投手についても同様に、殿堂入り状況について見て行こう。
勝利数100傑。

この中には殿堂入りに関して5つの状況にある選手が含まれている。
⑥ すでに殿堂入りした選手、
⑦ 殿堂入りはしていないが候補にエントリーされている選手(プレーヤーまたはエキスパート)
⑧ 現役または引退からの年数が5年未満で選出資格がない選手
⑨ 選出資格はあるが候補に選ばれていない選手、
⑩ 引退からの年数が20年を過ぎてプレーヤー資格を失った選手。

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投手で際立って異様なのが、江夏豊である。この選手は引退後、刑事事件を起こしているためなのか、成績抜群にもかかわらず殿堂入り候補にさえエントリーされなかった。
平松政次は候補にエントリーされているが、今までなぜ選出されていないのか疑問である。
200勝投手の有資格者の内、選ばれていないのはこの2人だけ。

200勝未達でも、各球団のエースと言われ投手は選出されてしかるべきではと思う。
その点では2001年の長谷川良平の選出は良いことだと思った。以後、こういう形でエース級が選出されるのかと思ったが、ぱたっと止まってしまった。
松岡弘、石井茂雄、川崎徳次、足立光宏、小野正一、星野伸之、成田文男、高橋直樹、高橋一三。

このあたりの投手は、個性が際立っている。各球団のカラーを体現していたともいえよう。
大野豊、外木場義郎を選出するなら、彼らもぜひ、と思う。

また、200勝投手が稀有になっていく中で、今後は150勝クラスの投手を選出していくべきだと思う。

最後にセーブ数の40傑についても同様の数字を見てみよう。

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江夏豊はセーブでも立派な数字を残している。もう一人、大野豊が先発救援(148勝138セーブ)で選ばれるのなら、山本和行(116勝130セーブ)にも検討の余地があろう。
今後、セーブ記録の上位者も候補入りしていくのだと思うが、セーブはシーズンに40前後荒稼ぎすることができる。また投球内容が悪くとも、登板回数が増えればセーブ数は増える。このあたりをどう考えるかも課題になろう。

殿堂入りは「誰が選出されたか」よりも「誰が選出されなかったか」が問題だ。成績が同程度で、選出されたり、されなかったりするのは、不公平感がある。

プロ野球選手は、入団した時に、少しでも長く現役を続けたいと思うのが常だ。ファンも名選手のプレーを永く見続けたいと思っている。
それを考えるならば、殿堂入りは第一に、プロで長く現役を続け、数字を積み上げた選手が選出されるべきだ。
その上で、様々なエポックや、話題性、人気などの要素が加味されるべきだ。
シーズン記録や、個別の試合での大記録達成者でも、通算記録が大きく不足している選手は、選出すべきではない。
その点、ベーブ・ルースのシーズン本塁打記録を破ったロジャー・マリスを殿堂入りさせていないMLBには、見識を感じる。

また、不祥事があった場合は選出しないのなら、それも明記すべきだ。罪を償ってその後、野球界周辺で仕事をしている元選手を選出しないのは、理不尽だと思う。

このままいけば江川卓は、恐らく選出されないままで終わるのだろう。「江川事件」が響いているということになろうが、131勝の外木場が選ばれて、MVPや沢村賞を取った135勝の江川が選ばれない理由はないはずだ。
これから、エキスパート候補としてエントリーされる余地があると思う。

「江川事件」は、日本プロ野球の信頼を大きく失わせた事件ではあったが、NPBは機構として「問題なし」との判断を下したのだ。江川は謹慎をしたが、その時点で贖罪は済んでいる。今更「江川事件」を理由として選考されない筋合いはない。

選考者、とくにマスコミ関係者は「私的制裁」を与える感覚で、江川をオミットしてはならないと思う。
その良識があったのなら、それは「事件」の時に使われるべきだったのだ。
今になって、そんなレベルでバランスを取ろうとするのは姑息だ。
江川は、何も間違ったことをしていないとプロ野球界は認めたのだ。マスコミもそれを容認した。

江川は純粋に成績で評価を与えられるべきだ。



来年は野茂英雄が先行資格を得ることになる。NPBとMLBの関係をどうするのか。また独立リーグでの選手の期間を現役とするのか、非現役とするのか、など判断を求められることが出てきている。

選考者の現状に鑑みても、野球殿堂は再考すべき時期に来ている。

選手は問われれば「殿堂入りを目指してなんかいない」と答えるだろう。しかし、プロ野球選手にとって、殿堂入りは間違いなく「人生の最終目標」の一つだ。
選考に当たる記者、委員は、もっと選出に責任と自覚を持つべきだと思う。一個の大選手、名選手の最終評価が託されているのだから。

クラシックSTATS鑑賞もご覧ください。今日は桑田真澄

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