直接的には、ミゲル・カブレラが三冠王を取れたのは、プリンス・フィルダーの移籍が大きい。決定的だと言えよう。
デトロイト・タイガース=DETはここ数年、ビッグネームの打者が何人も在籍した。しかし、名前の割に打線は強化が進まなかった。
問題は3番打者だった。
ミゲル・カブレラが加入してからのDET中軸、打順別の打撃成績。各打順を10試合以上つとめた打者の成績も記入。





2008年は、ニューヨーク・ヤンキース張りのスター軍団を作っていた名残があった。ミゲル・カブレラは主に5番を務めている。3番はカルロス・ギーエン、4番はマグリオ・オルドニェス。ゲイリー・シェフィールドの名もある。
2009年カブレラは4番になる。3番はオルドニェスだが故障がち。何人もの打者が務めた。
2010年、カブレラは4番に完全に固定されたが、3番はオルドニェスを中心に複数の打者。カブレラの四球が増えていく。
2011年、オルドニェスが衰えたために、3番は固定できず。カブレラの四球は100個を超えた。
この期間、3番打者は.270、20本前後、OPSは7割台。4番は.300、30本以上、OPSは1.000前後。各チームは4番との勝負を避けようとしたのだ。
2012年、プリンス・フィルダーが加入し4番に座り、カブレラは3番に。四球は40個も減った。また3番になったことで打席数も増え、トータルで打数は50も増えた。また、フィルダーの存在が投手陣に無言のプレッシャーを与えたことも想像に難くない。
カブレラの本塁打は14本、打点は34増加したのだ。
過去を見ても、ジョー・メドウィックにはジョニー・マイズ、ゲーリッグにはベーブ・ルース、ミッキー・マントルにはヨギ・べラ、フランク・ロビンソンにはブーク・パウエル、という風に、チームに強力な相棒がいることで勝負される機会が増えて三冠王を取ったケースが散見される。
今回もその典型だと言えよう。
10月14日(日)「東京野球ブックフェア」で会いましょう!

私のサイトにお越しいただき、ありがとうございます。ぜひ、コメントもお寄せください!
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問題は3番打者だった。
ミゲル・カブレラが加入してからのDET中軸、打順別の打撃成績。各打順を10試合以上つとめた打者の成績も記入。

2008年は、ニューヨーク・ヤンキース張りのスター軍団を作っていた名残があった。ミゲル・カブレラは主に5番を務めている。3番はカルロス・ギーエン、4番はマグリオ・オルドニェス。ゲイリー・シェフィールドの名もある。
2009年カブレラは4番になる。3番はオルドニェスだが故障がち。何人もの打者が務めた。
2010年、カブレラは4番に完全に固定されたが、3番はオルドニェスを中心に複数の打者。カブレラの四球が増えていく。
2011年、オルドニェスが衰えたために、3番は固定できず。カブレラの四球は100個を超えた。
この期間、3番打者は.270、20本前後、OPSは7割台。4番は.300、30本以上、OPSは1.000前後。各チームは4番との勝負を避けようとしたのだ。
2012年、プリンス・フィルダーが加入し4番に座り、カブレラは3番に。四球は40個も減った。また3番になったことで打席数も増え、トータルで打数は50も増えた。また、フィルダーの存在が投手陣に無言のプレッシャーを与えたことも想像に難くない。
カブレラの本塁打は14本、打点は34増加したのだ。
過去を見ても、ジョー・メドウィックにはジョニー・マイズ、ゲーリッグにはベーブ・ルース、ミッキー・マントルにはヨギ・べラ、フランク・ロビンソンにはブーク・パウエル、という風に、チームに強力な相棒がいることで勝負される機会が増えて三冠王を取ったケースが散見される。
今回もその典型だと言えよう。
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コメント
コメント一覧
カブレラをサードにコンバートしてまで獲得したわけです。
いつもながら目の付け所に唸らされました。
ラティーノ初のトリプルクラウン誕生、これは「多様性」こそが魅力であるMLBの歴史におけるひとつのマイルストーンだと思いますね〜
どんなに優れた打者でも、一人っきりなら勝負されないでしょうから。
掛布の衰えで、1987年のバースがそういう存在になってました。
これは凄いですね!
打線とは文字通り「線」であることを物語る面白いデータです。
日本でも、阿部の三冠王への挑戦が注目されていましたが、こちらは後を打つ5番打者の弱さに泣かされてしまった感じですね。
一連のコメントで、三冠王と、MVPの獲得について、様々な見解があることがわかりました。確かにセイバー的には物足りない数値もありますが(特に守備・走塁面で顕著なようですね)、最終戦、ビジターのカンザスシティでもカブレラが途中交代する際にはスタンディングオベーションだったと聞いています。球場にやってくる一般のファンのレベルでは、その偉大な記録が十分評価されていると思います。
何といっても45年ぶりのトリプル・クラウンですから。
1,2,3番の出塁率が同程度なら,4番打者の方が3番打者より打点は稼げそうに思えます.
フィルダーのアシストは大きいと思いますが,2011年は前を打つ3番の出塁率が物足りなかったというのも一因でしょう.
打点は前を打つ打者の出塁率が影響を与えるので,各年度で1,2,3番の出塁率を比較するといいのではないでしょうか.
また,今年のOPSは2010・11年にくらべ低い.これも勝負を避けられなくなったためでしょうが,2011年以前の5番打者の成績も比較したいですね.
作ってから私も5番打者の数字が必要だと思ったんですよ。明日か明後日に作り直しましょう。
やはり野球は面白いです。
まず本塁打では、ここ10年のタイトルをリードしてきたA-ROD、マニー・ラミレス、オルティーズ、プホルスが揃って衰えたことが大きい。そしていま最も飛ばす力のある、ホセ・ボティースタが度重なる故障に苦しんだ事が決定的でした。
打率に関しても、ライバルのイチロー、ジーター、マイケル・ヤングらがいずれも晩年に近づいている。次代のタイトルホルダーになるであろうトラウトやセスペデスはまだ経験不足。カノー、マウアーのような早熟型は、若くしてピークアウトしそうな雰囲気です。全体的に投高打低が進み、低水準だった事も味方しました。
打点に関しては文句なし。後を打つフィルダーの貢献が大だった事は、まったくもって同意です。
もちろんミゲル・カブレラが偉大な打者であり、今年の成績が素晴らしいものである事に疑問の余地はありません。ただ三冠王を獲るには、それに加えて様々な周辺状況が味方しないと難しいという事です。タイトルとはリーグ内での相対的な力関係によって決まるものですから。
それにしても、「三冠王に最も近い男」と言われ続けていたプホルスが、おそらく三冠王を獲れないまま衰えていきそうなこと。そして序盤は三冠王確実かと思われたハミルトンの見事な失速ぶり。野球は筋書きのないドラマ、事実は小説よりも奇なり、です。