NBCが今オフのFA選手のランキングを発表している。今のMLBの選手評価が見て取れて、非常に面白い。
50位のランキングに、今季の簡単な成績、そしてBaseball ReferenceによるWARをつけた。

また今期から導入された「クオリファイング・オファー」の選手にマークを付けた。
クオリファイング・オファーはNBAなどではすでに導入されているが、高年俸の選手がFA移籍する球団への補償制度。該当年の年俸上位125選手の平均額を設定し、球団はその金額を提示する。その選手が提示を蹴って他球団へ移籍した場合、見返りとしてドラフト指名権を得る。
今年の場合提示額は1330万ドル。受諾した場合は1年契約が決定する。拒否した場合でも、その球団との契約交渉は可能。

FA50




クオリファイング・オファーされる選手は、その球団にとって最優先で引き止めるべき選手だ。黒田博樹もその一人だ。
ただし、クオリファイング・オファーは選手を引き留めるフックになるというよりは、フックが外れた時の「保険」だ。このルールを設けることによって、年俸の高騰を抑制するとともに、選手に去られた時の人的補償を担保するわけだ。
黒田はオファーを受ける可能性が高いように思うが、複数年契約を希望するスイッシャ―は、引き留められない可能性が高い。わりと微妙な制度ではある。

1位は、ジョシュ・ハミルトン。ポストシーズンでは失意に沈んだが、今、最も勢いのある選手なのは間違いがない。
グレインキ、サンチェスと先発投手が二人。5位のボーンはWARでは1位だ。俊足巧打の外野手。

黒田はこのランキングでWARは3位だが、評価は10位。これは年齢の高さが要因だろう。WAR2位のトリ・ハンターも同様だ。ハンターも黒田同様クオリファイング・オファーを受けるのではないだろうか。

ボストン・レッドソックス=BOSは、オルティーズにクオリファイング・オファーの後に2年契約を提示、合意に至ったようだ。

12位のマイク・ナポリはダルビッシュの相方の一人だったが、相性は悪かった。一時、巨人が興味を持っていると言われた。今期は故障がちだったが、爆発力は圧倒的だ。

13位には、一時は引退がささやかれたマリアノ・リベラ。NYYとの単独交渉になるのだろう。



21位にスティーブン・ドリューがいるのが不思議。兄のJDドリューと同様、実績の割に評価が高い。

岩隈は、シアトル・マリナーズ=SEAとの2年契約に合意したが、まだ正式契約ではないので25位にいる。

そして30位に花巻東高校の大谷翔平がいるのだ。ここらがアメリカの面白いところだ。まだプロで1球も投げていない18歳の右腕は、NYYの正捕手、ラッセル・マーチンよりも評価が高いのだ。

イチローは35位。すでにNYYだけでなく、すべての球団との契約交渉が可能になっている。NYYは優先順位の高い選手との契約交渉を終えてから、イチローと話をするのだろう。年齢と下降線の成績、そして出塁率の低さが、この評価となっていると思われる。

37位には、藤川球児がいる。このNPBを代表するクローザーも、大谷よりも下なのだ。

さらに42位には上原浩治。元気であれば抜群のパフォーマンスを発揮するセットアッパーだが、年齢と故障への懸念を総合しての順位か。もともと救援投手は先発投手より評価が低めなのだが。

43位にはWARが4.3もあるメルキー・カブレラ。今年の前半は大活躍だったが、薬物によるペナルティのために50試合を欠場。一気に評価が下がったのだ。

46位のライアン・マドソンはトミー・ジョン手術で今季を欠場したが、46位に入っている。

日本人でFAになった選手には、他に松坂大輔、斎藤隆がいる。高橋尚成もリリースされた。五十嵐亮太、福留孝介、川崎宗則、松井秀喜も戦力外だ。こうした選手は、MLBに残留するためにはマイナー契約も覚悟しなければならないだろう。
田澤純一もFAとなるが、去就は未定だ。

こういう明確なランキングができるから、MLBのストーブリーグは盛り上がるのだ。
この表は、オフシーズン中に何度も変動することだろう。

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