A-RODは最近、よく野球をしている。マイナーリーグで本塁打を打っている。マイナーの通算記録はもう少し増えるかもしれないが、MLBではもう難しいのかもしれない。
今年の春に発覚したマイアミの医療機関に端を発する薬物スキャンダルは、ライアン・ブラウンをシーズン終了までの出場停止に追い込んだ。
ブラウン以外にも、ネルソン・クルーズやバートロ・コロン、メルキー・カブレラなどの有名選手に嫌疑が及ぶとされるが、何と言っても最大の大物はA-RODだ。
彼は史上最高額の10年2億7500万ドルの契約を結んだ、MLB最高の選手なのだ。
そのキャリアは、すさまじい猛打で彩られている。A-RODのすごさは、たんに本塁打を打っただけでなく、打率も極めて高く、足も速かったこと。そして、めったに故障しなかったこと。

さらに言えば、カンセコ、ソーサ、バリー・ボンズらが繰り広げられたホームラン狂騒曲とその後の薬物スキャンダルのあとから打ち始めたことで、彼には当初、クリーンなイメージさえあったのだ。
そのイメージは2009年に禁止薬物の使用が発覚、深刻なスキャンダルを巻き起こしたことで一気に汚された。

こうなると、スコット・ボラスと組んだ「銭闘」もマイナスイメージになる。

最近のA-RODは、暗い話題ばかりになっていた。

それでもヤンキースは先代スタインブレナー旦那が健在の内は、多少支出が増えようと、太っ腹で構えていたが、倅たちの代になって、A-RODの周りには厳しい視線が注がれるようになった。



それと軌を一にするようにA-RODは故障がちになり、成績も急落。MLB最大の不良債権とみなされるようになった。

今年、巨大な契約をした大物選手が軒並み故障、不振に陥る中で、ヤンキースはポストシーズン進出に赤信号がともっている。これまでの「有名選手大人買い」の付けが、一気に来た感があった。

本音でいえば、ヤンキースは2017年まで毎年2000万ドル以上を支払わなければならないA-RODの契約を、薬物スキャンダルがらみで打ち切りたいところだ。大きな債権ともどもA-RODとおさらばしたいはずだ。

A-ROD-20130805


AAAで本塁打を打ったりして、A-RODは健在をアピールし始めたが、もはや彼は野球選手ではなく、一個の「巨大債権」なのだと思う。その処理が注目されるだけで、選手としてのA-RODには、関係者は関心を寄せていないと思う。

2007年、私はA-RODの本塁打に魅了された。軽く振っているようで打球はぐんぐん伸びてスタンドへ飛んでいく。狷介な性格のようだったが、プレーには気品があり、ジーターとは肌合いの違う「孤独なスター」という趣があった。

こういう形でキャリアの終焉を迎えるのは不幸としか言いようがない。21世紀に入ってから、MLBは殿堂入りして当然の選手を、野球以外の理由で何人失ったことか。
MLBは病んでいる。拝金主義という宿痾に取りつかれている。

大きな代償ではあるが、A-RODの引退とともに、薬物禍が終焉を迎えることを望む。


私のサイトにお越しいただき、ありがとうございます。ぜひ、コメントもお寄せください!



広尾晃 野球記録の本、アマゾンでも販売しています。




クラシックSTATS鑑賞もご覧ください。巨人、外野手のランキング 面白い!
Classic Stats