立て続けに阪神の話題ではあるが、阪神球団は早ければ今季からGM制度を取り入れることとし、人選に入ったと言う。
GMという役職は日本ではなじみにくい。日本の企業では、現場と経営は上下の関係になっており、管理職は出世をすれば経営者になる。経営陣が、現場を見ているケースも多い。経営と現場の境界が不明確で、責任の所在もあやふやなのだ。
GMは、現場の最高責任者だ。これまでの阪神では球団社長と言う経営者がGM的な業務を行ってきた。ここを明確に分けようと言うことだろう。そのかわり、GMは経営には一切タッチしない。
GMに一番良く似た仕事は、映画のプロデューサーではないかと思う。プロデューサーはスポンサーや映画会社から資金を集めて映画を作る。脚本家、映画監督、裏方など個々のスタッフと契約をし、出演する俳優を決め(キャスティング)、映画製作を進行させる。そして最終的には興行収益を上げることができる良い映画を、期日通り、予算通りに完成させるのだ。
映画を作ると言うすべての業務を統括し、最終責任を取るのがプロデューサーの役割だ。
野球のGMも、球団から決められた予算の範囲内で監督やコーチを決め、選手を集め、野球チームを構築していく。そしてペナントレースを戦って、好成績を収めるのが最終の使命だ。通常、GMは興行面やマーケティング面については面倒をみない。しかし、それ以外のチーム運営に関わるすべての責任を負う役職だ。
監督は、GMから与えられたチームの采配を振るう。監督は、作戦面の指揮官であり、選手の獲得や育成などには直接タッチしない。与えられた戦力をいかに活かしていくかが求められるのだ。この点でもキャストをうまく使って映画を作っていく映画監督とよく似た仕事だと言えるだろう。
GMは、現場には直接タッチしないが、現場のことを熟知している必要がある。そして、毎日目先の勝利を追い求める監督とは異なり、半年先、来シーズンといった中期的な視野を持つことも求められる。当然ながら、コスト意識も必要だ。
そして、現場の最高責任者として、監督をバックアップし、チームをまとめ上げるリーダーシップも求められる。
日本のGMとして、一番成功したのは故根本陸夫氏だろう。この人は監督としては優れていたとはいえないが、西武、ダイエー(ソフトバンク)で球団社長になると優秀な監督を起用し、近い将来活躍しそうな有望選手を次々と獲得、穴が開いたポジションに実績のある選手をトレードでもってくるなど、優れた手腕を発揮した。
根本陸夫によってソフトバンクに招聘された王貞治氏も、監督を引退後は球団のマネジメントに手腕を発揮しているように思う。多くの選手がMLBに移籍し、トレードやFAなどでチームを去る中で、有望な選手をうまく獲得し、チームのリニューアルに貢献している。
共通しているのは、二人とも自身の地位が安泰で、クビを気にすることなく中長期的なプランが立てられたこと。そして監督との関係が良好で、チームとの一体感があったことではないか。また、監督の采配には一切口を出さないという賢明さも共通していると思う(千葉ロッテのGMをした広岡達朗氏はそういう部分が欠けていたと思う)。
日本ハムの高田GMもそれなりの働きをしているように思う。
阪神は中村勝広をGMに起用する予定であると言われる。この人は阪神の生え抜きであり、監督経験もある。また同じ関西の球団であるオリックスでGMの経験がある。こうした理由によって、この人に白羽の矢を立てようとしているのだろう。
中村勝広がGMを務めた2年と監督になった1年のオリックスの成績。



打撃に偏って投手力が弱体だったチームの補強にある程度成功はしている。しかし、現場、監督との関係は良好だったとはいえない。
2005年にはすでに名将として名高かった仰木彬を監督に起用したが1年で勇退され、翌年は自身が現場に降りて監督をすることになった。
GM、監督としての評価は、率直に言って高いとはいえない。手腕は未知数と言うより、現時点では低いということになろう。
それ以上に懸念されるのは、GMという仕事はすぐには成果が出ないと言うことだ。根本陸夫にしても西武、ダイエーともに、就任した当初はチームが低迷した。GMによるチーム立て直しのカギは、生え抜き主力選手の育成だ。少なくとも5年以上継続して努力しない限り、成果は見えてこないのだ。
今の阪神に、中村勝広に5年間、チームを預ける度量があるとは思えない。他の球団でも、GM制度がうまく機能している例は少ないのだが、阪神の場合、不振の責任を取って詰め腹を切らせる役割として、経営陣に累が及ばぬための防波堤として、据え付けられる可能性が高いのではないか。
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GMは、現場の最高責任者だ。これまでの阪神では球団社長と言う経営者がGM的な業務を行ってきた。ここを明確に分けようと言うことだろう。そのかわり、GMは経営には一切タッチしない。
GMに一番良く似た仕事は、映画のプロデューサーではないかと思う。プロデューサーはスポンサーや映画会社から資金を集めて映画を作る。脚本家、映画監督、裏方など個々のスタッフと契約をし、出演する俳優を決め(キャスティング)、映画製作を進行させる。そして最終的には興行収益を上げることができる良い映画を、期日通り、予算通りに完成させるのだ。
映画を作ると言うすべての業務を統括し、最終責任を取るのがプロデューサーの役割だ。
野球のGMも、球団から決められた予算の範囲内で監督やコーチを決め、選手を集め、野球チームを構築していく。そしてペナントレースを戦って、好成績を収めるのが最終の使命だ。通常、GMは興行面やマーケティング面については面倒をみない。しかし、それ以外のチーム運営に関わるすべての責任を負う役職だ。
監督は、GMから与えられたチームの采配を振るう。監督は、作戦面の指揮官であり、選手の獲得や育成などには直接タッチしない。与えられた戦力をいかに活かしていくかが求められるのだ。この点でもキャストをうまく使って映画を作っていく映画監督とよく似た仕事だと言えるだろう。
GMは、現場には直接タッチしないが、現場のことを熟知している必要がある。そして、毎日目先の勝利を追い求める監督とは異なり、半年先、来シーズンといった中期的な視野を持つことも求められる。当然ながら、コスト意識も必要だ。
そして、現場の最高責任者として、監督をバックアップし、チームをまとめ上げるリーダーシップも求められる。
日本のGMとして、一番成功したのは故根本陸夫氏だろう。この人は監督としては優れていたとはいえないが、西武、ダイエー(ソフトバンク)で球団社長になると優秀な監督を起用し、近い将来活躍しそうな有望選手を次々と獲得、穴が開いたポジションに実績のある選手をトレードでもってくるなど、優れた手腕を発揮した。
根本陸夫によってソフトバンクに招聘された王貞治氏も、監督を引退後は球団のマネジメントに手腕を発揮しているように思う。多くの選手がMLBに移籍し、トレードやFAなどでチームを去る中で、有望な選手をうまく獲得し、チームのリニューアルに貢献している。
共通しているのは、二人とも自身の地位が安泰で、クビを気にすることなく中長期的なプランが立てられたこと。そして監督との関係が良好で、チームとの一体感があったことではないか。また、監督の采配には一切口を出さないという賢明さも共通していると思う(千葉ロッテのGMをした広岡達朗氏はそういう部分が欠けていたと思う)。
日本ハムの高田GMもそれなりの働きをしているように思う。
阪神は中村勝広をGMに起用する予定であると言われる。この人は阪神の生え抜きであり、監督経験もある。また同じ関西の球団であるオリックスでGMの経験がある。こうした理由によって、この人に白羽の矢を立てようとしているのだろう。
中村勝広がGMを務めた2年と監督になった1年のオリックスの成績。

打撃に偏って投手力が弱体だったチームの補強にある程度成功はしている。しかし、現場、監督との関係は良好だったとはいえない。
2005年にはすでに名将として名高かった仰木彬を監督に起用したが1年で勇退され、翌年は自身が現場に降りて監督をすることになった。
GM、監督としての評価は、率直に言って高いとはいえない。手腕は未知数と言うより、現時点では低いということになろう。
それ以上に懸念されるのは、GMという仕事はすぐには成果が出ないと言うことだ。根本陸夫にしても西武、ダイエーともに、就任した当初はチームが低迷した。GMによるチーム立て直しのカギは、生え抜き主力選手の育成だ。少なくとも5年以上継続して努力しない限り、成果は見えてこないのだ。
今の阪神に、中村勝広に5年間、チームを預ける度量があるとは思えない。他の球団でも、GM制度がうまく機能している例は少ないのだが、阪神の場合、不振の責任を取って詰め腹を切らせる役割として、経営陣に累が及ばぬための防波堤として、据え付けられる可能性が高いのではないか。
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コメント
コメント一覧
さすがです、自分もそう思いますw
とりあえず今はGM制度が存続さえしてくれれば、いずれ当たりを引けるかもと思い、中村勝広GMを我慢する所存ですが・・・
最悪なパターン1:勝てない際のスケープゴートとして中村勝広をGMに延々と居座らせる(90年代にAクラス1回しかないのに5年も監督させた時と同じ構図ですね)
最悪なパターン2:中村勝広GMでは結果が出ないので「ほら、GM制度なんて意味ないやろ?」とすぐにGM制度終了
とかになったらもう涙も出ません
前の記事のコメントの続きのようになりますが、この際、阪神のGMに求められるのは、阪神の「聖域」をいかに打破できるか、でしょう。
しかし、私は中村氏では役者不足ではないかと思われます。
この「聖域」に対して、内部からも外部からも何も異論が出てこないのは、ひとえに日本のプロ野球、いやスポーツ全般における「実績至上主義」がはびこっているからに他なりません。
日本では、選手としての実績が全てに優先するところがあります。選手としての実績に基づいて、指導者のイスや解説者のイスが埋まっていく傾向が高いのです。むろん例外もありますが、そういう人たちに対しては、常に「大した選手でもなかったのに偉そうに」という批判がついて回ります。
それを考えた時に、中村氏では、あの「聖域」を打破するにはあまりにも「実績が軽い」と言えるでしょう。
阪神OBには、打者として「聖域」の実績を越えるOBは見当たりません。GMの有無に関わらず、今後も苦しむことになると思います。
もし仮に中村GMが奇跡的に聖域さんを解雇できたとしても、自分にはその先が全く見えません(それが辛い・・・)
まぁ、だからこそその先をとりあえず見たいからとっとと聖域さんを解雇してくれ、というループに入るわけですがw
阪神OBでは絶対無理でしょう。いろんな派閥があります。また野村克也氏が指摘していますが、阪神が低迷した原因は関西マスコミ、デイリースポーツなどのべた褒めにあるといってます。
阪神の今のフロント陣、例えば黒田政宏氏などは何をしているのか?お手上げ状態なんでしょうか。
私は球界経験者なら元阪急の中沢伸二、大橋譲などが良いと思いますが。西本・上田の強い阪急を知る世代です。年齢的にユニフォームは着られないので、フロントがいいと思うんです。
あとは劇薬として広岡達朗氏なども期待です。
関西球界に詳しい広尾さんはどう思いますか?
おそらく、和田を監督にしたものの未熟で頼りないため、経営陣のお好みの人物を補完して様子を見ようとしたのではなかろうか。
中村自身はオリックス時代を見てもわかるように、現場復帰への下心があると思われる。
経営陣もまたそれをも視野に入れ、いつでも和田を解任できる態勢を作りたかったのだろう。
120%失敗するでしょう。
しかし、一般人に受けがいいんですよね。この人。
それにしても、監督もGMもはえぬきでフロントの操り人形でないと
駄目なんですから。
最初からフロントが目標と期間,予算をはっきりさせて,全権をGMにゆだねることができればいい.でも,あの選手は切れない,とか,シーズン中盤で優勝戦線から脱落したから今年でクビ,とかフロントが口を挟みだしたら失敗するでしょうね.
偏見かもしれませんが,阪神フロント(と一部のファン)は口を出しそうです.
中村勝広氏は優秀なGMだったとは言い難いですが,仰木さんが亡くなり自分が監督にならざるを得なかったことは同情の余地があると思います.
汚名返上となるでしょうか.
2005年は球団合併による分配ドラフトという、他に比較のしようがない環境だったため、GMの手腕の評価はできないでしょう。
新しいGMが一からチーム作りをする気なら全て白紙から始めるはずだが和田監督続投ありきならただの形だけ。
まぁ今の阪神に期待しても無駄かなぁ。
GMを設けるのであれば、外部からのほうがいいでしょう。
生え抜きからですといろいろな不純要素(デ○リー○○ーツ、タニマチ、A○C、サ○○レビ)の言いなりになる可能性大です。
ですから、ここは、前述したと思いますが、外部からの招聘に限ると思います。
筆頭で、野村(克也)氏が良いとも思いますが、せっかく阪急の資本も入っているんですから、上田氏でもありでしょう。
また、どうしても生え抜き志願だったら、楽天から田淵氏を引き抜け!!
タニマチに睨みが利く阪神OBはあの人しかいない!!