千葉功さんのことを取り上げたら、宇佐美徹也さんも取り上げないと片手落ちである(この言葉、NGワードなそうな)。
宇佐美徹也さんと言えば、分厚い『プロ野球記録大鑑』。




この本の初版は緑色だった。衝撃的だった。こんな野球の見方ができるのか、を教えてもらった。
のちに文庫本にもなっている。『プロ野球データブック』
プロ野球データブック〈最新版〉 (講談社文庫)



ただ、この手の本は毎年更新しないとどんどん古びてしまう。宇佐美さんが一昨年お亡くなりになってからは、時間が止まってしまっているのが残念だ。

千葉功さんと宇佐美徹也さんの違いは、千葉さんがあくまで「野球の記録」をそのまま提示する姿勢に徹しているのに対し、宇佐美さんは記録を通して「野球はかくあるべし」「野球選手はかくあるべし」を訴えかけていたことだ。

たとえば首位打者のタイトル欲しさに試合を休む選手や、本塁打王をとらせたくないために勝負を避ける投手を、宇佐美さんは厳しく批判した。記録は無味乾燥のものだが、その数字の裏には、選手の才能と努力がびっしりと貼り付けられている。それを知っているだけに「ずる」が許せないのだ。

ところで、私は宇佐美さんの代表作は、『プロ野球全記録』シリーズだと思っている。
この本は元をたどれば、実業之日本社から出ていた「こどもポケット百科」シリーズの『巨人軍全記録』だった。
巨人軍全記録〈52年版〉 (1977年) (こどもポケット百科)



子供の本だから、漢字にルビがふってあったりしたが、中身は本格的。巨人軍の歴史から名選手、大記録まで、文庫サイズの中にぎっしりと詰め込まれている。

続いてこのシリーズは「ヤングセレクション」『プロ野球全記録』になった。
この本も子供向けの本の体裁をとってはいるが、NPBの「記録年鑑」ともいうべき本だ。特に巻末の打数4000以上の通算打撃ランキングと、100勝以上の投手ランキングは、毎年ドキドキして見たものだ。

この本は2000年からA5サイズになり、大人の本らしくなった。しかし内容的にはほとんど変わらなかった。
ベースボールマガジン社の『ベースボールレコードブック』とこの本を買わないと、年が越せないように思っていたが、2004年を最後に刊行されなくなった。これは実に残念なことだ。




たとえばダルビッシュと田中将大の今季の活躍。宇佐美さんならどんなふうに紹介しただろう。ぜひ読んでみたいと思う。
記録好きならば、この本はバックナンバーも含めて持っておく価値があると思う。

宇佐美さんのことを書くとどうしても長くなってしまうが、もう一冊だけ紹介させていただきたい。
長嶋茂雄が引退した時に、報知新聞社から出された『栄光の背番号3長嶋茂雄』。アマゾンでも売っていないが、この本の「記録室」は、長嶋茂雄のキャリアSTATSから各種記録(打順別、得点圏打撃、走者別、チーム別、球場別、カウント別、月別)などが年度別に詳細に紹介されたという点で、記録史的に画期的だった。もちろん、担当は宇佐美徹也。まさに、私はこの本で記録への目を見開かされた。
私は巨人ファンだったことは生涯1秒もないが、巨人が記録史をリードしたことには感謝しかない。
古本屋などで見つけたら、ぜひ購入していただきたい。
nagashima-20111224


私のサイトにお越しいただき、ありがとうございます。ぜひ、コメントもお寄せください!