マイアミ・ニュータイムズというアメリカの地方紙が、ニューヨーク・ヤンキース=NYYのアレックス・ロドリゲスなど数人のMLB選手が、2009年以降、マイアミのクリニックからヒト成長ホルモン(HGH)やステロイドなどを提供されたと報じている。
MLBの薬物疑惑の歴史を簡単にまとめてみよう。

オリンピックが1980年代からドーピングに厳しい姿勢を打ちだし、88年のソウル五輪でベン・ジョンソンが失格になるなど、薬物使用を徹底的に排除しようとしていたのに対し、MLBは、極めて対応が遅かった。
21世紀に入っても、ステロイドの投与や薬物使用は事実上野放しで、そんな中、マグワイア、ソーサ、ボンズが本塁打記録を次々と更新した。
2004年にアメリカの栄養補助食品会社バルコが、スポーツ選手に禁止薬物を提供していたことが発覚、この際にそのリストにボンズらの名前があったことが分かり、MLBは薬物使用に対する対応を大きく変更せざるを得なくなった。
実はその前年、MLBは薬物検査を行っていた。あとで明るみに出たことだが、その検査で104人の選手に陽性反応が出ていた。しかしMLBはこの結果を公表しなかった。
2005年からMLBは薬物検査を強化するとともに罰則規定も設けたが、社会からのMLBへの批判が収まらず、バド・セリグコミッショナーは、元上院議員のジョージ・J・ミッチェルに薬物使用に関する徹底的な調査を依頼した。ミッチェル・レポートによって89名の薬物使用が明るみに出た。
A-RODはミッチェル・レポートに名前が出てこない。
この時点では、A-RODは、マグワイア、ボンズ、ソーサらと比べて「クリーンなスラッガー」だとみなされていた。
MLBとしてはここで薬物問題に幕引きを図りたかったのだろうが、2009年になって、2003年の薬物検査の結果が外部に漏えい、104人の選手が陽性反応を示していることが明るみに出た。
とりわけA-RODがその顔ぶれに入っていることが注目を集めた。
以後も薬物疑惑は度々ニュースとなり、昨年はオールスターゲームにも出場したメルキー・カブレラがドーピング検査でクロとなり、50試合を欠場。首位打者になる権利も辞退するという異常な事件が起こった。
今回のマイアミ・ニュータイムズ紙の報道にもメルキーの名前が出ているが、それは昨年の薬物使用のことだと思われる。


「事実であれば」という但し書きがつくが、A-RODの今回の薬物疑惑は、ボンズやマグワイア、クレメンスらが行った行為とは大きく異なっている。
ボンズらは、まだMLB自体が薬物使用に対して強い規制をかけていない時代に薬物に手をだしたのだ。批判はされているが、ルール違反をしていたわけではない。
しかし2007年のミッチェル・レポート以降、MLBでは薬物に関する意識は大きく改まっている。状況は全く変化したのだ。
A-RODは2009年に記者会見をして2001年から2003年の薬物使用を認めて謝罪。そのときに2004年以降の潔白を明言している。
その舌の根も乾かぬうちに、薬物を購入し、以後も使用していたのだ。
問題になっているのに自らの薬物使用を隠していた事、2001年から2003年まで薬物を使用していた事、そして2009年以降も薬物を使用していた事。A-RODは三回、人々を裏切った。
同情の余地はないだろう。A-RODの選手生命、そして社会的地位は失われることになるだろう。
クラシックSTATS鑑賞もご覧ください。1965年の投手陣 セリーグ

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オリンピックが1980年代からドーピングに厳しい姿勢を打ちだし、88年のソウル五輪でベン・ジョンソンが失格になるなど、薬物使用を徹底的に排除しようとしていたのに対し、MLBは、極めて対応が遅かった。
21世紀に入っても、ステロイドの投与や薬物使用は事実上野放しで、そんな中、マグワイア、ソーサ、ボンズが本塁打記録を次々と更新した。
2004年にアメリカの栄養補助食品会社バルコが、スポーツ選手に禁止薬物を提供していたことが発覚、この際にそのリストにボンズらの名前があったことが分かり、MLBは薬物使用に対する対応を大きく変更せざるを得なくなった。
実はその前年、MLBは薬物検査を行っていた。あとで明るみに出たことだが、その検査で104人の選手に陽性反応が出ていた。しかしMLBはこの結果を公表しなかった。
2005年からMLBは薬物検査を強化するとともに罰則規定も設けたが、社会からのMLBへの批判が収まらず、バド・セリグコミッショナーは、元上院議員のジョージ・J・ミッチェルに薬物使用に関する徹底的な調査を依頼した。ミッチェル・レポートによって89名の薬物使用が明るみに出た。
A-RODはミッチェル・レポートに名前が出てこない。
この時点では、A-RODは、マグワイア、ボンズ、ソーサらと比べて「クリーンなスラッガー」だとみなされていた。
MLBとしてはここで薬物問題に幕引きを図りたかったのだろうが、2009年になって、2003年の薬物検査の結果が外部に漏えい、104人の選手が陽性反応を示していることが明るみに出た。
とりわけA-RODがその顔ぶれに入っていることが注目を集めた。
以後も薬物疑惑は度々ニュースとなり、昨年はオールスターゲームにも出場したメルキー・カブレラがドーピング検査でクロとなり、50試合を欠場。首位打者になる権利も辞退するという異常な事件が起こった。
今回のマイアミ・ニュータイムズ紙の報道にもメルキーの名前が出ているが、それは昨年の薬物使用のことだと思われる。
「事実であれば」という但し書きがつくが、A-RODの今回の薬物疑惑は、ボンズやマグワイア、クレメンスらが行った行為とは大きく異なっている。
ボンズらは、まだMLB自体が薬物使用に対して強い規制をかけていない時代に薬物に手をだしたのだ。批判はされているが、ルール違反をしていたわけではない。
しかし2007年のミッチェル・レポート以降、MLBでは薬物に関する意識は大きく改まっている。状況は全く変化したのだ。
A-RODは2009年に記者会見をして2001年から2003年の薬物使用を認めて謝罪。そのときに2004年以降の潔白を明言している。
その舌の根も乾かぬうちに、薬物を購入し、以後も使用していたのだ。
問題になっているのに自らの薬物使用を隠していた事、2001年から2003年まで薬物を使用していた事、そして2009年以降も薬物を使用していた事。A-RODは三回、人々を裏切った。
同情の余地はないだろう。A-RODの選手生命、そして社会的地位は失われることになるだろう。
クラシックSTATS鑑賞もご覧ください。1965年の投手陣 セリーグ

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コメント
コメント一覧
もはや不良債権化が著しいA-RODに対して、ヤンキースがこの一件を口実に契約解除を申し入れる動きがあるという報道がありました。
残り5年で1億ドル以上の金銭が浮くのですから、これを使用してチームの強化も図れるという点ではおそらくファンの多くが待望していることでしょう。
ただ、問題はそう上手くいくかどうか……上手くいかなかったときのダメージは計り知れないものがありますが。
NYYにとっては、見切りどき、渡りに船。穿った見方ですが、そう考えるとちょっと怖いです。
アメリカでも日本でも(あとここのブログでも?)Aロッドは薬物を使ったのがまるで確定のように語られてるのが気になります
まあ一度失った信用は戻らないということなんでしょうかね・・・
「事実であれば」と但し書きをつけていますが。
その後の文章は、どう読んでも決め付けていますよ?
自分で、冷静に読み返してみてください、広尾さん
決め付けて書いていますよ。何がおかしいのでしょうか?
事実が確定するまで書けないとは思いません。
そこで切っ先をなまらせるくらいなら、こんな文章書かないですよ。
まあ、趣味でやってるブログでしょうから構いませんが。
まさか、本職の分野でも、憶測での決めつけとかやっちゃってます?
もうちょっと、文章とかメディアについて理解を深めないとね。
hisaさん、メディアリテラシーに問題ありですよ。
本職についても誤解しておられるようだし。
僕の常識では、「推定は無罪」なだけです。
>決め付けて書いていますよ。何がおかしいのでしょうか?
>事実が確定するまで書けないとは思いません。
趣味の範囲とはいえ、この精神は酷いですよ。
>そこで切っ先をなまらせるくらいなら、こんな文章書かないですよ。
何をもって「切っ先」とか言ってるのか?
根底に正義がないと成立しませんよね?
こんなブログに反応した自分が恥ずかしいです。
目に触れないようにできないものかな。
もういいじゃないですか。そういうことおっしゃる方、たまに来られるんですが、論点がずれずれになるだけです。一般論にすり替えられると、核心からどんどん離れてしまう。
野球に興味がないのに、だぼはぜみたいに中途半端に口をはさんだのが失敗でしたね。時間の無駄でした。お気の毒さま。
今回の記事は、内容的にも「与太記事」ではありません。証言者もしっかりしていますし、問題ないと思います。そういう判断の上で、書いています。新聞自体も信用のおけるメディアでもありますし。
薬物報道については、その多くが後に事実であると確認されています。
多くの方は、そのことも承知で読んでおられます。
推定無罪と言っていては、数年先でないとものが言えないことになってしまいます。
文章作成能力の問題でしょうが、
事実認識の部分に決めつけをしてはいけません。
今の時点で、彼らが薬物を使用したと決め付けていいのですか?
調査段階ですよね?
まだ立証されていませんよね?
論点はずれていませんよ?
一般論ではありませんね。
A-Rodは、まだ3回も裏切っていませんよ?
あと、興味がなければ、普通は無視するだけです。
あなたの推定能力の程度はそんなものですよ。
すぐに病院に行ったほうがいいですよ
読解力が人としてやばいぐらいにかけている
ずいぶん怒っておられるようなので、挑発したことはお詫び申し上げます。
感情的になって申し訳ありません。
ただ、あなたの文句のつけ方は正しいと言い切れるでしょうか。
野球の薬物疑惑について、私は何十本も文章を書いてきました。
ミッチェルレポートやその他の資料も読み込んでいます。
経験的に、確信があるから書いてきたわけですし、事実関係を大きく誤ったこともありません。
断定調で書いているのは、根拠があるからです。そういう口調で書かなければ、良い文章にはなりません。
今回も新聞記者などスポーツメディアの方と情報交換をして、確認をした上で書いています。
(いちいちそんなことは書きませんが読者の方はご承知のはずです)。
そういう形で3000本、書いてきました。
バックナンバーまでお読みいただいたのならともかく、たまたま目に留まった言葉尻に
反応して、正義感を振り回す行為が、「善」だと言い切れるのでしょうか。
不躾だと思います。いきなり土足で上がり込んできて、悪態をつかれたように思います。
文章能力にまで言及されるのは、失礼だと思います。
そういう能力を本文に活かせばいいだけですよ。
HNを変えるのは卑怯ですよ。hisaさん。
本性が表れていますよ。
真面目な方だと思って対応したので残念です。
非礼を認めることができないのなら、お引き取りください。
わざわざどのように記事を書くか説明してきているのに今更それに噛み付く人が居るとは……郷に入れば郷に従えではありませんが、その記事の前後関係やどういう場なのかをしっかり読まないでコメントする人、場所が場所なら「半年ROMれ」と言われそうな方がコメントすることが増えたなぁ、と感じました。
って本文と全く関係ないですね。自分もまた場を読めていない。人の振り見て我が振り直せです。すみません。
以降の文章との繋がりが引っ掛かりました。要は“付けたり”感が拭えないんですよね。
本稿について言えば、確信があり専門の方の助言も仰がれてるとの事であれば、
このような半端な但し書きではなく
『未だ疑惑の段階だが薬物問題の過去の事例から確度は高いだろう』
とでもした方が、寧ろ解り易かったのではと思います。
続報では、MLB機構が疑惑6選手と面談予定である事、
ロドリゲスとジオ・ゴンザレスは否定するも研究機関オーナーの手書き記録が公開されている事が
報じられてますね。果たしてどうなりますか。
カブレラとヤスマニ・グランダルの既に出場停止50試合を科された案件の使用薬物が
本件の物であった場合、どのような扱いとなるのかも気になる所です。
HNを変えるなら、「h」は使わないでしょうw
そんなにムキにならなくもいいと思いますがね。
本性が表れてる、とか、どうしちゃったんですか?
「非礼」とか言っちゃってますけど、
自分のほうが余程、礼を欠いてることに気づいています?
多分、意味がわからないでしょうけど。
>20番 Ginさん
仲間内で慰め合ってるブログに来た僕の責任でした。
では、引き取らせてもらいます。
責任のない、気楽なブログ生活を今後も楽しんでください。皆さん
最後とか言っておきながらまたノコノコ書き込んでるし・・・。
自分が正しいと思い込んでる上に読解力のない人間は怖いな・・・。
恥の上塗りしなくても良いのに。
相当な地位にいらっしゃるようで、責任ある文章を書いておられるようだけど、その程度の文章力と社会性では心もとないね。
現在のところ、そう書く意外に方法はないでしょう。私は修正する気はない。
この手の文章をずっと書いてきたので、今更ここまでからまれるのは心外です。
私の文章の趣旨をご存じなのだから、中身について議論いただきたい。
New York Timesの記事を読んで知ったのですが、
http://www.nytimes.com/2013/01/30/sports/baseball/rodriguezs-denials-put-yankees-patience-to-test.html
A-RodのNYYでの契約更新はミッチェルレポートの出たその日(2007年12月13日)に交わされていたそうです。このレポートで彼の名前は出てこなかったものの、ジョー・トーリは彼の無実主張を嘘と断じており(A-Fraudと著書で書いていたそうです)、広尾さんが書かれたとおり2009年に初めてA-Rodは薬物使用を認めました。でも、メディアやファンからすれば、彼が嘘をつき続けたことが一番問題なのでしょう。
たまたま私が今回読んだ記事の執筆者は辛辣なトーンで書いていますが、"Remember that Rodriguez continued to lie to the Yankees even after admitting his past steroid use."という一文に全てが表されているように感じます。そう思うと、本エントリーのタイトル「仏の顔も三度」とは、またに広尾さんの正鵠を射た表題ですね。
蛇足ですが、先日薬物問題とメダル剥奪が発表された自転車のアームストロングと比べると、MLBは選手会の力が強いのと選手間でお互いを守る暗黙の了解があるため、個人を特定する情報がほとんど得られないそうです。したがって、連邦レベルの司法・捜査当局が動いて外堀を埋めていくか、今回のマイアミのメディアのように独自調査をしていくしか、問題の実態解明にはつながらないのでしょう。
http://www.nytimes.com/2013/01/31/sports/baseball/blocking-path-of-baseballs-drug-inquiries.html
長らく興味深く読ませていただいているのに、ほとんどコメントしないままですみません。今年はもっとコメント議論に加わることを目標にしているので、今後ともどうぞ宜しくお願いいたします。
素晴らしいコメントをありがとうございます。是非今後ともご教示ください。