コメントを見て驚いた。甲子園のベンチに扇風機があることは知っていたが、エアコンまでついているとは思っても見なかった。
私は35度を超す猛暑で、なぜ熱中症患者が出ないのか不思議でならなかったが、ようやく謎が解けた気がした。
選手たちは炎天下で守備に就き、チェンジになると一目散にベンチに駆け込んで涼を取っているのだろう。
審判はほとんどベンチに帰ることができないから、その恩恵には浴していないように思う。

やれやれ、それなら良かった、と思うかというと、そうではない。なおさら釈然としない気持ちがわいてくる。

そこまでして、真夏にやる意味がどこにあるのか。
選手の体を守りたいのなら、試合時間を夜にずらすとか、季節を変えるとか、抜本的な対策を立てるべきではないのか。
いったいいつからこんなことが行われているのだろうか。
このことを最初に報じたのは『週刊ポスト』だと思うが、新聞やテレビが報じないのはイメージが悪いと思っているからだろう。
猛暑の中、死力を尽くして戦っているはずの高校球児が、イニングの間にはエアコンで涼んでいるのは「熱闘」の名にふさわしくない。
くだらない話である。

ベンチはエアコンが利いているが、アルプススタンドなど応援席は野天のまま。多くは屋根さえついていない。強烈な陽光をまともに受けて、黒い学生服を着たりして、必死で応援している。彼らが危険にさらされている状況は変わらない。それはそのままでいいのか。

どなたか取材していただきたいが、期間中、球場内の救護所にはいったい何人の人が運ばれているのか。その症状はどんなものが多いのか。
毎年、熱中症で何人もの人々が担ぎ込まれているのではないか。

今は熱中症で倒れる人が出ると、学校でも地域でも大騒ぎになるが、昔はニュースではなかった。
熱くなると気分が悪くなる人はたくさんいた。そのレベルでいえば、今も昔も多くの人が救護所で手当てを受けているのだろう。当たり前の事なのだとは思う。
しかしその中で重篤な症状に陥る人はいないのか。

もう一つ言えば、甲子園はエアコンが利いているにしても、地方大会の球場の多くはそうではないだろうということだ。プロが使用するような規模の大きい球場はエアコンの設備があるかもしれないが、地方球場の多くは、そんな設備はないはずだ。
地方大会から、猛暑は始まっている。甲子園に届かなかった球児が熱中症のリスクにさらされている現状は変わらない。

今年の夏は全国で52人もの人が熱中症で死亡している。そのさなかに数万もの人々が炎天下、野球観戦をしているという状況は、やはり問題だと思う。



甲子園のベンチのエアコンは、高校野球の本質的な問題を隠ぺいする糊塗策だと思う。
それで問題は解決したわけではない。
いろいろな問題は解決されないまま、ずるずると持ち越されている。

大事なのは、そういう小手先の対策ではなく、制度疲労を起こしている「高校野球」そのものの改革だと思う。

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