「えらい試合やったなあ」京セラドームを出た客が口々に言い合っていた。
WBC壮行試合、日本対オーストラリア
最初の驚きは「オーストラリアがすごく強くなっている」ということだった。2009年も壮行試合をこのカードでやっている。この時は本体ではなく、主にAMLB(オーストラリア・メジャーリーグ)控えクラスではあったのだが、ノックはぽろぽろこぼすし、ボール回しはぎごちないし、こんなので日本の練習相手になるのか、と思ったが、今日の豪は別のチームの感があった。

しかし、今日の顔ぶれには、4年前に見たスネリングとヒューバーも含まれていた。選手自身も進化しているのだろう。とにかくパワーを感じた。

田中将大にとっては、前回登板の雪辱ではあったのだが、全く良いところが無かった。コントロールが悪いうえに、速球が決まらない。豪の選手が空振りしていたのはスライダー系ばかりだった。
あっという間に満塁になって、死球で押し出し、そして投ゴロの間にもう1点。独り相撲ではあったが、球を捉えられてもいた。田中は1回だけで25球。
2回にも得点圏に走者をすすめられ、左飛で1点かと思われたが、内川の好返球で辛うじて追加点を取られなかった。
短期決戦だけに、こんな投球が続くと「田中は使えない」という烙印を押されてしまいかねない。もう1度チャンスがあるとすれば、田中は何としても修正しなければならない。

打線も固くなっているのが良く分かった。長野も鳥谷も撫でるようなバッティング。坂本は慎重になりすぎているようだった。
中で糸井が元気そうだったのと、中田翔が思い切ってバットを振っていたのが目立っていた。
立ち上がり、先発投手が独り相撲を取って失点し、焦った打線が凡退を繰り返す。小刻みな継投に眩惑されて、じりじりと回が進んでいく。今の日本が陥りやすいパターンである。ブラジルに負けるとすれば今日のような試合運びだろう。
オーストラリアは確かにバットが振れていた。各打者が思い切って振ってくる。三振は増えたが、安打も出る。逆に言えば、日本は三振でしかアウトが取れない。球数が嵩んでいく。
5回に当たりは良くないが松田に安打が出た。しかしその後も決定打が出ない。7回、満塁の好機をものにできないのを見て、お客がぞろぞろと出口の方に向かいだした。
オーストラリアも勝ちに来ていた。格上の日本に勝って、勢いをつけたいと思っていたのだろう。
7回のラッセルからケントへの交替は、壮行試合とは思えない真剣度だった。
8回、糸井が打席に立つと右翼の日本応援団あたりからウェーブが巻き起こった。ふがいない日本に対する不満が、こういう形を取ったように見えた。
そんな中、中田に初めて良い当たりの安打、そして稲葉と交替して途中から一塁を守っていた井端が初球を無造作に右前へ運ぶ。この安打が試合の分かれ目だった。
続く相川が左中間前列に落ちる逆転3ラン。
この一発で侍ジャパンは救われた。
田中以外の投手、杉内、能見、牧田は順調な仕上がりに見えた。特に牧田の投球は素晴らしかった。

この日、働いたのは下位打線と途中出場の選手である。上位打線は明らかに萎縮しているように見えた。控え選手は相手投手の球筋や配球を見る余裕がある。そのゆとりが好打につながったように思う。
豪が強くなったとはいえ、実力差は明らかだったが、雰囲気にのまれて主導権を奪われた。こんなケースがこれからもあると思う。
内野自由席がほぼ満杯、しかし値段の高い席は空席がちらほら。
侍ジャパンの敵は、やはり自分自身にあると言って良いだろう。今日の井端や相川のように、普段着のプレーができる選手の数が増えないと、日本は苦戦するだろう。

クラシックSTATS鑑賞もご覧ください。1969年の救援投手陣 セリーグ

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しかし、今日の顔ぶれには、4年前に見たスネリングとヒューバーも含まれていた。選手自身も進化しているのだろう。とにかくパワーを感じた。

田中将大にとっては、前回登板の雪辱ではあったのだが、全く良いところが無かった。コントロールが悪いうえに、速球が決まらない。豪の選手が空振りしていたのはスライダー系ばかりだった。
あっという間に満塁になって、死球で押し出し、そして投ゴロの間にもう1点。独り相撲ではあったが、球を捉えられてもいた。田中は1回だけで25球。
2回にも得点圏に走者をすすめられ、左飛で1点かと思われたが、内川の好返球で辛うじて追加点を取られなかった。
短期決戦だけに、こんな投球が続くと「田中は使えない」という烙印を押されてしまいかねない。もう1度チャンスがあるとすれば、田中は何としても修正しなければならない。

打線も固くなっているのが良く分かった。長野も鳥谷も撫でるようなバッティング。坂本は慎重になりすぎているようだった。
中で糸井が元気そうだったのと、中田翔が思い切ってバットを振っていたのが目立っていた。
立ち上がり、先発投手が独り相撲を取って失点し、焦った打線が凡退を繰り返す。小刻みな継投に眩惑されて、じりじりと回が進んでいく。今の日本が陥りやすいパターンである。ブラジルに負けるとすれば今日のような試合運びだろう。
オーストラリアは確かにバットが振れていた。各打者が思い切って振ってくる。三振は増えたが、安打も出る。逆に言えば、日本は三振でしかアウトが取れない。球数が嵩んでいく。
5回に当たりは良くないが松田に安打が出た。しかしその後も決定打が出ない。7回、満塁の好機をものにできないのを見て、お客がぞろぞろと出口の方に向かいだした。
オーストラリアも勝ちに来ていた。格上の日本に勝って、勢いをつけたいと思っていたのだろう。
7回のラッセルからケントへの交替は、壮行試合とは思えない真剣度だった。
8回、糸井が打席に立つと右翼の日本応援団あたりからウェーブが巻き起こった。ふがいない日本に対する不満が、こういう形を取ったように見えた。
そんな中、中田に初めて良い当たりの安打、そして稲葉と交替して途中から一塁を守っていた井端が初球を無造作に右前へ運ぶ。この安打が試合の分かれ目だった。
続く相川が左中間前列に落ちる逆転3ラン。
この一発で侍ジャパンは救われた。
田中以外の投手、杉内、能見、牧田は順調な仕上がりに見えた。特に牧田の投球は素晴らしかった。

この日、働いたのは下位打線と途中出場の選手である。上位打線は明らかに萎縮しているように見えた。控え選手は相手投手の球筋や配球を見る余裕がある。そのゆとりが好打につながったように思う。
豪が強くなったとはいえ、実力差は明らかだったが、雰囲気にのまれて主導権を奪われた。こんなケースがこれからもあると思う。
内野自由席がほぼ満杯、しかし値段の高い席は空席がちらほら。
侍ジャパンの敵は、やはり自分自身にあると言って良いだろう。今日の井端や相川のように、普段着のプレーができる選手の数が増えないと、日本は苦戦するだろう。

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コメント
コメント一覧
スコアですが、9回表にオーストラリアに2点入ったようになっちゃってますよ……
失礼しました。
マスコミは実に無神経な気軽さで、この3文字を連呼してくれますが・・・
上位打線に先発投手に調子の出ない試合でしたが、監督の采配の悪さだけでなく、それだけ責任のあるポジションの選手が多大な責任にがんじがらめになっている感がありました。
今回結果が出たからといって、中田を上位打線に上げるのは愚策のように思えます。
昨日みたいな試合をやっちゃったら、アメリカ行く前に敗退しそう。
気負い過ぎないでやればいいのに‥‥‥
マー君はもう「使えない」でいいんじゃないでしょうか?短期決戦だしまってる余裕はないです。マエコンもそうだけど、実績はあるけど不調な投手にこだわっていると、あっさり自滅しそうな気がします。
杉内は実績通り、信頼できるピッチング。そして牧田はおっしゃる通り素晴らしかった。下からの速球は、メジャーはともかく他のリーグの選手にはそうは打てない気がします。
さて、打線。ここも巨人という看板、昨年の最多安打という看板。そういうものにこだわってオーダーを組んでるような気がしてなりません。
本当に調子のいいものを使うという、原監督とはちょっと違うよね。
長野はそもそも、本人が一番は嫌だと言っているらしいですし、私も一番向きではないと思う。
鳥谷・坂本も簡単に打ち上げて...阿部も打てない。というか、四球でしか出塁できない。出塁すればそれはそれでいいんだけど、このメンバーで足を使った攻撃はできないでしょう。
オーダーの大幅な組み直しが必要でしょうね。
糸井をトップにして、そこからオーダーを組むべきだと思いますがねぇ
4番阿部は代わりがいないのでそのままとしても、長野坂本鳥谷は下位で楽に打たせるか、いっそ違う選手を使うか。
私だったら変えますけどね。巨人、嫌いだし。
今回のメンバーでは打線をどう組み替えようが5~6点を取れるようになるとは思えない。それより、いかにくだらない失点を防ぐかが重要でしょう。使えないと判断した投手にはこだわって欲しくないですね。
第一戦 マー君先発
第二戦 マエケン先発
一体誰が決めたんでしょうか?
代表チームがその時の調子・コンディションを考慮せず、出場選手を決めている事が不思議でなりません。
今イチ盛り上がらない割に、三連覇当然ムードだった世間の目を覚ます良い機会だったと思うのですが、チームにとっては相川が救いの神になりましたね。
本当に今、世界各国の野球レベルは均衡しており、オーストラリアの様に「2月中旬までリーグ戦」という良コンディション1つで足をすくわれかねない実力を持っている。
その中で『3月に結果を出せる選手』という最低限の判断基準がブレてはいけない。
これまでを見る限り、杉内を中心に投手陣を整備し直さないと勝てる集団にはならないと思います。
一つ気になったのは、2点ビハインドの7回裏1アウト1,2塁から
坂本が『初球』をセカンドゴロの場面です。
国内を調整試合ツアーしているからなのか攻撃陣はまだメンタル面でWBCに入れていないと感じました。
早く代表チーム自体が『本気で三連覇を狙う』メンタルになってくれないとファンとしては楽しめません
それにしてもいつになったらチーム内の合言葉が「アメリカに行こう」から「三連覇」になるのでしょうかねぇ。
長野はおかしいです。にも関わらず、下げることすらできなくしてしまいました。
元MLBというだけで松井を、WBCに否定的ではないと言わせたいがために井端を残して(昨日は打ちましたが)外野を外しすぎた弊害が早速出ています。
どこのチームも前倒しで調整しています。
杉内、能見はチームへ戻れば先発です。ならば、田中、前田、松井を外し、オリックスの平野佳寿、ベイスターズの山口、イーグルスの聖澤を代表入りさせるべきでしょう。
田澤?自分がMLB入りできるかどうかでそれどころじゃないでしょう。
また、普段着野球云々に関して、レギュラークラスはそれを思い描きながら出来ていないだけです。井端、相川は控え投手から打っただけで、それを普段通りやったという思いはしていません。
昨日のような展開は、本戦ではまず出来ないでしょう。この2人を先発から使い切れるほどの胆力はないでしょう。
この大会は球数制限があることで救援陣はどこも厚いために、過去78試合で7回以降の逆転劇はたった4試合しかありません。敗れたのは日本(韓国戦)、南アフリカ(カナダ戦)、オーストラリア(キューバ戦)、プエルトリコ(米国戦)。2次ラウンドでは前回のプエルトリコだけです。当然ながら中盤までにリードを許す展開は避けたいものです。
球場内の空気が8回まですごく重たかったです。相手の攻撃時には全く鳴り物がないので、打たれるとしーんとしてしまう。その空気に選手も呑まれていったように思えました。
本当に。昨日のウェーブはちょっと驚きました。私の周囲のお客は7回終了でぞろぞろ帰ってしまって、相川の一発を見ていません。
あれでゴーを出す3塁コーチもどうかと思うのですがw
マー君以外の投手は完璧でしたね。
ちょこちょこ打たれはしましたが点をとられる臭いがしませんでした。
昨日の投球でダメだと決めつけることは、打撃守備ともにサッパリだった阿部を外して相川を正捕手にしろと言ってるのと同じだと思いますが
私もよく忘れがちになりますが、選手は機械ではなく人間です。調子の良し悪しは当然のこと、調子が突如変動することもあれば好不調が長く続くこともあります。
田中がどれだけ信頼されているのかはわかりませんが、日本のエースとしての役割を期待し、その能力を信頼して選出したのならこのまま先発の柱として起用し続けるべきでは。少なくとも短期間で自分のピッチングを修正できる能力自体は田中投手にはあると見ています。
短期決戦がゆえに、個々の選手の調子が結果に直結しやすいのは当然のことですし、「〇〇は使えない」「〇〇ではなく〇〇を選ぶべきだった」などと言うのは簡単ですが、1人の選手を信頼して起用するというのも決して悪いことではないと思うのですが。
昨日の試合は本来は負けていた試合でした。能見や牧田の投球は相手打線のバットが面白いようにクルクルと回り見ていて爽快でしたが、田中はフラフラ、長野は窮屈なバッティング、他の打者も全体的にガチガチ。
逆転劇を演出した中田や井端、相川は称賛されてしかるべきでしょうが、そこには幸運もあったと考えるべきでしょうね。
今日の試合ではおそらく打順を組み換えてくると思いますが、昨日よりはまともに機能するよう祈ります。
私が投手陣に一考を促したいのは、昨日の投球『だけ』でダメだと決めつけたのではありません。
実戦に入った広島戦からオーストラリア戦に至っての田中投手の仕上がり具合(マトモにストライクも入らない…)が杉内を押し退けて第一先発を任せ得るのかという事です。
「65球限定」の真剣勝負でより信頼出来る投手がいるのに不安定な投手を先に起用する理由は何なのでしょうか?
田中投手が(レギュラーシーズンにおいて)信頼出来る投手だという事は分かりますが、ここにきて『出たとこ勝負』をするのは見たくない。
阿部に関してもそこまでこだわる捕手四番ではないと思いますので、駄目なら下げる事も必要かと。
今日は前田健太にとって最終試験だと思いますので、以前より調整が進んで第一先発を任せ得るレベルなのか見極めるべきですね。
良いピッチングを見せてくれる事を期待しますが、厳しい場合には首脳陣がどう対応するかも見ものです。
WBCはもう始まっているのですから。
去年からずっと悪いんですよ。このまま松坂と同じ道を歩みかねませんよ。
高代コーチ、なんとかして!
ただ杉内は前回も完璧でしたし投手陣の柱で良いと思います。
田中、前田は第一回の松坂の例もありますし修羅場をくぐって結果を出し続けて
きた実績がある以上、ハナから代表に選ぶべきでなかったなどと言うのは笑止千万。
他の投手ならばWBC球に必ずマッチ出来ると決まってる訳でもないのですから
選考に実績を考慮するのは当然のことであって、本番で調子の良い選手を使うという事とは別の話しです。