

昨日、女子野球の打者の記録を紹介した。節目の記録を迎えた選手はいないが、投手も紹介しよう。すでに「偉大な伝説」がいる。
現ウェストフローラの小西美加は、一昨日のティアラカップでも登板し、6回を零封した。堂々たるマウンドさばき、すでに風格を感じさせるが、彼女はJWBLでは飛びぬけた存在である。
キャリアSTATS

女子野球は年間50試合程度、投球回数は350回ほどだが、小西は1/3から4割程度登板している。
試合間隔があいているので、連投も可能になる。チームには頼れる2番手投手がいないために、小西の登板機会が増えたのだ。
昨年まで3年連続最多勝。今季は宮原臣佳とタイトル争いをしている。
小西の防御率は今季大きく落ちている。奪三振は減り、四球が増えている。打者の力量がアップして、圧倒的な存在ではなくなりつつある。30歳と言う年齢もあるのかもしれない。
さて、このキャリアSTATSを見るだけでは小西の偉大さはわからない。JWBLの投手勝利数ランキング。

小西美加の42勝に続くのは宮原臣佳の16勝、二けた以上は7人しかいない。小西は引分け試合を除くJWBL史上の総勝ち星179の四分の1弱を一人で上げているのだ。防御率も1位。まさに巨人としか言いようがない。
しかし、彼女に続く存在は誕生しつつある。
小西の後輩矢野みなみは、低めに抑制のきいた速球を投げ込んで、昨日のティアラカップ決勝も7回1失点で勝ち投手になった。
セーブ記録はイーストの塩谷千晶。彼女は一度も完投がない。救援専門投手だ。
小西の記録を追いかける投手は、今後、たくさん出てくることだろう。
JWBLの記録をまとめていて、データのバランスが1936年、草創期のNPBによく似ていると思った。
失点=Rと自責点ERに大きな差があるのは失策数が多いことを意味している。また、SO/BBが1を割る投手が多い。三振より四球の方が多いのだ。これはまさに昔の日本プロ野球と同じである。
JWBLの試合は残塁がやたら多い上に、試合がやや長引く傾向にある。WHIPが1.4を超えているのも、出塁数が多いことを表している。投手にとって最大の課題は制球力だろう。
私事に渡るが、5年ほど前、うちの娘の投球を女子アマチーム大阪ブレスの長野恵利子監督に見てもらったことがある。ただの親ばかだ。「普通に速いね」と言ってもらったのだが、その横で投げていた小西美加の投球を目の当たりにし、彼女の肉付きをみて「これは別物だ」と思った記憶がある。
その年の松山坊っちゃんスタジアムでのワールドカップの投球も見た。外国チームの選手とは、投球内容が全く違った。普通に男子と同じ野球をしている印象があった。

小西はNPBでいえば、スタルヒンと沢村を合わせたような存在だ。すべての女子野球選手にとって目標になっているだろう。
彼女が元気なうちに、その地位を脅かすような投手が次々と現れてほしいと願っている。

私のサイトにお越しいただき、ありがとうございます。ぜひ、コメントもお寄せください!
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クラシックSTATS鑑賞もご覧ください。巨人、先発投手のランキング

キャリアSTATS

女子野球は年間50試合程度、投球回数は350回ほどだが、小西は1/3から4割程度登板している。
試合間隔があいているので、連投も可能になる。チームには頼れる2番手投手がいないために、小西の登板機会が増えたのだ。
昨年まで3年連続最多勝。今季は宮原臣佳とタイトル争いをしている。
小西の防御率は今季大きく落ちている。奪三振は減り、四球が増えている。打者の力量がアップして、圧倒的な存在ではなくなりつつある。30歳と言う年齢もあるのかもしれない。
さて、このキャリアSTATSを見るだけでは小西の偉大さはわからない。JWBLの投手勝利数ランキング。

小西美加の42勝に続くのは宮原臣佳の16勝、二けた以上は7人しかいない。小西は引分け試合を除くJWBL史上の総勝ち星179の四分の1弱を一人で上げているのだ。防御率も1位。まさに巨人としか言いようがない。
しかし、彼女に続く存在は誕生しつつある。
小西の後輩矢野みなみは、低めに抑制のきいた速球を投げ込んで、昨日のティアラカップ決勝も7回1失点で勝ち投手になった。
セーブ記録はイーストの塩谷千晶。彼女は一度も完投がない。救援専門投手だ。
小西の記録を追いかける投手は、今後、たくさん出てくることだろう。
JWBLの記録をまとめていて、データのバランスが1936年、草創期のNPBによく似ていると思った。
失点=Rと自責点ERに大きな差があるのは失策数が多いことを意味している。また、SO/BBが1を割る投手が多い。三振より四球の方が多いのだ。これはまさに昔の日本プロ野球と同じである。
JWBLの試合は残塁がやたら多い上に、試合がやや長引く傾向にある。WHIPが1.4を超えているのも、出塁数が多いことを表している。投手にとって最大の課題は制球力だろう。
私事に渡るが、5年ほど前、うちの娘の投球を女子アマチーム大阪ブレスの長野恵利子監督に見てもらったことがある。ただの親ばかだ。「普通に速いね」と言ってもらったのだが、その横で投げていた小西美加の投球を目の当たりにし、彼女の肉付きをみて「これは別物だ」と思った記憶がある。
その年の松山坊っちゃんスタジアムでのワールドカップの投球も見た。外国チームの選手とは、投球内容が全く違った。普通に男子と同じ野球をしている印象があった。

小西はNPBでいえば、スタルヒンと沢村を合わせたような存在だ。すべての女子野球選手にとって目標になっているだろう。
彼女が元気なうちに、その地位を脅かすような投手が次々と現れてほしいと願っている。

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コメント
コメント一覧
私はほとんど女子プロ野球の知識は無く、それに対する興味関心もおそらく広尾さんほど高くないですが、これからどのような「歴史」を辿るのか注目していこうと思います。順当に行けば広尾さんよりは長くそれを目の当たりにできるはずですので・・・
さて、本題。
楽天のAJ、まさに底光のする存在感、ですが(私は楽天ファンですが、ひいき目を差し引いても、さすが、という面を持ってますよね)
ご存知の通り、AJはヒットより四死球の方が多いという、極めて珍しい存在です。極端に言えば、「大して打たないのに、非常に警戒されている」わけで、マギーが後ろにいてもなお、ですから、やはりあのスイングは、投手には恐怖なのでしょう
で、お願いが一つ。過去、例えば、規定打席以上で安打数÷四死球数(逆か・・)のランク、みたいなものを調べていただけないでしょうか?
当然、王貞治とかが上位に来ると思いますが、短期間とはいえ、AJの低打率を考えると、ずば抜けているのでは、と思うので
長くなりました。これからも楽しみにしております