ナリーグの打撃タイトル争い。こちらも前代未聞の事態になりそうな様相である。各部門ベスト30。

打率はサンフランシスコ・ジャイアンツのメルキー・カブレラが首位をキープしている。しかし、この選手は8月15日にドーピング検査で陽性反応が出たため50試合の出場停止処分を受けた。以後、試合に出場していない。
8月14日までのメルキー・カブレラの打席数は501。MLBの規定打席502には1打席足りないが、規定により1打席を足しても打率で上回る場合は、首位打者のタイトルを獲得することができる。しかしながら、本人からこれを辞退する申し出があった。仮に現在打率2位のピッツバーグ・パイレーツ=PITアンドルー・マッカチェンがメルキーに追いつかなかったとしても、メルキーは首位打者ではないということが発表された。
これは異例であるとともに、誠に残念な措置だ。野球の記録がグランド外の要因によって曲げられたのだ。MLBは、バリー・ボンズやマグワイアなどが薬物の力を借りて作った過去の記録については遡って失格にはしないが、これからは薬物問題が発覚すれば、タイトルを剥奪する可能性も示したのだ。当然の話ではあるが、球史に汚点を残さないためにも、マッカチェンはメルキーの打率を上回ってほしい。
メルキー・カブレラは、かつて松井秀喜の同僚であり、ロビンソン・カノとともにニューヨーク・ヤンキース=NYYの若手花形だった。外野守備は抜群だったが、打撃はいまいちだった。このため松井と同じ2009年にNYYを放出されて3年間チームを変わってきた。しかし昨年初めて3割を打ち、才能が開花したと思われていた。これが薬物によるものだったとすれば、誠に残念だ。今年は、オールスターでMVPを獲得し、母親とともに涙を流して喜んでいただけに、痛々しい感じがする。
トリビアっぽいが、もしメルキーが首位打者を取っていれば、アナ両リーグの首位打者が揃って「M.Cabrera」になるはずだった。これも惜しい。
本塁打、打点はミルウォーキー・ブリュワーズのライアン・ブラウンが二冠を取りそうな勢い。ブラウンは打率も5位につけている。この選手は昨年、打率2位、打点4位、本塁打6位でMVPを獲得している。ナリーグで三冠王に最も近い選手となった。
ただしこの選手もドーピング検査で引っかかって、出場停止処分をくらいかけた(最終的には免除)。
昨年までそう呼ばれていたロサンゼルス・ドジャース=LADのマット・ケンプは今季、5月から7月まで故障欠場が続いたために、規定打席に達していない。
最多安打と首位打者はマッカチェンでほぼ決まり。身体能力の高さは以前から注目されていたが、一気に開花した。
盗塁王は、昨年、ヒューストン・アストロズ=HOUがシーズン途中で手放したマイケル・ボーンが4年連続で獲得しそうな勢いだ。
青木は打率と盗塁でランキングに名を連ねている。もっと早くからレギュラーに定着していれば、安打数でも載ったはずだ。今から日本人三人目の3割打者、新人王、ポストシーズン進出を目指して頑張ってほしい。
さてMVPは、打者ではなくワシントン・ナショナルズ=WASのゴンザレスが有力ではないか。
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コメント
コメント一覧
2006年のフレディ・サンチェスを忘れないで!
(荒さがしみたいで恐縮ですが、ついつい目に留まるので、ご容赦下さい。)
禁止薬物使用が発覚した時点で
・そのシーズンの成績抹消
・全試合出場停止
・翌年ドーピング検査を受けてから復帰可能
ぐらいしないと又同じ事が起こるでしょう。
現状ではハッキリ言って『やった者勝ち』なのです。
バレても
・50〜100試合の出場停止
・記録は剥奪されない
これでは使わない方が馬鹿です。
オリンピックでは過去に遡って記録抹消、メダル剥奪で
それが当たり前だと思う。
自転車競技しかり、それがスポーツ界の常識なのにMLBには通用しませんねぇ。
MLBの
「過去の記録は抹消しない」
という方針もおかしいと思う。
ボンズ・マグワイアの記録も抹消するべきだし、禁止薬物使用者にはそれぐらいの対処をしないと今後も絶対に根絶出来ない。
残念でもありますし、理解できない部分でもあります。
薬物違反が判明した選手がその後どのように評価されるか、知らないはずは無いのですが。
何もそこまでと思えるほどにMVP選考では投手に辛いので
ナショナルズ躍進の原動力とはいえ、ゴンザレスは厳しいのではないでしょうか。
投手が選ばれるには昨年のバーランダー並のインパクトが必要と考えると
MVPは去年に続いてライアン・ブラウンが有力と予想します。
あれだけの騒動があって「今年の成績もドーピングの賜物です」は
さすがにない!・・・と、信じたい・・。
ちなみに個人的にはナ・リーグ投手の一番評価はキンブレルです。
ERAも圧巻ですが、奪三振率の高さと与四球率の改善でDIPSが凄いことになってますので。
ブリュワーズのワイルドカード奪取には、大きな壁ですねー。
最近はその辺の価値観が変わり始めているように思うので、これから徐々に改善されていく・・・と期待したいですね。
名前が一度も挙がったことのない選手の中にも使用者は絶対にいるはずですし、そもそもステロイドの使用が禁止されていなかった時期が長かった訳で、記録をどうするかはとても難しい問題だと思います。
セリグはメルキーに辞退するように頼んだ、あるいは圧力をかけたのではないか?と勘ぐってしまいます。
かつてはボブ・バックランドのような純粋にレスリングをやる選手がチャンピオンだったりしたんだけど、社長が息子の代になってからエンターテイメント路線に走るようになった。
ハルク・ホーガンのようにマッチョでパワーだけで投げる・殴るの試合が楽しまれるようになった。
スポーツからはかけ離れたエンターテイメントだったんだけど、そのほうが客も入ったし、世界戦略もうまくいったんだ。
当然体がでかいほうが有利で、ドーピングなんか当たり前。
薬物でビルドアップされたレスラーの殴り合いを見て観客は喜んでたんだ。
アメリカにはそういう社会もあった。
未だにあるんだけどね。
でも、かつて活躍していたレスラーたちは廃人になったり亡くなったり...家族を殺して自殺してしまったのもいたよ。
薬物はダメだ。これは当たり前の話。
だけど、それを承知で客を楽しませるために薬物を使っていた人もいるんだよね。
(続)
もちろん薬物がいいわけはない。
ただ、客を楽しませるためにステロイドを使い、MLBもそれを許容していた時代があった...ってことなのかな?と思う。
そこにはオリンピックのように純粋にスポーツ競技を競う、という目的とは違う、観客を楽しませるエンターテイメントとしての考え方が..あったのかなと。
薬物によって作られた記録を越えられない..ということが起こるから、彼らのやったことは白い目で見られることになるけれど...
客を楽しませるためにやっていた...と考えると、レスラー達と同じに見えてくる。
私は彼らが命を犠牲にして客を楽しませようとして作った記録をすべて抹消すべきとは思わない。
もちろん、スポーツ競技として、記録を比較するならばそれは言語道断の話だと思う。
だから、全く別の競技だったと考えるべきなのかな...と感じる。
NPBにおいて、統一球になっての記録と、以前の記録を比較することはナンセンスなわけで、それと同じかなと..
(続)
それを考えると、当然コルクバットのようなものもダメだし、もっといえば飛ぶボールだって世界での比較を考えると...器具によるドーピングになるんじゃないかな?
厳密に言えば球場の違いですら問題にならないのはおかしいわけで..
ドーピングはダメだっていうのは当然だ。スポーツ競技としては当たり前の話。
だけど、それならば、世界基準で見たときに、統一球をやめて飛ぶボールに戻そう...っていう考え方はどうなんだろう?と思う。
NPBはNPBだけでガラパゴス化するからいい。っていうのなら仕方ないけど、それなら薬物に走っていた時代もある種ガラパゴス化したエンターテイメント時代だった....というふうに見ることも必要なのではないかな?とかちょっと違う方向から考えてみました。
(終わり)
ピストリウスの件は,北京五輪では国際陸連は当初出場を認めなかったものの,CASの裁定で出場が認められました.
北京では参加標準記録を突破できず出場できませんでしたが,大邱の世界陸上やロンドン五輪には出場,ロンドンでは準決勝まで進んでいます.
野球が飛距離やホームラン数を競う競技であればボールや球場の違いは問題になりますが,得点を競う団体競技ですから,両チームが同じレギュレーションであれば問題はないと思います.
NPBとMLBの野球には投手の登板間隔や試合数,チーム数など現時点でも大きな差があります.これは競技者の体力の違いや市場規模の差がある以上仕方のないことではないでしょうか.
ボールについても,NPBの選手に合わず,競技性を損ねていると判断するのなら,元に戻すのも一つの方法だと思います.
ドーピングの件は公平性の問題だけではなく,競技者の安全を守るという意味もあります.
じゃがさんが最初に挙げているプロレスの例で映画「レスラー」を思い出しましたが,アメリカでも当然これは問題視されていますね.
少し前にトミージョン手術で球速が上がる,という話題がありましたが,アメリカでは球速を挙げることを目的として,怪我をしていない高校生や大学生がトミージョン手術を受ける例があるそうです.
高校生がトミージョン手術をうけ成功する率は74%程度.このあたりにもアメリカスポーツ界の問題が表れているように思います.
松井がヤンキースにいた頃、よくテレビで見た選手です。
当時は若手の注目株として期待されていましたが、
自分の印象としては、大した選手ではなく、年齢が若いだけで、
能力的には松井の方がずっと上だと思っていました。
その程度の選手が、薬物の効果で、メジャー最高クラスの
成績を残したのだとしたら、薬物って凄いですね~~
これじゃ、今後も、薬物を使う選手がいなくなることはないでしょう。
野球=スポーツ
プロレス=エンターテイメント
この一線は超えて欲しくない。
ともすれば、アメリカにとって野球はスポーツを超えた『文化』じゃないですか。
日曜日に父親が息子を連れて野球場でホットドッグを食べながら観戦する。
その中では人体実験宜しく、最新の施術を受けた選手が人間離れした運動能力を披露している…。
これじゃ悲しいですよ。
今後MLBには自浄作用を強めて『文化』としての誇りを取り戻して頂きたい。