1月17日に開かれた「学生野球資格に関する協議会」で、高野連からプロ経験者が高校の監督など指導者になるための条件緩和案がNPB側に提示されたのは、誠に喜ばしいことだった。ただ、プロ側からこれを強く働きかけたのは、日本野球機構(NPB)ではなく選手会だった。

大鵬幸喜が亡くなったとの報を受け、急きょブログを書いています。今日は野球のブログはこれ以上書かず、大横綱をしのびたいと思います。⇒大鵬幸喜、死去
日本プロ野球選手会は、10年近くにわたって、プロアマの障壁の撤廃に向けて働きかけを続けていた。2003年12月には、高校球児と現役プロ野球選手とが同じ舞台に立ち、技術指導などを行うシンポジウム「夢の向こうに」を実現させた。以後、毎年6か所の都道府県で、このプロジェクトを実行してきた。
2010年4月には、新井会長は高野連を訪問し、学生野球憲章改定など、日本球界におけるプロアマの関係が前進しつつある環境の中での新しい関係づくりのための意見交換を行っている。
野球部員の暴力、いじめなどの問題も両者の間で話し合われた。

2012年2月からは新たに「学生野球資格に関する協議会」での協議を始めたが、新井会長、井端理事長が出席した第4回協議会においても、目立った進捗は見られず、その姿勢に大きな疑問があることが報告されたために、昨年12月6日には、学生野球資格回復についての交渉を行う決議を行った。
今回の「雪解け」は、選手会のこうした粘り強い取り組みの中で実現したものだ。



しかし、本来、高野連のカウンターパートナーは労働組合日本プロ野球選手会ではなく、日本野球機構(NPB)のはずだ。選手だけでなく球団経営者の意向も反映した組織はNPBだけだからだ。

確かに協議会にはNPB側も出席し、NPBの下田邦夫事務局長は「思った以上の回答。特に選手の思いをすごく理解していただいた」との感想を述べているが、今回の件でNPBが果たした役割が見えない。
NPB公式サイトには、まだこのニュースが掲載されていない。まるで他人事のようだ。熱意が全く感じられない。

WBC参加問題を巡っても、選手会は激しく反応をしたが、NPBの対応は鈍かった。WBC側からは選手会は交渉相手ではないとの認識が示されたが、NPBの対応が鈍かったために、選手会が動かざるを得ないという感じも与えた。

プロ野球選手会の意見、要望の中には、選手待遇の向上を目指すあまり、虫が良いと思われるものもある。しかし、労働組合は、組合員の権利擁護、待遇改善を求めていく組織だ。そうした要望を出すのは当然だ。
選手会は、キャッチボールプロジェクト、球団構造改革案など野球の未来に対して様々な提言を行ってきた。
選手会役員はペナントレース中であっても、積極的に会合を持ち、世間にコメントを発信してきたのだ。

これは何も特殊なことではなく、社会的に責任のある組織としては当然のことだ。こういう形で自分たちの意見を表明し、世間の賛同を得ることは、組織として最重要の取り組みだと思う。

NPBの公式サイトには、こうした「意見」や、「活動報告」はない。ただ、試合結果や選手の異動などが淡々と掲載されているだけだ。あたかも昔の村役場のような静けさなのだ。
日本プロ野球を統括し、運営している組織は、何を考えているのかが全く見えないし、そもそも何らかの意見を有しているのかどうかも分からない。無責任極まりないと思う。

今回の日本高野連の回答の中には、以下の条項が含まれている。

一、 プロ側が行う研修では、かつてプロ野球と学生野球がなぜ断絶に至ったかの背景やプロ、アマ間で生じた問題の事実関係を理解することとする

こうしたプロアマの断絶を招いた当事者は、選手会ではなく、NPB、球団経営者である。NPBは、選手に経緯を説明し、プロアマの関係改善に責任を持って取り組まなければならない。
果たしてそんなことができるのだろうか。これまでの選手獲得について、「球団側に問題があった」ことをNPB側は認めて、反省の意を表すことができるのだろうか。

プロアマの雪解け問題で最大のネックは、「NPBの無責任、無能」だと思う。当事者意識を持って事に当たらなければ、この雪解けは一時的なものに終わるだろう。

クラシックSTATS鑑賞もご覧ください。本日は江本孟紀

Classic Stats




私のサイトにお越しいただき、ありがとうございます。ぜひ、コメントもお寄せください!