故障がちだが、投げるときはほぼ完ぺき。今年の上原を表現するなら、こういうことになる。上原の今季の戦績。

上原は2009年に右ひじ腱の部分断裂という大けがをしている。ここから立ち直るとともに救援投手に転向したのだが、翌年の復帰後はクローザーとして活躍をした。
昨年のフラッグシップディールでテキサス・レンジャーズ=TEXに移籍したが、以後は本領が発揮できなかった。コントロールは良かったのだが、大事なところで一発を喰らったのだ。アーリントンというヒッターズパークでの投球術が身に付いていなかったともいえる。
今期は開幕から好調で、セットアッパーとして重用されたが、6月に右背筋痛でDL入り。7月、8月をほぼ棒に振った。
TEXは、西地区で2位のオークランド・アスレチックス=OAKにほぼ5ゲームの差をつけたまま8月後半を迎えた。この調子なら優勝は間違いないかと思えたが、この時期からゲーム差がじりじりと縮まっていった。
打線が不振に陥ったうえに、クローザーのネイサンが7月以降打ち込まれるケースが目だったのだ。
8月26日に復帰してからの上原は、神がかっていると言っても良い投球内容だった。8月以降の17試合で自責点はわずか1、ERAは0.57。7安打、1四球を許したが、9月以降は2安打、1四球。
「たられば」は禁物だが、上原が夏に健在であったなら、ネイサンとの持ち場の交代も可能だったかもしれない。わずか1勝差でワイルドカードに回ったことを考えれば、上原の故障は意外に大きな意味があったと思う。
TEXの救援投手の成績

優秀な救援投手が揃っていたTEXの中でも、上原の数字は群を抜いている。ただ、体調面の問題があって思い切って使えなかったのである。
今期の登板を見て感じるのは、速球の精度の高さだ。捕手の構えるところに、ほぼ100%投げることができる。それも置きにいく球ではなく、気合のこもった球である。球速表示よりも威力があるのだろう。その上で、フォークが生きてくるのだ。テンポが良いから、あっという間に追い詰められる。打者は、選択肢が無くなって、フォークに空振りをするという感じだ。
今季最後の試合となった10/5のワイルドカードゲームでも、ダルビッシュから引き継いだ8回を、三者連続三振。圧倒的なパフォーマンスを見せた。
評価は非常に高い。来季の去就が気がかりな上原である。
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コメント
コメント一覧
やはり大事な時期に怪我や不調になることが多い投手ですから、イマイチ信頼感に欠けるんでしょう。
なによりストライクをとる度にアーリントンに歓声が上がるのは凄かった。
ストレートについては昔古田が松坂より速かったって言ってました。質は大事ですね。
出て来れば打たれる気がしない。そんな感じでした。
そして完璧に抑える。実際に数字が物語っている。
まさに、信頼出来るピッチャー。球団は離さないでしょう。
毎度ながら、いい加減なことを書いてしまいました。上原の年俸調停は2013年だと思うのですが、今オフのFAは確定しているのでしょうか?
TEXと再契約の可能性もあるかもしれませんが、球場との相性はあまり良くなさそうなので、個人的には移籍した方がいいのではと思っています。
ありがとうございます。
140km/hそこそこの4シームながら、唸りを上げて高めのボールゾーンやアウトローにズバッと決まる投球は、見ていて本当に爽快です。かつての江川卓がよくこういった球で三振を取っていました。ボールに強いバックスピンがかかっているため、打者の手元でも球速が落ちないのでしょう。MLBの強打者でも振り遅れてしまうのですから(もちろん、強力なフォークボールが脳裏にあるから、ですが)。スピードガンが全てではない、という事を体現している投手だと思います。
TEXに関しては、確かにネイサン、アダムス、オガンドーら主力リリーフの息切れはありましたが、それ以前にルイスとフェリースの抜けた先発ローテの穴を、最後まで埋めきれなかった事が根本的な問題であり、上原がクローザーとして獅子奮迅の働きをしたとしても、チームの失速は止めきれなかったと予想しています。もちろん、あと1勝で混戦を抜け出せたわけで、その上澄みを上原がもたらす可能性はありますけれど。
おそらくネイサンにはクローザー契約もあったでしょうし、保守的なワシントン監督が、終盤でそこまで大胆な配置転換をできたかどうかも疑問です。