開幕戦で、あれほど華々しい活躍をした斎藤佑樹が二軍落ち。吉井コーチは「下で最低2試合は投げてもらう」と語った。
今期の戦績。

yuki-Saito20120730




良かったのは春先だけだった。2完投、1完封を記録。この頃の斎藤は無駄球が減り、直球を主体にした小気味よい投球が目立った。遅い4シームではあるが、緩急を見せることで十分に通用することを見せたのだ。

また5月の初旬頃までは、稲葉を中心とした味方打線が好調で、RS(援護点)が潤沢にあったことも斎藤を楽にしたはずだ。

5月4日の時点で、4勝1敗、ERA1.84。相変わらず四球が多く、WHIPは1.30とよくなかったが、齋藤本人も「今季はやれる」という自信を持ったことと思う。

ターニングポイントは、函館千代台球場の西武戦。風の強い地方球場で、斎藤はストライクが入らない。1.1回で4四球、9被安打9失点という大炎上。

以後勝てなくなるのだ。

斎藤佑樹を見ていて思うのは、投球内容以上に勝ち星や、個々の打者との勝負にこだわる投手だということ。体面にこだわりすぎだ。「自分の投球が出来ればいい」という割り切りがない。
だから強打者には「打たれまい」とするから、かわす投球になる。ボール球を打たせようとするから、球数が増える。そして投球の間合いが長すぎるから、野手はリズムが作れなくなる。

見ていても楽しくない投球が続いた。

5月は3敗。勝てない中で、自信も失い、白星を求めるようになっていった。6月は野村祐輔との投げ合いを制した試合などもあったが、今度は味方打線のRSがもらえなくなり、黒星を重ねた。

7月には、オールスターの先発投手に選ばれたが、3回を投げて6安打、自責点3。これも本人にしてみれば痛かっただろう。

「勝てない」「数字が悪化する」自信がなくなっていく。その悪循環が、斎藤を追い込んでいったのだと思う。

斎藤は、田中将大や前田健太とは違うのだ。球は遅く、球威はない。目の覚めるような変化球もない。しかしそういう投手でも生きていく道はあるのだ。

今の斎藤には、勝つことや数字を残すことよりも、自分本来の投球を確認することの方が大事だと思う。世間の期待に応えるのではなく、自分を取り戻すことだと思う。

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