昨年末、日本相撲協会は年寄名跡(親方株)を、協会で一括管理することを決定した。
親方株は本来売買してはいけないとされていたが、実質的には年寄名跡の継承に際して数億円ともいわれる莫大な金が動いていた。こうした不明朗な金の動きが、親方、力士に微妙な力関係を生じさせていた。親方株の問題は、八百長や様々な不祥事の温床の一つとされていたが、既得権益に固執する親方衆の抵抗が根強く、長らく解決を見ていなかった。しかし、公益財団法人に認可されるかどうか、という死活問題の前に、親方衆、相撲協会はようやく大きな決断をした。これは歴史的なことだ。背後に文部科学省の強い指導があったことだろう。曲折はあるだろうが、既得権益の打破という最大の課題をクリアしたことで、大相撲の改革は一気に進むことだろう。

これまでNPBは、少なくとも日本相撲協会よりはまだ近代的で、明朗な組織だと思われていた。しかし、昨今の各球団の入場者数、業績の伸び悩み、TVの視聴率の下落、メディアでの相対的な地位の下落、MLBの世界戦略の展開、有力選手の流出などの状況を見ていると、決して「他山の石」とは思えない部分もある。

NPBの改革でも最大の課題は「既得権益の打破」になると思う。大坪正則先生が、再三述べておられることだが、メディア戦略、マーケティング戦略を展開する上では、スケールメリットは不可欠だ。しかし、現在のNPBでは、テレビ放映権も、ライセンス商品の販売も、球団が個別に交渉をしている。

有名企業とはいえ、NPB各球団はメディアなど一般企業に比べれば、中小企業にすぎない。巨人や阪神など人気企業は、強気の商売が可能かもしれないが、その他の球団は、交渉において、あまり強く出られないのが現状だ。

より大きな規模、より多くのコンテンツを持つ団体が、一括してメディア、大手企業と交渉すれば、もっと大きな成果が得られるはずだ。MLBでは、TV、CATVなどメディアとの放映権の交渉、そしてチームのグッズなどのライセンス契約は、MLBが一括して行っている。そして収益を各球団に分配している。30球団の中にはニューヨーク・ヤンキース=NYYのような人気球団から、弱小球団までがあるが、放映権、ライセンスに関する収益をMLBから分配されることで弱小球団は経営的に大いに助かっている。

各球団は入場料収入や選手個々のグッズなどフランチャイズなビジネスを展開している。分業が明確になっているのだ。

またアジアを中心とした世界戦略もMLBの役割だ。WBCはMLBとMLB選手会が中心となって運営されている。
個々の球団との間ではいろいろ軋轢はあるだろうが、「大きなビジネスはMLB」「個別のビジネスは球団」という利害調整ができている。MLBと各球団は利害が一致しているのだ。





NPBの場合、人気球団が放映権やライセンスビジネスの権利をなかなか手放さないという問題がある。また、メディア系の親会社をもつ球団の場合、自社メディアを優先させたいという強い意向が働く。こうした球団の「既得権益」が、NPB全体をビジネスとして「売る」体制を阻んでいる。

NPBが「大きなビジネス」でまとまることができれば、いろいろな可能性が広がる。たとえば韓国や台湾、中国などに放映権を一括して販売することも可能だろう。日本人がイチローなどの活躍に一喜一憂するのと同様に、李大浩、陽岱鋼など「おらが国さ」の英雄を見たいと人気が出るのではないか(一部放映はされているようだが)。またアメリカに販売することも可能だろう。

さらに、各球団のグッズなども一括でライセンス契約することで、より有利にビジネスを運ぶことができる。放映権ビジネスの海外での進展とともに、海外での売り上げも可能になろう。NPBの選手が海外でもビッグネームになることのメリットは大きいはずだ。

放映権収入やライセンスによる売り上げは、一旦NPBに入ったのちに、各球団に分配される。こうすることでNPBの権限はより強くなるはずだ。

この体制を敷くためは、各球団は親会社との資本関係を一度整理しなければならない。日本ハムのように、親会社ではなくスポンサーとして関わる形にならなければならない。そして各球団は真剣に「独立採算」を考えなければならない。

しかし、NPBが今後も繁栄をつづけ、MLBなどとともにビジネスを展開するためにも、これは避けて通れないと思う。大相撲が親方株と言う既得権益を手放したのと同様、NPB,各球団も決断すべき時が来ると思う。





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