『早稲田大学野球部 栄光の軌跡』





アメリカでは高校野球、大学野球も年間数十試合はこなす。そしてその成績をプロ同様に公表している。MLBのスカウトたちは、こうした成績を参考にしてドラフトの指名選手を決めている。『マネーボール』のビリー・ビーンが高校生の新人をほとんど取らないのは、高校時代のSTATSがあてにならないからだが、大学時代のSTATSは、MLB機構の成績と同じくらい参考になるとしている。
日本では、大学野球のトップクラスのリーグでも、実業団でも、選手のSTATSはほとんど公表していない。試合数が少ないために信頼性がないこともあるが、アマチュア野球自体が記録をとったり、公表したりすることに熱心でないということもある。これは記録好きの野球ファンとして大いに不満の残るところだ。

このたびの『早稲田大学野球部 栄光の軌跡』は、創部110周年記念特別号だ。早大野球部OBや卒業生をあてこんだ出版だろうが、斎藤祐樹、岡田彰布、小宮山悟、和田毅、青木宣親、鳥谷敬など、早大出身有名選手の大学時代のSTATSが掲載されており、興味深い。

岡田打撃成績のすごさ(通算.379、20本)。同期の青木(.332、0本)、鳥谷(.333 11本)の比較など、数字での比較がいろいろできる。

また谷沢健一、徳武定之など往年のNPBの名選手のSTATSも載っている。見飽きないムックだ。

NPBのSTATSも十分に整備されているわけではないが、アマチュア野球は未開拓STATSの宝庫だということが解る。これが整備されれば、アマチュア野球とNPBのレベル差がはっきりして、アマ選手の評価の精度も上がると思うのだが。

こういうデータをしっかり持っているのはスポーツ紙とベースボールマガジン社だろう。売れるかどうか、疑問はあるだろう。また未整備の記録も多いだろうが、大学野球STATS集を出版してくれないだろうか?

社会人野球の記録もぜひほしい。たとえば日本生命の杉浦正則は、プロでも一流の成績が残せたと言われる名投手だが、この選手のSTATSはどうだったのだろう。

高校野球はもっと難しいだろうが、予選レベルからデータが出てくれば面白いと思う。

アマのデータの整備ができれば、野球はもっと深くなると思う。

私のサイトにお越しいただき、ありがとうございます。ぜひ、コメントもお寄せください!