45年ぶりの三冠王。この間も強大な打者は数多く出た。むしろこの期間に本塁打記録は更新されたくらいで(薬物の助けは借りたが)、打撃の数字は派手になっているのだが、三冠王は出なかった。このことについて考えたい。
20世紀以降の三冠王と各部門の2位の打者。その差。

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1909年のタイ・カッブと1922年のロジャース・ホーンスビーの記録では、大きく変化している部分がある。言うまでもなく本塁打だ。1914年にデビューしたベーブ・ルースが1918年以降、本塁打のリーグ記録を次々と書き換え、本塁打の魅力に気が付いたMLBは、本塁打協奏曲が鳴った。

アリーグのルースに呼応してナリーグで本塁打を量産したのは1歳年下のホーンスビー。これによって、両リーグの本塁打の水準は一気に引き上げられた。この時期のホーンスビーは、リーグで並ぶもののない大打者だった。

1930年代のアリーグは、ベーブ・ルース、ルー・ゲーリッグに加えてジミー・フォックスがリーグ最強打者の座を争っていた。1933年はルースに陰りが見えた年。その間隙をついてフォックスが三冠王となった。翌34年はルースのニューヨーク・ヤンキース最後の年。ゲーリッグの三冠王は新旧交代の感があった。

1940年代のアリーグはテッド・ウィリアムスが屹立。かろうじてジョー・ディマジオがこれに抗する存在だった。
60年代半ばには、フランク・ロビンソンが三冠王を取ったが、この選手の打撃タイトルはこの時だけ。タイミングよくタイトルを取った。むしろ、昨年死んだハーモン・キルブリューがリーグ最強打者だった。

こうしてみてくると、かつてのMLBでは、本塁打を量産する打者は限られていた。打率と打点を稼ぐことができて、40本を打つ力があれば、三冠王になる可能性は結構あったのだ。
三冠王とリーグ平均の打撃成績について比較する。緑はレギュラー選手の平均的な数字。

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打点はリーグ平均の2倍前後、打率は1.3倍前後で推移しているが、本塁打だけはかつては平均の3~5倍だったものが、2倍にまで縮まっている。本塁打の水準が急上昇しているのだ。

三冠王が出にくくなっているのは、エクスパンションによって球団数が増え、コンペティターが増えたことが前提にある。60年までMLBは16球団だったが、61年に18球団、62年に20球団になった。そして今は30球団。つまり4番打者も30人に増えている。競争相手は、テッド・ウィリアムスの時代のほぼ倍に増えているのだ。
それに加えて、近年本塁打を打つ打者が急増していることが大きい。アリーグレギュラー選手の平均の本数は、67年の13.3本から2012年は19.7本。レギュラー選手なら20本打つのが当たり前になっているのだ。

三冠王に近いと言われている打者は他に何人かいる。アルバート・プホルズ、ライアン・ブラウンなどがそうだが、あとからあとから凄い選手が現れるMLBでは、三冠王が出る可能性は今後も少ないだろう。
ミゲル・カブレラは千載一遇のチャンスをものにしたと言えるだろう。

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