ダルビッシュ有は、昨日、テキサス・レンジャーズ=TEXへの入団を決めるとともに、夫人との離婚も発表した。おそらくは、日本国内での懸案事項に一気にけりをつけたいという気持ちからだろう。
昨日から民放テレビ局は、この二つのニュースを揃って取り上げている。特にワイドショー系は、離婚のニュースを大きく取り上げている。そちらの方が視聴率が取れそうだからだろう。

地上波民放局に聞きたいのだが、昨年ダルビッシュ有の所属する日本ハムの試合を、どのくらい中継したのだろうか。彼の歴史的な快投をどれだけ取り上げたのだろうか?

一昨年、歌舞伎の市川海老蔵が暴力スキャンダルを起こしたときも、地上波TV局は凄まじい数のクルーを現場に送り込み、天下の一大事のように電波を全国に送っていた。しかし、開局当時はいざ知らず、ここ数十年間、民放各局が、歌舞伎の舞台を電波に流したことはほとんどなかったはずだ。

稀に見る優れた才能、技量をもつ人物の、そのコアの部分、もっとも輝いている部分は、ほとんど取り上げることはなく、ただ周辺の瑣末事、スキャンダルだけ取り上げる、というのは、動物の排泄物しか相手にしないある種の昆虫のようだと思うのだが、いかがか(毎日必死に生きている、フンコロガシやマグソコガネには失礼なたとえだが)。

毎日丁寧に試合の様子を伝え、我々を楽しませてくれるBSやCSなどが、そうしたスキャンダルにほとんど触れないのも対照的なことだ。どちらがクリエイティブで、どちらが良い仕事をしていると言えるのだろうか。

私は、野球選手がどんなプライベートを持っているかには、一切興味がない。野球場を出てしまえば、普通の青年であり、ごく普通の男女関係や家庭があるだけだからだ。たとえ異常な性癖を持っていたとしても、そのことで彼に惹きつけられることはない。もちろん、選手の容姿や人気は、その選手を語るうえで重要な要素だ。人気が選手に大きな力を与えることはよくあるからだ。しかし、野球選手について語るべきことは、すべてスタジアムの中にある、これが基本だ。





ダルビッシュの懐に入る巨額のキャッシュも、我々にとってはMLBが彼を評価する「数字」としてのみ意味がある。それで何を買おうと、誰に支払おうと知ったことではない。

「いいじゃないか、メディアというのはそういうもんだ」というかもしれないが、往々にしてつまらないスキャンダル報道が、選手の本業に影響を与えることもある。ダルビッシュはそんなに弱い人間ではないとは思うが、いらざる神経を使わざるを得ないのは良いことではない。

「お前はいざ知らず、世間の人は知りたがっている」という向きもあろうが、私はそうではないと思っている。マクルーハンの「テレビは窓」とは言い古された言葉だが、窓の外にどんな景色が映ろうとも、人々はそれに注目してしまうのだ。TV局は安易で刺激的な情報に飛びつくが、世間もそれを欲しているとは言い切れない。TV局は世間が自分たちと同じレベル、品性だと思わない方が良いのではないか。事実、こんな報道しかできない地上波TV(スポーツ新聞などもそうだが)は、徐々に人々の支持を失っている。

スキャンダルはいつの世にもあった。しかし、いつの世もスキャンダルがその人間の本質よりも重要だったことはない。要するに離婚話はどうでもよい話だ。さあ、野球の話をしよう。

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