ダルビッシュ有にとって、今年は「通用する球」を吟味しながら、独自の配球を組み立てていく作業を繰り返す1年だった。そして、一定の「正解」を見出すことができた。
ダルビッシュのレギュラーシーズンの各試合の投球を、球種別に見てみよう。少し長い表だが、恐らく初公開。
不明他には敬遠(1回だけあった)、ピッチドアウトが含まれる。

デビューのシアトル・マリナーズ=SEA戦のダルビッシュは、4シーム主体で投げていた。まずはオーソドックスに、というところか。しかし、その速球を5安打され自責点5。
ここから模索が始まる。次のミネソタ・ツインズ=MIN戦ではスライダーの比率が増えた。その次のデトロイト・タイガース=DET戦ではカッターが多くなった。試行錯誤が続いたのだ。
4月は4シーム、カッター、スライダーを主体とした組み立て。
5月に入ると、4シームとスライダーを中心にした配球。ここにスプリッター(フォーク)を交えるようになる。
6月に入ると、2シームの比率が増えてくる。ダルの2シームは150km/hを優に超し、威力では4シームと全く変わらない。
7月には、2シームが4シームよりも多くなる。しかし、このころから成績は急落する。実は2シームに各打者が手を出さなくなったのだ。2シームは見送られるとボールになることが多い。また、スライダーもボールになることが多くなり、投げる球が無くなってきたのだ。
8月前半、ダルはどん底。8/6の試合ではスライダーを6本も安打にされた。
8/12のDET戦から、ダルの配球にははっきりした変化が見える。カッターの比率が増えたのだ。
9月に入ると、ダルビッシュは安定したパフォーマンスを見せるようになるが、それはカッターの比率が上がったことと無縁ではないだろう。マリアノ・リベラではないが、カットボーラーのように多投し始めたのだ。スライダーも4シームも減少した。
もう一つ、効果的な使い方をし始めたのがスローカーブ。前半戦では120km/h前後のカーブを時折交えていたが、後半戦からは110km/hに満たないスローカーブをうまく使うようになった。気持ちのゆとりの表れでもあろう。
9月をERA2.21という好成績で終わったダルビッシュ。試行錯誤の果てに使える球と配球を見つけたのだ。
10/5のワイルドカードゲームは、今季のダルの集大成ともいうべき試合だったが、91球の投球のうち43球がカットボール。ここにダルビッシュが出した結論を見ることができる。
なお、ダルビッシュの球種で一番安打を打たれやすいのは、スプリッターだった。恐らくはコマンドの問題だと思う。しっかり落ちないと安打にされるのだ。ダルにとってはこの球はあくまで「目替わり」であり、ウィニングショットではない。


今年のダルビッシュは、3人の捕手に投げた。ナポリ、トレアルバ、ソトである。捕手が変わることで、ダルの成績が大きく変化したことは、すでに紹介したが、配球で見るとどうなるのか。

わかりやすい結果が出た。ナポリは、4シームとスライダーを投げさせ、トレアルバは2シームの比率が高い。そしてソトは、カッターを多く投げさせる。
こう見ると、捕手がダルビッシュの投球を左右していたようにも見える。特に、ナポリがスライダーを多く投げさせたように思えるが、そうではないかもしれない。
昨年のNPBでの試合のデータを1つ出してみる。4Sと2Sを速球としてまとめて記録している。

速球とスライダー主体。こうしてみると、今季のダルの春先の配球は、NPB時代とよく似ているのだ。
推測ではあるが、ダルビッシュは日本と同じスタイルで投球をはじめ、これが通用しないとみると、徐々に配球を変えていったのだろう。
MLBでは、投球の組み立ては投手が主導権を握っていると言われる。もちろん、捕手との話し合いはあっただろうが、あくまで主体的に投球スタイルを変えていったのではないか。
来季、ダルビッシュは確立した配球をキープするのか、変えていくのか、注目して見て行きたい。
私のサイトにお越しいただき、ありがとうございます。ぜひ、コメントもお寄せください!
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不明他には敬遠(1回だけあった)、ピッチドアウトが含まれる。

デビューのシアトル・マリナーズ=SEA戦のダルビッシュは、4シーム主体で投げていた。まずはオーソドックスに、というところか。しかし、その速球を5安打され自責点5。
ここから模索が始まる。次のミネソタ・ツインズ=MIN戦ではスライダーの比率が増えた。その次のデトロイト・タイガース=DET戦ではカッターが多くなった。試行錯誤が続いたのだ。
4月は4シーム、カッター、スライダーを主体とした組み立て。
5月に入ると、4シームとスライダーを中心にした配球。ここにスプリッター(フォーク)を交えるようになる。
6月に入ると、2シームの比率が増えてくる。ダルの2シームは150km/hを優に超し、威力では4シームと全く変わらない。
7月には、2シームが4シームよりも多くなる。しかし、このころから成績は急落する。実は2シームに各打者が手を出さなくなったのだ。2シームは見送られるとボールになることが多い。また、スライダーもボールになることが多くなり、投げる球が無くなってきたのだ。
8月前半、ダルはどん底。8/6の試合ではスライダーを6本も安打にされた。
8/12のDET戦から、ダルの配球にははっきりした変化が見える。カッターの比率が増えたのだ。
9月に入ると、ダルビッシュは安定したパフォーマンスを見せるようになるが、それはカッターの比率が上がったことと無縁ではないだろう。マリアノ・リベラではないが、カットボーラーのように多投し始めたのだ。スライダーも4シームも減少した。
もう一つ、効果的な使い方をし始めたのがスローカーブ。前半戦では120km/h前後のカーブを時折交えていたが、後半戦からは110km/hに満たないスローカーブをうまく使うようになった。気持ちのゆとりの表れでもあろう。
9月をERA2.21という好成績で終わったダルビッシュ。試行錯誤の果てに使える球と配球を見つけたのだ。
10/5のワイルドカードゲームは、今季のダルの集大成ともいうべき試合だったが、91球の投球のうち43球がカットボール。ここにダルビッシュが出した結論を見ることができる。
なお、ダルビッシュの球種で一番安打を打たれやすいのは、スプリッターだった。恐らくはコマンドの問題だと思う。しっかり落ちないと安打にされるのだ。ダルにとってはこの球はあくまで「目替わり」であり、ウィニングショットではない。
今年のダルビッシュは、3人の捕手に投げた。ナポリ、トレアルバ、ソトである。捕手が変わることで、ダルの成績が大きく変化したことは、すでに紹介したが、配球で見るとどうなるのか。

わかりやすい結果が出た。ナポリは、4シームとスライダーを投げさせ、トレアルバは2シームの比率が高い。そしてソトは、カッターを多く投げさせる。
こう見ると、捕手がダルビッシュの投球を左右していたようにも見える。特に、ナポリがスライダーを多く投げさせたように思えるが、そうではないかもしれない。
昨年のNPBでの試合のデータを1つ出してみる。4Sと2Sを速球としてまとめて記録している。

速球とスライダー主体。こうしてみると、今季のダルの春先の配球は、NPB時代とよく似ているのだ。
推測ではあるが、ダルビッシュは日本と同じスタイルで投球をはじめ、これが通用しないとみると、徐々に配球を変えていったのだろう。
MLBでは、投球の組み立ては投手が主導権を握っていると言われる。もちろん、捕手との話し合いはあっただろうが、あくまで主体的に投球スタイルを変えていったのではないか。
来季、ダルビッシュは確立した配球をキープするのか、変えていくのか、注目して見て行きたい。
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コメント
コメント一覧
NPB時代のデータは1試合のものですが、私も直球+スライダーが多い印象を持っていたので、配球割合は参考にしていいのではないでしょうか。春先は、自分からこの配球を志向していたという説に賛同します。
NPB時代は、あの左打者の膝下に落ちて空振りを奪っていたスライダーと、右打者の内角に堂々と投げ込んできた150kmのツーシームがMLBでは有効に使えなかったというのは残念ですが、ストライクゾーンとボールの違いもあるのでしょうね。
ダルビッシュと同じように多彩な球種を持ちながらも、いまだに投球スタイルを見出せていない松坂も見習ってほしいものです。でも、ローテーションの確約がないと試行錯誤もできないから、今後は厳しいですね。
いやあ〜、これ超面白いですね!個人的に大ヒットです。漠然とイメージしていたダルビッシュの投球の変化を、はっきりと目で追えるわけですから。これぞデータ野球の醍醐味ですね。また球種が豊富なダルビッシュは、このような分析に向いた投手でもある。
NPB時代のダルは、松坂大輔と同じく球威のある4シームでカウントをとり、鋭い縦スライダーで空振りを奪うスライダーピッチャーでした。スプリッターやカーブでアクセントをつける事もありましたが、本人が絶対の自信を持っていた決め球はスライダーです。
もちろんMLBでもこの球で多くの三振を奪っていますが、ボールと湿度の違いから上手くコントロールできない場面も多かった。また、スカウティングの発達したMLBでは、5月ごろにはダルがスライダーを投げたがるカウントを分析し終え、打者に「振るな。捨てろ」と指示していたと思われます。これに一役買ったのが、MLBで数年前から導入されている動体視力のトレーニングです。MLB打者の選球眼の良さは、これに負うところが大きい。
5月下旬の2試合でスライダーを多投し、これがうまく決まらなかった事で、ダルは方向転換を余儀なくされたのだと思います。捕手ごとの球種割合がこれほど違うという事は、ダルビッシュは捕手からのアイディアを積極的に受け入れ、そこに活路を見いだそうとしていたと思われます。
最後のワイルドカードゲームは、本当に特徴的ですね。カッターが多いことよりも、4シームをほとんど投げなくなった事に注目したい。つまりMLBでは、4シームはコントロールを一歩間違えると打たれるリスクが高い球種であると。だから大事な試合では使えなかったのでしょう。
ダルの4シームは威力十分ですが、上原に比べると回転数(ノビ)と制球で劣る。来期はここを改善させるのか、それとも黒田のようにカッターと2シームを主体にした投球に徹するのか、注目していきたいです。
この記事だけを肴に6時間くらい呑めそうですw
まだ、平日のお昼ですが(笑)。
家へ帰ってからゆっくりどうぞ。
確かに後半戦はカッターを多投(ただ闇雲に投げるのではなく、効果的に)して、非常に安定したピッチングでしたね。
ただ、最後の方の登板では、逆にそのカッターを右打者に打たれていたように感じました。右打者のインコースをあまりつけない(ツーシームの精度が低いからでしょうか?)ので、外角中心の配球を読まれていた印象があります。逆に左打者には、そのカッターでインコースをつけるので、あまり打たれてなかったと思います。
来シーズンの活躍は、ツーシームの精度の向上が必須かな~と思いました。
コメントを書くのは初めてですが、毎回コメント欄が炎上する(笑)
巨人軍関連のオピニオンも含め、
いつも楽しく興味深く拝読させて頂いております。
更新頻度と記事のクオリティの高さには
いつも敬服しておりますが、皆様おっしゃっていますが
今回の記事は特に傑出して素晴らしいですね。
野球ファンなら誰しもが「漠然と」感じていた
ダルビッシュの投球スタイルの変化を
数字でここまで正確に示していただけると
改めて「なるほど」と膝を叩く思いです。
スポーツ紙はもちろん、専門誌すら凌駕する
まさにお金の取れる記事ですね。
無料で読むのが恐縮なくらいです。
これからも我々野球ファンを大いに楽しませてください。
宜しくお願いします。
MLBでは、一度通用したからと言って次回通用するとは限らないのだと思います。カッター中心の成功モデルも、安泰とは言えないでしょう。
2シームについては、専門家が「投げ方が良くない」と言っています。改善の余地があるのでしょう。
これからもよろしくお願いします。コメントもお寄せください。
ダルビッシュのスライダーについてはWBCの時に解説のハーシャイザーが、「曲がりが大きすぎてストライクにならない(のであまり使えない)」と言っていたのを思い出しました。カッターはまさに曲がりの小さなスライダーですから、ハーシャイザーの”予言”は当を得ていたのですね。
とにかく、すごいわ。(益々敬服)
広尾さん、ちょい水差し質問。
私もスコアをつける方なのですが、
データ整理で真似できないのが、ストライクの%。
打球になる、ファウルになる、スイング、ファウルチップetc.
これらの結果の場合、どうカウントしておられますか?
やっぱ、ESPN頼り?
if so, ボールパークでスコアブックを開くような
私のケースじゃS%計算無理か。(球審のコール頼りなので)
来シーズンに向けても探究心の強い彼の事だから、MLB仕様の新しい球種を難なく投げ出すかもしれませんねぇ。
今日のダルビッシュ×工藤の解説は楽しみです。
本人は今年をどう説明してくれるのか。
すごい表ですね!
早い球を一緒くたにして、「遅い球を更に遅くして緩急付けようとしてるのかな〜」「速い球の制球良くなったな〜」としか見てなかったのですが、そうか、カッターか……
それにしても今年のダルビッシュは追いかけていて楽しかった!去年までのNPBダルは無問題だらけでつまらなかったですから。
不調に陥っても「ここから何か見せてくれるはず」と期待して見ていられました。それも彼の持つ実用に足るレベルで様々な球種を使用出来る能力の高さがあるからですが。
来季のピッチングスタイルは本当に注目ですね。
終盤戦に好投が続いたことについては、初対戦の相手が多かったことも大きく作用したかもしれない。また、夏場までのダルビッシュのスカウティングレポートが頭に入っていた打者たちにとっては、この配球の変化には、大いに戸惑ったと思う。私の見たところ、レイズとの2試合目とグレインキーと最初に投げ合ったエンゼルス戦は今シーズンのベストピッチ。アスレチックス戦に投げられなかったのは残念です。
その後、マリナーズ戦からは結果は悪くないのだが、やや調子を落としていたか、あるいは変化に対しても攻略してきたか。崩れてもおかしくないな、という感じだった。特に、その次のエンゼルス戦。やはりメジャーのチームは甘くない。来年以降、同地区の強打線との知恵比べが本当に楽しみだなと思います。
なお、オリオールズとの試合は、最初から身体がおかしかった気がします。
こうして 見ると ダルの使える球種が多いのは 芸は身を助けるですね、また上原のコントロールと切れの素晴らしさ、松坂がなぜメジャーに対応出来ないか!が解りますね(笑)
来年のダルが楽しみで上原の立ち位置
松坂の身の振り方等(本気でアメリカで成功する気があるのか?)楽しみです。可能性は低いですが打者も頑張って欲しいですね(銃は剣より強しですか?)
クラゲ
クラゲだけに何か、ちくちく痛いんですけど、何か含むところでも・・・
頑張って下さい。楽しみにしてます。
こんなデータ解析あるとは、驚きました。
渾身の作ですね。
またゆっくり見に来ます。
私はボールとHBP以外はストライクとカウントしています。MLBの数え方もそうだと思いますが。
そうか、ストライクゾーンに投げた数と思う方がおかしかった。
これからも楽しみにしております。
今後もお付き合いください。