHCにはほかにも人がいたろうに。SEAはブラッドレーとなんと3年契約。それにシルバの年俸残額のかなりの部分を負担するそうだが、それなら少々高くてもアルフォンソ・ ソリアーノの方が良かったと思う。
フィギンス、クリフ・リーとヒットを飛ばしてきたズエンシックだが、この買物は相当やばいはずだ。
ともあれ、これでジョニー・デーモンの立場はますます苦しくなった(昨日の報道ではデーモンはSEAに移籍の可能性が取りざたされていた)。
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2009年12月18日 14:40
今年のSEAは、ストーブリーグでは主役の一人と言ってよい。打のフィギンスに続いて投のクリフ・リー。各チームの財布のひもが固い中で、任天堂マネーがものを言っているのではないか。
クリフ・リーは、MTLに4順目で入り、マイナー時代にCLEに移籍して順調に出世、5年目からはローテーションの一角を守ったが、勝ち負けが拮抗する投手だった。スタミナはあるものの、被本塁打率が1.5前後。フライを打たせる投手だけに、失投も多かった。それが、大不振だった2007年を契機に大きく投法が変化して、安定感のある投手となった。今季はシーズン途中に移籍したために成績がわかりにくくなっているが、被本塁打率は低いままだ。22勝を挙げた2008年は、打たせてとる技術が光っていた。
現在のSEAの投手陣にリーを入れてみる。
SEAの投手陣は、昨年、ずいぶん苦労していたことが分かる。リーが入ったところで、先発ローテーションはまだコマ数が全然不足しているが、それでも2枚固まるのは大きい。大きく期待を裏切ったベダードの代わりにもう1枚はどうしてもほしいところだ。
理由はよくわからないが、SEAに入ったとたんに成績が急落する選手が多い。ベダード、シルバ、打で言えばベルトレ。もう少し投手陣が整備されるとして、リーが順調に勝ち星を挙げれば、来季のSEAは大いに期待できるが、そうでなければ厳しい。実力を発揮してもらいたいものだ。
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2009年12月18日 14:33
恐らく高橋尚より五十嵐の方が先にMLB移籍が決まるだろうと思っていた。
五十嵐は2007年にトミー・ジョン手術のために1年を棒に振っているが、その後の2年の成績が良く、安定感がある。その上に30歳と言う若さである。昨年40歳の高橋建を取って、そこそこ使うことができたNYMは、日本でのSTATSは信用できる、戦力として計算できると判断したのだろう。2年300万ドルも好条件ではないだろうか。
NYMの投手陣の現状に五十嵐を当てはめてみる。
現在NYMの投手陣は先発の3番手以降が不明確なことと、絶対的な押さえであるF-RODへのつなぎ役がコマ不足なのが大きな問題だ。
F-RODのつなぎ役として昨年、大きな期待とともに入団したJ.J プッツは結果を残すことなくFAで出てしまった。五十嵐は、使いべりのしない元ソフトバンクのフェリシアーノとともに左右のセットアッパーとして使われるのだろう。ただ、MLBで一番登板数の多いフェリシアーノほどではないだろうが、五十嵐の登板数も70試合前後にはなるだろう。未知の登板数だ。故障することなくシーズンを全うするのが最大の目標になるだろう。
五十嵐はプロ入り以来、一度も先発に回ったことのない生粋のリリーバーである。中継ぎ投手としてのプロ意識も高いと思う。大変な仕事だが、日本人のセットアッパーとして良い仕事を残してくれるのではないか。
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2009年12月18日 09:28
赤は警戒色の代表であり、非日常の色である。膨張色ではないが、モノを引き締めるというよりは、拡張する効果がある。MLBには、赤をテーマカラーとするチームがいくつかあるが、LAAのように恥ずかしいような真っ赤=印刷でいうキンアカを使うチームは少ない。
松井の顔の上に、その真っ赤な帽子が乗った時に、少し顔が大きくなったような気がした。こんなピザ屋の宅配の兄ちゃんがいたような気もした。
ケビン・メンチに1位の座を譲ったもののMLBでも有数の巨頭の持ち主である。これまで、その巨頭は濃紺のヤンキーブルーで辛うじて抑え込まれていたが、それが一気に解き放たれたような気がした。
このユニフォームが似合うのは、アイドルみたいに細身で軽快な野手くらいだろう。
同様に長大な顔をもつゲレーロだって似合っていたわけではない。しかし、がっくりがっくりと独特の走り方でボールを追い、すさまじいバットスピードでボールをしばきまくっていたその姿は、十分にLAAの名物たり得た。
去年のアブレイユも、全然似合わなかった。中南米の観光地のタクシーの運転手のようだった。しかし、アブレイユは本塁打こそ減ったものの、100打点を挙げ、出塁率も素晴らしかった。そして再び年俸を1000万ドルに上げた。
この赤の色は、松井秀喜に「開き直れ」と命じているのである。「紳士たれ!」の巨人ではなく、エリートのNYYでもなく、明るい日差しのLAAに来たのである。1950年代までMLBのチームがなかった国に来たのである。伝統や格式ではなく、野球をする楽しさを松井なりのスタイルで表現してほしい。
野茂が、あのばね仕掛けの機会のようなフォームで、LADで圧倒的な人気を呼んだように、松井はLAAの「名物」になってほしい。黒松井も、青松井も過去のものだ。赤松井に期待したい。
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2009年12月16日 23:10
BOSにとって、ローテーション3番目の投手はどうしてもほしいところだった。ベケット、レスターに次ぐ3番目は成績でいえばウェークフィールドだが、40歳オーバーの年齢を考えれば現実性がない。2年契約はお買い得価格だからだ。順当に行けば松坂だが昨年、信用を失っている。
LAAのエースを獲得することは、LAAの戦力をそぐという点でも意味があった。
ラッキーは、LAAの生え抜きとして11シーズンを過ごした。2順目で入り、順調に出世したが、先発投手としての安定感が増したのは2005年からである。適度に安打を打たれ、三振も四球もそこそこ。だからERAは3点台だが、とにかく、毎回そこそこのイニングを投げることができる。昨年は1試合平均6.5イニングを投げた。安定感が抜群なのだ。
このラッキーを加えたBOSのローテーションメンバーを見てみよう。
STATSで見ても、ラッキーは3番手に来る。昨年はDL入りしているが、フルで働いて33試合前後先発すれば、15勝以上は期待できる。松坂が復活すれば4本柱になる。残る一つのローテーションの座をウェークフィールド、バックホルツ、それに田澤などが争うイメージだろう。そういえば、2008年までMINのローテーションを張っていたブーフ・ボンサーもBOS入りしている。しかし、ボンサーはセットアッパーだろう。
長年エースとして君臨したラッキーは、2009年、ウィーバー、サンダースの後塵を拝した。移籍のタイミングだったとも言えよう。
いつもながら、BOSの補強は目的が明快である。
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2009年12月16日 00:16
一つ一つの事実関係を抑える前に、ウィンターミーティング終盤から選手の異動が慌ただしくなった。個別にも取り上げていきたいが、まずは、これを俯瞰しておきたい。
昨年NYMへ移り、セットアッパーとして結果を出せなかったJJプッツがひっそりとCWSへ移っている。1年契約。すっかり金箔が剥がれた印象だ。イヴァン・ロドリゲスも古巣に戻ったとたんまた移籍。しかし2年契約を獲得している。今年ブレークしたクローザーのRソリアーノが、TBに移籍している。
JJ.プッツ 2009年 NYM 29試合 1勝4敗 2sv ERA5.22
Rソリアーノ 2009年ATL 77試合 1勝6敗 27sv ERA2.97
I-ROD 2009年TEX 28試合 98打数24安打 2HR 13RBI .245
そしてジョン・ラッキーが今日、LAAからBOSへ。松坂はうかうかしていられない。そういえば、BALにもミルウッドが入った。上原はローテーションから外れる可能性が高いようだ。
松井秀喜の移籍は、まだ正式には発表になっていない。また、ハラデーがPHIへ、クリフ・リーがSEAなどの大きな動きもあったようだが、正式発表前である。
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2009年12月15日 12:19
アーン・テレムはボラスとは違い、長引かせて年俸を釣り上げようとは思わなかった。今の松井秀喜の価値を考えても、これは賢明だっただろう。LAAは、数年前までA-RODに拮抗する大打者だったゲレーロが攻守ともに衰える中で、その枠をスポっと取り替えることにしたのだ。で、年俸もゲレーロ1500万ドル→松井650万ドルへ。
LAAには、昨年500万ドルで契約して数字を残し、今年1000万ドルの2年契約を結んだアブレイユと言う好例もある。それよりも好待遇であるのも喜ばしい。
松井秀喜自身は、DHではなくレフト守備を希望するだろうが、首脳陣(そして多くのファン)にとっては、DHに席を置いたうえで守ることも考える、という「保険」がある方が安心できる。
西海岸は初めてだが、松井は適応できるだろう。NYYの激しく厳しいマスコミの包囲網から解放されることもプラスに働くのではないか。
イチローとの対戦機会が増えることも良い。
とにかく、近年見られがちな「ベテラン選手の店晒し」にならなくて本当に良かった。
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2009年12月15日 00:57
数日前からスポーツ新聞が騒いでいたが、阪神はCHCのAAAにいた左腕のケーシー・フォッサムを獲得した。この投手は、BOS、ARI、TBでローテーションに入っていた時期もあり、メッセンジャーよりは格上の投手だ。
マートン同様、この選手もエリートである。1999年BOSのドラフト1順目で入団。ボーナスは68万ドルだった。この年、BOSの新人選手は不作だったが、ドラフト全体としては1順目にはハミルトン、ベケット、Aリオス、ブライアン・ロバーツがいる。
出世は順調で、入団翌々年にはMLBに上がり、3勝を挙げている。翌年は5勝、翌々年は6勝を挙げ、ローテーションの5番目くらいには入っていたが、この成績をピークとして、MLBでの成績は低下する。通算防御率は5.45。先発から中継ぎに転向するも、通用せず次第に登板機会が減っていった。
STATSは、非常に特徴的である。やたらと奪三振率が高い。やや横手からのスライダーやカーブが持ち球で、ツボにはまるとバッタバッタと三振を取る。しかし、四球もそこそこ多いうえに、被安打レートがMLB通算で10.0(9回投げれば10安打される計算)、マイナーでも8.0だ。三振を取るか、歩かせるか、ヒットを打たれるか、という投手である。非常にピーキーな選手だということだ。
打者に打ちにくい球を持っているという点では、ジェフに通じるところがあるが、ジェフ・ウィリアムスは、驚異的な被安打率の低さを誇っていた。おそらくはメンタル面の不安定さがあると思う。NPBになじめば実力を発揮するかもしれないが、ダメなときは早々にいなくなる可能性もあると思う。
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最近メディアからいろいろお話をブログにいただくようになりました。迂闊なことに、殆ど対応できていませんでした。ご連絡は下記までお願いいたします。
baseballstats2011@gmail.com
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広尾晃と申します。
ライター稼業をして、かれこれ43年になります。
2009年1月に、SportsNaviで「MLBをだらだら愛す」というブログを開設、12月には「野球の記録で話したい」を開設。多くの皆様にご愛読いただきました。2011年11月、livedoorに引っ越し。基本的な考え方は変わりません。MLB、NPBの記録を中心に、野球界のことをあれこれ考えていきたいと思います。多くの皆様に読んでいただきたいと思いますが、記録や野球史に興味と尊敬の念を持っていただける方のサイトにしたいと思います。特定の球団のファンの方も大歓迎ですが、「ひいきの引き倒し」的な論調には与しません。
広尾晃はペンネーム。本名は手束卓です。ペンネームは、小学校時代から使っていました。手束仁という同業者がいるので、ややこしいのでこの名前で通しています。ちなみに手束仁はいとこです。顔もよく似ています。
私が本名を隠しているかと勘違いして、恐喝のようなコメントを送ってくる犯罪者まがいがいるので、あえて公表します。
2012年11月「クラシックSTATS鑑賞」を独立したサイトにしました。
野球以外で書いている、兄弟ブログです。こちらもぜひどうぞ。↓
常時参照させていただいているサイト
http://mlb.mlb.com/index.jsp
http://www.baseball-reference.com/
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http://espn.go.com/mlb/
http://www.fangraphs.com/
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