スポーツ報知から
全日本野球協会と日本ソフトボール協会が4日、都内で合同会議を開き、野球とソフトボールの2020年五輪競技復活を目指し、松井秀喜氏(38)に協力を要請する方針を確認した。
野球・ソフトボールのオリンピック競技復活について、我々日本人は微妙な感情を抱いている。もちろん、復活できるものならその方が良い。しかし、野球・ソフトボールが復活することで、レスリングが消えるとすれば、それはあまりうれしくない。
レスリングは五輪で日本がメダルを荒稼ぎできる数少ない競技であり、最大で2個しかメダルが取れない野球、ソフトよりも五輪に残ってほしい競技だからだ。
野球とレスリング、どちらが好きと言われてレスリングと答える人はほとんどいないだろうが、五輪復活に関して両てんびんにかけるとすれば、話は別なのだ。
それに、ソフトはともかく、野球は毎日見ることができるし、問題はあるにせよ、WBCという別の国際大会だってある。

松井秀喜を野球、ソフトの五輪復帰の看板に、というのは、レスリングが吉田沙保里を前面に押し出していることに対抗したのだろう。
気持ちはわかるが、松井は日米でこそ知名度は高いが、IOCの委員の大部分が所属するヨーロッパでは無名に等しいだろう。彼がヨーロッパでスピーチをしたり、PRをしたとしても、インパクトを与えることはできないだろう。
むしろ、ソフトボールで金メダルをとった上野由岐子や宇津木妙子の方が、まだ効果があると思われる。
こういう部分が、野球と言う競技の特殊性を表している。



率直に言って、日本の野球、ソフト関係者は五輪復活について「できることは殆どない」のではないだろうか。

IOCは、こと野球に関してはMLBの意向だけを気にしているに違いない。
IOCにしてみればNBAやNFLと並ぶ巨大なスポーツビジネスであるMLBをオリンピックに取り込みたいのはやまやまだ。巨大なコンテンツを取り込むことで、日米を中心に、さらに大きな収益がみこまれるからだ。
しかし、ペナントレースを重視したいMLBは球団、選手が全面協力に難色を示している。
また独自にWBCという世界大会を設けていることもあり、五輪への協力はあくまで限定的なものになっている。

こうした事情は、ワールドカップを五輪よりも重視したいFIFAとIOCの関係によく似ている。しかしサッカーは世界的に競技者、愛好者がいる。サッカーを五輪競技から外すことは、巨大な視聴者層を失うことになる。
そこでIOCはFIFAに譲歩して、五輪のサッカー競技を年齢制限を設けた大会としている。

しかし市場が極端に偏っている野球に対しては、こうした譲歩をしていない。

今回の五輪競技の絞り込みは、建前上は「五輪の巨大化、コストの増大」を抑える目的があるとされるが、実質的には、当落線上にある競技に対し「言うことを聞かなければ外すぞ」と圧力をかけたのだと思う。

ただレスリングがその中に含まれたことに対して、世界の反響が非常に大きかったために、IOCはなおも選考を進める態を取りながら、レスリングの復帰へ向けて事態の収束を図っているのだと思う。
要するに野球はダシにされたのではないか。
7回制にするなどの改革案を打ち出してはいるが、無駄な努力に終わりそうだ。落選しても野球は7回制を取り入れるのだろうか?

WBCにせよ、五輪にせよ、野球が国際戦略を描くうえで、MLBやNPBなどの団体間や、球団、選手との利害調整は絶対に必要だ。この問題を解決せずに、次の絵は描くことができない。より大きな視点での解決が待たれるところだ。

こと五輪に関しては、できることはあまりないが、松井秀喜が国際社会で発言するのは良いことだと思う。
巨人の監督になるよりも、日米の野球の懸け橋となり、世界に野球を普及する先頭に立ってほしいからだ。

五輪復帰については望み薄だが、松井が国際舞台にデビューするのは応援したいと思う。



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