7月にソフトバンクから退団の発表があった。長くNPB最強の打者だったアレックス・カブレラは人知れず消えていった。現役引退の会見もせず、日本のファンに見送られることもなく。
AlexCabrera20121017


刺青だらけの丸太のような太い腕。ぐいっと背中をそらして打席で構える。今の時代としては決して大きな体ではなかったが、バットに当たれば打球ははるか向こうに飛んで行った。ただのホームランではないすさまじい飛距離。その上、選球眼も抜群でミートもうまい。
NPB史上でも屈指のスラッガーだったのは間違いない。MLBからやってくる選手はどこか欠点を持っているものだが、守備も含めてほぼ完ぺきな選手だった。

西武にやってきて最初の3年で154本塁打341打点。巨大な数字をたたき出せる打者だった。



キャリアSTATSはまことに不思議だ。入団当初粗っぽい打者だったようだが、長打の片りんを見せており、なぜA+から上に上がれなかったのかわからない。

業を煮やしたかカブレラはメキシカンリーグに移籍する。MLB傘下の組織ではあるが都落ちの感はまぬかれない(この期間の数字は不明)。

その後台湾野球に移籍して実績を残し、アリゾナ・ダイアモンドバックス=ARIに拾われる。ここでようやくMLBに昇格。一塁のグレッグ・コルブランの控えとしてそれなりの数字を残した。それ以上に試合前の打撃練習では特大の当たりを連発して大いに目立っていたらしいが、なぜか次のシーズンに契約はつながらず。30歳でNPBにやってきたのだ。
右打者で体格も平凡、指導者にアピールする部分が少なかったのかもしれない。

しかし、NPBにあってはカブレラは巨人のようなものだった。2年目には王貞治の本塁打記録に並ぶ。敬遠攻めが話題になったものだ。

2007年にはミッチェルレポートで名前が出た。ARIがカブレラと契約継続しなかったのは、薬物疑惑によるとされるが本当にそうなのだろうか。ただ、日本でも薬物を使用し続けていた疑惑は残る。
オリックスに移籍したときには、36歳になっており故障が多くなっていたが、試合出場可能なコンディションの時は、相変わらず恐ろしい打者だった。ただ、体の動きは鈍くなっていたように思う、

39歳でソフトバンクに移籍後は数字を残せなかった。解雇はやむなしとは思うが、MVPまでとった大選手に、我々は「ありがとう」を言うことができなかった。
また、今年も、歴史的な大選手を、いらなくなったものでも捨てるようにお払い箱にしてしまった。マスコミはカブレラの功績を取り上げるべきだと思う。

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