20110324-02


昨年の東日本大震災の後、最初に行われた野球の大きな試合は、3月23日から始まった第83回選抜高校野球だった。「野球ができる状態なのか、雰囲気なのか」が知りたくて、私は2日目の試合を見に行ったのだが、そのときマウンドに上がっていたのが金沢高校の釜田佳直だった。
球は確かに速くて、相手の加古川北高校は攻めあぐねていたのだが、釜田は、5回にバント安打で走者を出されると、四球、失策を重ねた。走者がいないときは150km/hオーバーが出ていたが、走者を背負うとぐっと球速が落ちて捉えられていた。0-4とあっけない負け方だった。このときは加古川北の井上真人の投球の見事さの方が印象に残ったくらいだ。

夏の甲子園では3回戦まで進出。

それから1年とちょっとで、この投手はプロ相手に完封をしたのである。

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釜田は2軍では7試合21回を投げて勝敗なしだったが、12被安打5四球18三振自責点2と段違いの成績を残していた。

5月20日思い出の甲子園で1軍先発デビュー。この試合は3回で73球に達して降板したが、以後、ローテーションを守って7QS。6月17日の巨人戦では杉内俊哉に投げ勝って完投勝利を収めている。

数字を見て思うのは、高校時代と違って釜田は、速い球で勝負をするのではなく、速球を見せ球にして緩急で打たせて取る投球に変わっていることだ。この場合でも153km/hという速球があることが強みになるのは間違いがない。

スライダー、チェンジアップはプロ入りしてから磨いたのだろう。

昨日の日本ハム打線はあまり元気がなく、釜田のホップする速球に手を出していた。度胸がついたという印象。田中将大の影響が大きかったのではないか。

高卒新人での完封は、2リーグ分立後42人目(中退の金田正一含む)。珍しい記録ではないが、21世紀以降ではダルビッシュ(日ハム)、田中将大(楽天)、吉川光夫(日ハム)、秋山拓巳(阪神)に続き5人目。
稿を改めて、10代新人の完封について考えたい。

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